2017年01月21日

玉川大学ミツバチ科学研究会レポート

冬真っ盛り。冷え込んでいます。

新年のご挨拶もしないまま、2017年がすごい勢いで進行中です。
昨年、12月25日に無事、くにたち蜜源ガーデンの跡地を更地に戻すことができました。
大きな課題がひと段落して、すっかり気が抜けております〜。

まずは、恒例の玉川大学ミツバチ科学研究センター主催の「ミツバチ科学研究会」のレポートです。
今年は、Lazybeeにとっては、なぜかすごく興味深い内容のものばかりだったので、一つずつ簡単ではありますが、レポートをします。簡単なものなので、あまり期待しないでくださいまし(笑
最近は、Facebookページでのアップが中心になっているので、そちらでアップしたもののまとめをこちらに入れます。

1月8日(日)に開催された同研究会は、例年にもまして大盛況で約350名の参加者があり、10年ほど前に初めて参加したころより、女性がかなり増えたような気がします。
まずは、中村純教授より、開会のあいさつと「ミツバチと養蜂の現状」についてのお話。蜜源植物として重要なアカシアの植栽面積が、昭和60年ごろから平成26年ごろまでは7000〜9000haあたりを推移していたのに、27年では6200haにまで減少しているとのこと。一部の県では、調査が一定して実施されていないため、数字はあくまで目安にすぎないそうですが、ちょっと寂しい状況ですね。

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研究発表1は玉川大学大学院農学研究科の学振PDの宇賀神篤氏による「見た目は左右で雌雄が半々!行動は?体の中は?」
最初、なんのことやら?と思っていたら、このタイトル通りなんでびっくり!昆虫では性を決める遺伝子が細胞ごとに働くことにより、細胞単位で性が決まるため、たまに受精卵の状態次第でタイトル通りのような個体が発生するとのこと。
はあ〜!?ですよね〜。たまたまクロマルハナバチの巣箱の中を見ていたら、変わったやつがいる〜というので研究してみたそうです。カブトムシや鶏などでも起こる現象です。
見た目は半々でも、体内を調べてみたら、生殖器は♂だったり、♀だったりだけど、脳は半々だったりで、♀に興味はしめすものの交尾に至らなかったり…。本人としては、本能にぶれがあるのは当然なわけで…生き物って不思議ですよね〜。画像は、配布された資料にあった外見比較だけれど、ちょっとわかりにくいかな。

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研究発表2は、玉川大学ミツバチ科学センターの原野健一氏による「ミツバチが巣から持ち出す蜜の役割とその調節」
ミツバチが、お仕事をするために必要なエネルギー源はハチミツ。出かけるときにどのくらいの蜜をおなかに貯めて出発するのか。少ないと途中で餓死してしまうし、持ちすぎると疲れて遠くまで行けない。
ということで、ダンスで方向と距離を教えてもらったら、少しだけ余分に貯めて出かけるそうです。教えてもらったとはいえ、花がすぐに見つかるとはかぎらないから。
要するに距離と採餌経験により、燃料を調節するのです。
なんて賢いのだ!
距離に応じて、蜜の濃度も増加させます。
またまた、なんて賢いのだ!
そして、そして、花粉は、いつもあるとは限らないから、往復分の燃料を持って出るのです。おまけに花粉ダンゴをつくるために濃度の高い蜜を持参します。花粉採集が、やはりそれだけ巣の維持のために重要なお仕事なんですね。
賢い・・・賢すぎる・・・
ミツバチのすることにはムダがないなあ…と感心しまくりました。
寒波が来て、冬本番。でも、そろそろ早いところでは、菜の花が咲き始めているようですね。

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特別講演1は、兵庫県立大学環境人間学部の岡田龍一氏による「ミツバチの尻振りダンスにかくされた餌集めの工夫」
なんと巣箱の中の巣板にダンスフロアがあるのです!
ダンスフロア…お仕事さえちゃんとやっていれば、誰もが注目を浴びるスターになる日があるってこと?ここがコミュニケーションの場になっているわけです。が、そこで伝達される情報には、方向で±15度、時間の誤差が±15%と、けっこう誤差があるそうです。これがどのような影響を及ぼすのか…と、ビデオでの分析で得たミツバチの性質などをもとにコンピューターで採餌行動を再現するシミュレーション実験を実施。やりたくなる気持ちはすごくわかるけれど、実際にやっちゃうところがすごい〜。研究者って、すごい〜。
結果として、誤差で失敗することもあるけれど、もらった情報でしっかり蜜を採集することもできる、要するに人の失敗も、自分の失敗も、お互いに許し合い、巣を維持することに邁進するということなんでしょうかねぇ。ひとつの目的を共有している集団というのは、少々のことでは揺るがない。1人はみんなのために、みんなは1人のために…人間は…ムリっぽい?f(^^;

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特別講演2は、兵庫県立大学環境人間学部先端食科学研究センターの加藤陽二氏による「マヌカの花蜜に由来する特有成分レプトスペリン測定によるマヌカハチミツの品質保証」でした。
なぜ、こんな測定が必要になっているのかにちょっと驚きました。ニュージーランドのマヌカハチミツの需要が高まって、高騰しており、日本でも、平成27年の1kgあたりの輸入品課税後価格は、前年度から1561円も高い4319円!ところが、NZで生産されている量は年間1700tほどなのに、世界で消費されているのは1万t、英国だけで1800t…数字が合わないのです。ということは、世界中でFake Honeyが出回っている?抗菌物質を添加している可能性もある?飴などに加工される場合は、100度を越えると、抗菌成分の半分は失われるし、もともと使っていても、値段が高いから、ごく微量だったり…まあ、気は心、プラシーボみたいなもんになっていることもあったりして。そんな背景から、認証や品質保証のツールが必要になってきてしまったのです。
で、レプトスペリンとは…は、私には説明困難なので、ご興味のある方はググってくださいまし(笑
マヌカはNZなどに約40種類ほどが分布する低木の常緑樹。日本では、スコパリウムという種が「ギョリュウバイ」という名前で園芸用として出回っています。画像は、我が家の近くで咲いていたギョリュウバイです。冬に咲くから、蜜源としていいかも!と思ったら、佐々木先生の本によると、ミツバチはほとんど訪花しないそうです。生垣にもできるから、いいと思ったんだけどな〜。

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ということで、今年も、ミツバチとともによろしくお願いいたします。

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2016年08月22日

ミツバチに水飲み場が必要な理由

最近、神社が「ミツバチ専用の水飲み場」を作ったら、本当に利用してくれてうれしいという記事がネットで注目されていました。

昨年、みつばち百花では、ミニガーデニング・コンテストに参加した際に、こんなみつばちの庭を提案しました。

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中心に添えたのが「ミツバチの水飲み場」でした。
(レポートはこちらへ)

でも、ぜんぜん注目してもらえなかった・・・ぐすっ。

そう、ミツバチも、常に水を必要としているのです!

え?昆虫が水?

意外?

昆虫も水が…というよりも、ミツバチにとって水はとっても重要なんです。
社性昆虫であるがゆえ、ともいえます。

たとえば真夏。
気温が高くなったら、巣箱の内部の温度を下げるためにミツバチは気化熱を利用します。
すなわち巣箱内に水を撒いて、温度を下げるのです。

ミツバチの打ち水・・・ですね。

昆虫とは思えない賢さ。
あ、いや、これは失礼な言い回し。さすがミツバチ!

これは、まあ、そこそこミツバチ好きには知られていることです。

もう一つ、ミツバチが水を必要とするときがあります。
それは子育てのとき。

幼虫の餌となる蜂乳は水分が60%を超える液体ですが、長雨のあとや春先など巣の中に完成したハチミツ(水分20%)しかない状況では、蜂乳を作るための水分が不足します。そのため気温が低いのにもかかわらず、たくさんのミツバチが水を集めに来るのが目撃されます。

6月ごろ、渋谷の東急デパートの屋上にあるガーデニングのお店に行ったときに、小さな鉢にたくさんのミツバチが来ていました。
お目当ては水のようでした。

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大都会では、植栽された花はあっても、大地はアスファルトやコンクリートで覆われているし、水を得られる場所は、けっこう限られているのかもしれませんね。

水田にイネの花粉をもらいに行くことがありますが、水をもらいに行くことも。
そんなときに農薬と接点ができてしまう可能性も・・・

くにたち蜜源ガーデンでは、すぐそばの水路の水の流れが少ないときは、ミツバチがたちの水飲み場となり、水の流れが激しいときや、涸れてしまう冬場は、オアシスに水を含ませて置いています。

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ミツバチ観察や写真撮影に最適です。

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2016年08月16日

「大量死 ミツバチから農薬」の記事についての考察

「大量死 ミツバチから農薬」といった見出しの記事が、時折、メディアで報道され、そのたびにシェアされ、拡散されていきます。
たとえば、こんな記事も。
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ネオニコチノイドなどの農薬は殺虫剤です。
かけられたら、昆虫は殺虫されるのは当然のこと。
では、それを避けるためにどうしたらよいのか…それを考えることが必要なのですが…
どうしても「農薬反対」で「使わなければよい」という結論になりがちです。
そして、もう何十年もそんなやりとりがなされ、同じような記事が掲載され続けています。

ミツバチの置かれている本当の現状とは?
その解決策とは?

「農水省は2013〜15年度に全国の養蜂家から都道府県を通じて連絡があったハチの大量死198件の原因を初めて詳しく調べた」という結果について

農水が確認した内容は、死んだミツバチから検出された薬剤の種類であって、どのような状況でそのようなことが起きたかについてはまだ推測の域を出ていません。ただ、該当の農薬(決してネオニコチノイドだけではありません)が使われる場面は、法的に、あるいは農業の実践上、ある程度特定されます。農水は半数以上が北海道の水田地帯としています(もちろんそれによって残りを無視した表現になっていて気に入っていません)。水田はミツバチにとって決して理想的な資源ではなく、そこで農薬を浴びているとすれば、その不幸な事故の原因は薬剤の種類ではないことになるでしょう。
現在、世論はネオニコチノイド有害説に傾いていますし、政府にもそうした意味での圧力がかかっています(政治家は農薬の専門家ではないですし、有権者の感情論であっても無視できないですから)

状況を分析すると、端的には以下の2点に絞り込むことができます。

1)ミツバチから検出された薬剤はネオニコチノイドだけではないこと(あるいは7種あるネオニコのすべてが見つかっているわけではないこと)=使用される多様な種類の農薬にミツバチが曝露する状況にあること

2)北海道はミツバチの密度がその時期に高く、資源が不足傾向にあり、畦畔の雑草、特にミツバチが好むクローバー類がよく利用されるため、水田に散布した際にこれらの雑草も同時に汚染され、ミツバチが薬剤に曝露しやすい状況になっていること

つまり、本来農薬に汚染された資源をミツバチが利用さえしなければ起きない問題が起きているということになります。

解決するために必要なこととは?

この解決のためには、ミツバチが行くべき資源を別途用意すること、畦畔除草を推進する(ただしこの場合は除草剤が利用されることにもなります)、薬剤の使用を控えるといった方向性があります。この中で薬剤の使用を抑えるのが、多数が合意形成できそうなものですが、米農家は抵抗を示すでしょう。カメムシ被害で等級が低下して米価が下がること、色選機(カメムシの吸汁跡が黒点となった斑点米を選別する機械)の処理を待っていると出荷が遅れるなどの問題で、農家の経営には打撃が大きくなります。米の等級を廃して、斑点米入りの米飯を我々がよいものと同級品として食べる(皿盛り米飯ではけっこう目立ちます)とか、消費側の意識も必要かも知れませんが、害虫被害は適正な防除をしないと拡大・深刻化する可能性もあり、作る側にとっては不安要素として残ってしまいます。

農薬のユーザーは誰?

農薬とミツバチの関係は、状況が生んでいる事故であり、特定のモノとしての原因があるとは思えません。例えば、見通しの悪い道路で歩行者が車にはねられる事故が多発していた場合でも、車(亡くなった方を調べれば,直接の死亡要因が車であることはわかるでしょう)を全面的にダメで規制しろという人は極少ないでしょう。
代わりに歩車分離を徹底する(そのために歩道やガードレールをを設けて人が車道に入らないようにする)とか、注意喚起の表示を歩行者にも車にも向けて設置するとかいうあたりが一般的な解決案ではないでしょうか。なぜ農薬の場合はちがうのでしょうか。おそらく一般の方にとって自分が農薬のユーザーであるという認識がないからでしょう。

農業そのものが他の昆虫を押しのけて人間のテリトリーを増やす活動であり、結果として、天敵類を減らして、害虫への農薬使用を促しています。また、農業や林業、道路などのインフラ、あるいは居住区の拡張などの人間の活動が、ミツバチなどが利用できる資源を断片化させ、農薬を利用する農地周辺のわずかな資源を利用させることにつながっていきます。
だから、有機農業を推進すればよいという意見も多々聞かれますが、有機農産物の出荷量はH21年で総生産のわずか0.2%です。農薬を使用する99.8%を有機農業に転換するのには、需要と供給のバランスが成り立つのか、コストは見合うのかなど課題は多く、もし、仮に可能だとしても途方もない時間がかかるでしょう。つまり、有機食品の販売やそれでの調理品を提供する側の立場では、自分たちやお客さんは農薬のユーザーではないと考えることは可能ですが、多くの人は否応でも農薬のユーザーです。その意識からは、農薬の禁止ではなく、農薬とミツバチの分離をまずは考えるところからでもと思います。

予防的な使用禁止による成果は?

予防的な農薬使用禁止措置が、ミツバチを保護したり生態系を回復させたと証明するには時間も必要です。EUも、2か年の禁止期間では明確な変化が見えず、効果評価のために1年間使用禁止期間を延長しました。ただ、一方で、農作物を作る立場からは、害虫発生による減収があったり、それを防ぐために他の薬剤(ネオニコチノイド系農薬以前に使用されていた有機リン剤や合成ピレスロイド系農薬)の散布が増えるという実態があり、結局それを回避するためにネオニコチノイド系農薬の使用を暫定的に認めた(禁止撤回)地域もあります。
農薬禁止の効果は実験的に評価できるはずですが、結果は多様(禁止効果が高いというものから、禁止効果はないというものまで)になることが予想されます。禁止自体が、科学的根拠に基づいたものではなく政治的に始まったものであり、今後の撤回にしても延長にしても、判断は科学的根拠よりは地域や各国の諸事情に鑑みた政治的判断に基づいたものになるでしょう。

農薬の環境への影響は?

生態系への影響もミツバチへの影響も殺虫剤ですから、当然あることでしょう。農地とその周辺の環境を人がどこまでコントロールできるのか。人以外の生物は勝手に入って影響を受ける、それをどう考えるかでしょう。
農地には、我々の食糧を常に確保し続けなければならないという至上命題があります。
自然環境と生き物への影響と、その命題をどうマッチさせていくかは、人類の永遠の課題だと言えます。
ミツバチと農薬の接点をできるだけ減らすためには、ミツバチにとっての資源を農地とは別のところに確保するということも、課題解決の一つの方法だと考え、みつばち百花は、蜜源・花粉源植物の検証や増殖に取り組んでいます。

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2015年07月02日

ミツバチを苦しめている3大原因とは?

梅雨の晴れ間のくにたち蜜源ガーデン。
花盛りです。

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さて、アメリカの養蜂雑誌Bee Cultureのwebサイトにミシシッピー州立大で養蜂普及を担当するJeff Harris博士のインタビュー記事が掲載されています。書き手は同大のサイエンスライターのKeri Collins Lewis氏。

その記事によると・・・
Harris博士曰く、ミツバチを苦しめている三大原因は、

一にダニ、二にダニ、三にダニ

とのこと。
「メディアが農薬の影響ばっかり強調することに対する皮肉だよ」と断りつつ、農薬への暴露がミツバチに死をもたらすことは間違いないが「広範囲なミツバチの被害と農薬を結びつけるものはない」とも。

ミツバチの健康問題は農薬だけのような誤解を招きやすい単純化によって、ダニや病気、その他のミツバチを死に至らしめるストレス要因にミツバチが曝されているということが忘れられているが、ミツバチの研究者のほとんどは、ミツバチのウイルス病の媒介者ともなるダニ(ミツバチヘギイタダニ)をまず第一要因と考えていると指摘しています。ちなみにHarris博士はミツバチヘギイタダニ感受性の衛生行動(VSH)を示すミツバチの系統維持の研究をしている方です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さて、養蜂に携わっていない人にとっては、ミツバチにたかるダニって?

ですよね。

お見せしましょう。
こいつです。

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ミツバチのお腹にぺちょっとくっついている茶色いヤツ。
ミツバチヘギイタダニです。

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このダニは、以前は、日本、韓国、中国、フィリピンといったアジア圏にだけ自然分布していて、トウヨウミツバチ(ニホンミツバチを含む)に寄生していました。が、1970年代にアジア圏以外にも、伝播し、今では世界各地に広がり、前述のHarris博士の指摘するようにセイヨウミツバチに重篤な被害をもたらしています。

コイツは、とてもやっかいな生物で、巣の中の幼虫の巣房に雌ダニがもぐりこみ、卵を産みつけてしまいます。孵ったダニが蛹から体液を吸い、7〜9日間ほどで成虫になります。その間に母ダニも、動けない蛹から吸う。なので体液を吸われた蛹は、翅がうまく伸びないなどの奇形蜂となってしまうことが多く、寄生されると群の数はどんどん減っていき、弱っていきます。やがて、十分な花蜜や花粉を得られなくなり、巣の滅亡へと向かうのです。

ニホンミツバチは、長い付き合いのこのダニに対しては抵抗性があります。理由はまだ解明中ではっきりしていませんが、体液の中に抵抗因子がある、あるいはグルーミングで取り除くことができるといった見方があります。
しかし、セイヨウミツバチは、突然出会ってしまったダニに対してもちろん抵抗性を持っておらず、急速に広がってしまいました。

このダニの繁殖は巣内だけで完結するのですが、交尾飛行から戻った雄蜂にダニがくっついていて、この雄蜂が間違えてほかの巣に入ってしまうといったことなどで、広がっていくようです。
ちなみに上記のダニがついている写真は、ミツバチの雄蜂です。

日本でも、養蜂家の多くが、どうしてこんなにダニが巣内に増えてしまうのか…と悩んでいます。
今のところ、このダニに対しては、殺ダニ剤を適宜使っていくということしか手立てがない状態です。

ニホンミツバチって、やっぱり強いのね!

と、思っちゃいますよねぇ。

でも、残念ながら、ニホンミツバチが抵抗性のある天敵や病気ばかりではありません。
今度は、海外から、初めての虫や病原菌が侵入してきています。
その一つとして、アカリンダニの蔓延が問題になっています。
このダニは、働きバチの気管内に寄生し、増殖し、ダニで気管が詰まって死んでしまいます。
日本では、1999年に届出家畜伝染病指定となりましたが、2009年にニホンミツバチで初めて寄生が確認されています。

ニホンミツバチも、そんなに安泰というわけではありません。
考えてみたら、みんな人間が招いていることなんですよねぇ。
ミツバチを苦しめている一番の原因は私たち・・・(- -)

罪深い人間のミツバチに対する所業を、もっと深く知りたい、確認したいと言う方へ

映画「みつばちの大地」のDVDが発売されます!
そして、その映画を無料で、おまけにJunbeeの解説付きで観られるという映画会が7月19日に開催されます。
詳細は、こちらをご覧ください。


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2014年05月12日

ドキュメンタリー映画「みつばちの大地」のご紹介

ミツバチの活動をしているというと必ず返ってくる言葉があります。
「ミツバチは減っているのでしょう?」
「農薬が原因なのでしょう?」

そんな言葉が返ってくると、どこからお話をしたらいいのか…と、考えこむこともしばしば。
メディアの論調も、ミツバチに関しては思いこみで語られたことを、そのまま思いこみにつられて書いているというものが多いです。
たとえば、以下のような「定説」は、本当なの?と疑ってみたことはありますか?

ミツバチは,環境指標生物である
 ミツバチが飛んでいるところは環境がよい


ミツバチは,どんな花でも利用できる
 どんな花でも植えてあげればミツバチが利用する


ミツバチは,どこでもハチミツを作ってくれる
 ビルの上でも、山奥でもハチミツは作れる


ミツバチは、飼っている人のために働いてくれる
 人に慣れて、ハチミツを提供したり受粉をしてくれる


ミツバチは,都会で幸せに過ごせる
 花があり、農薬のない都会はミツバチが安心して暮らせる場所


ミツバチは,農薬で減っている(農薬さえなければミツバチは安全に暮らせる)

こんなふうに考えている人にぜひ観てもらいたいドキュメンタリー映画「みつばちの大地」が、岩波ホールで5月31日から公開されます。世界各地で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞している映画です。
映画の詳細は公式サイトをご覧ください。

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ミツバチが曝されている現実とは、どんなものなのか、その一部を知ることができます。
その一部というのは、これは世界の一部で起きていることで、すべての蜂場がそうではないからです。
特に日本の現状とは大きくかけ離れています。でも、そうならないとは言えない現実が迫っているのも事実です。
冷静な視点も持ちながら、ミツバチが背負わせられている過酷な現実をぜひ、しっかり見据えてみてください。その現実は、驚くほど私たちの暮らしと直結し、私たちの生き方とつながっているのです。

そんな現実を最新の映像技術を駆使して捉えた映像は、驚嘆に値します。
ミツバチの後ろを一緒に飛んでみたいと思っていたミツバチファンなら、うれしくてクラクラしちゃいますよ!

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5月21日午後7時からは、内幸町ホールで試写会があります。
■上映:『みつばちの大地』1時間31分
■日時:5月21日(水)
   18:30開場/19:00開映
■場所:千代田区立内幸町ホール
   (千代田区内幸町1丁目5−1)

映画終了後には、みつばち百花理事のJunbeeによる映画解説もあります。
詳細は、「みつばちの大地」のfacebookページをご覧ください。

6月14日の午後にも、Junbeeによる映画解説を岩波ホールで予定しています。

この映画を観ずして、ミツバチを語るなかれ!
そんな映画です。ぜひ、ご覧くださいね!

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2013年02月13日

ミツバチは減っている?

ミツバチに関する活動をしているというと必ず返ってくるのが、

「ミツバチは、減っているのでしょう?」

そのたびにどこから話をすれば、わかってもらえるのだろう・・・ととても戸惑います。

なぜかというと、セイヨウミツバチは飼われているのですから、減るか増えるかは養蜂家次第です。(ちゃんと技術のある養蜂家ならね)

ニホンミツバチは、今まで誰も数を調査したことがないので、減っているとか、増えているとかは、その人の感覚でしかありません。都市近郊には、オオスズメバチを代表とする天敵が少なくなっているので、わりに住みやすく、増えているという話しもあります。

あれっ!じゃあ減っているという情報はどこから出たの? と思うでしょ〜。

5,6年前にオーストラリアから輸入していた女王蜂が検査強化のあおりを受けて、輸入がストップしました。
女王蜂の価格では、検査費を賄えなかったというのが現実。この女王蜂は、農作物の受粉のために使用されるミツバチを増やすために使われているもの。

訂正
要因の一つは、2007年11月から女王蜂の主要供給国であるオーストラリアからの蜂の輸入が見合わされていたことです。オーストラリアの一部の州で蜜蜂の病気届出制度が変更され、同国から蜜蜂を輸出する時に病気がないことを保証するための方法などに関する日本とオーストラリアの間の取り決めの内容が見直されるまで、オーストラリア政府が自主的に女王蜂の輸出を見合わせていたのです。

このほかに、前年の2006年の夏に、天候不順、ダニ等の被害により、働き蜂の増殖が不十分であったことなどが考えられます。

実は、ミツバチの「評価額」は、ハチミツなど直接生産物の産出産額よりも、ポリネーションと呼ばれる花粉交配を通じて産出する農産物の生産額(ミツバチなしでは生産できない部分の額)の方がはるかに多いのです。

どのくらいの割合かというと・・・

ハチミツなどの生産物が全体の2%で、ポリネーションは98%を占めるに至っています!
ミツバチがいないと美味しいイチゴもメロンもスイカも食べられないのです。

だから、女王蜂が輸入されないと、ミツバチが足りない!と養蜂業界とミツバチを必要とする果樹園やイチゴ農家で大騒ぎになったのです。
これに加えて、ちょうどそのころアメリカなどの大規模農園で使われるミツバチがいなくなるというCCD(蜂群崩壊症候群)のニュースが報道されることが多くなりました。
幸いなことに日本では、未だCCDは確認されていません。ミツバチが活躍している場の状況がかなり違いますからねぇ・・・。

そして、同じころ、農薬によるミツバチの大量死という本が出たり、報道がされたりしました。
農薬に運悪く遭遇して死んでしまうミツバチも確かにいますが、減っている根本原因ではありません。

では、ミツバチは減っていないの?と思いますよね。

減っています!

それは事実です。
今回、上記のような混乱を避けるためにみつばち百花のサイトにあらためて下記の情報をアップしました。

「1979(昭和54)年には、養蜂家は11,785戸で、同年1月1日時点の届出蜂群数は326,292群でした。
30年後の2009(平成21)年には、養蜂家5,027戸,届出蜂群数は170,804群にまで減っています。
1979年を100とすれば、養蜂家数は43%、蜂群数は52%まで減少したといえます。
その背景にはなにがあるのでしょう?」


ほら、減っているでしょ?
その原因は・・・こちらのサイトをご覧ください。

結論からいえば、花が少ない! のです。

だから、みつばち百花は花を増やす活動をしているのです。

今年は、昨年にひきつづき国立蜜源ガーデンなどで、身近な蜜源植物を検証して、情報を出していきます。
乞うご期待です!


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2011年02月24日

危険がいっぱい

minilogo.pngこんにちは。
春一番のミツバチです。
お久しぶりです。

ようやく春めいてきて、お天気のよい日は本格的な一族繁栄プロジェクトに向けて、大忙しなの。今日は、風も少ないぽかぽか陽気。満開になりつつある梅林でひと仕事してきたわ。
足にくっつけているのは、梅の花粉。
はあー、重たかった。
この下に巣箱があるんだけれど、まずはここで一休み。

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え?なんで網の上なのかって?

この網、ひよどり除けなの。
最近、私たちのおいしさに気づいてしまったらしくて追いかけまわされているの。
天敵はスズメバチだけじゃないのよ。いやになっちゃうわ。もうすぐ燕もやってくるし。そうそう、ガマガエルなんか、巣箱の前に陣取ってぺろぺろするのよ。

空にも地上にも危険がいっぱい。
でも、一族繁栄のためにがんばるわ。

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(あら、私、アップに耐えるけっこういいオンナ。うふ)

さ、この花粉を運んだら、陽が高いうちにもうひと仕事しなくっちゃ。

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2010年10月04日

最強の生物スズメバチ

スズメバチの被害があちこちで出ているようです。
グスッ・・・たらーっ(汗)
私たちの国分寺もやられました。
カフェスローの土台の排水溝跡にあった巣はスズメバチの来襲を受け、今や乗っ取られてしまったのであります。
昨日、上からのぞいてみると、出たり入ったりしていました。
カメラを向けていたら、すーっと上がってきて、威嚇。あわててガラス扉を閉めたら、外側から威嚇。もうしませーん、許して〜、と思わず謝りそうになりました。とほほ・・・。

スズメバチは、この穴の中を占拠中で、蛹などの食料調達場所として当面それを確保しているだけなので、遅かれ早かれ立ち去るそうです。でも、来年、もう日本みつばちが入ることはないでしょ。寂しいなあ。
Junbeeによると、
「夜通し見張りを配置して、日中、かなりの数の働き蜂を動員してせっせと獲物を自分の巣に持ち帰ります。彼らなりに犠牲を払っているのでその執着心はものすごいです。写真を撮ろうとしたのは極めて危険でした。占拠中のオオスズメバチは最も攻撃的」とのこと。

無事でよかった〜。みなさん、うっかり近寄らないでね。

友人によると、「小学校の遠足で山に行くのだけれど、学校からスズメバチ除けのために白い服を着てくるようにと言われた」そうです。
ミツバチはクマが天敵の一つなので、黒いものを攻撃してくる可能性は高いけれど、スズメバチに天敵はいないから、白い服を着ても意味がないのでは?とJunbeeに確認したら、
「明るい場所では白と黒だったら黒が攻撃目標として選択されるけれど、深い藪の中や夕闇などでは白はかえって狙われやすい。色だけなんて、それほどスズメバチも単純じゃあない

そりゃそうだ。
でも、出会ってしまったら?

「背景から目立って動くものには基本的に反応する。まずは姿勢を低くすることが重要で皮膚の露出したところを守りながらゆっくり退却し、安全を確認する。オオスズメバチの場合は威嚇音(あごをカチカチ鳴らす)が聞こえるかどうかが目安です」

威嚇されたら、そーっと逃げるしかないです。
初夏に、私は梅林で梅の収穫をしているときにアシナガバチに威嚇されました。もちろん、「お邪魔しました」とそっと木から降りました。↓

ikaku.jpg


先日、ある植物園で「お花畑だ〜!」とミツバチなど花蜂がたくさん集まっている風景を眺めていたら、急にヤツが現れて、私の目の前で花に向かっていたクマハチにバチっと音がするぐらいの勢いで遅いかかり、葉陰に連れ込むのを目撃。直後に新たなヤツが現れて、今度はミツバチに襲いかかっていました。
ムシさんたちは命がけで花の上や中でお仕事をしているんですね。

DSCF3897.jpg


↑ここで弱肉強食の世界が繰り広げられている。
「お花、きれい〜!」と呑気に見ているのは人間だけ。

でも、スズメバチがいないと、人間にとっての害虫もたくさん生き残ってしまう。ミツバチやハナバチはヤツらにやられるけれど、だから適正な数を保てて、資源を十分利用できる。生物多様性とは、そのような厳しいバランスの上に成り立っています。

そのバランスを崩す一番悪いヤツはといえば、実は人間です。バランスを思い切り崩しておいて、「ミツバチを救おう!」だとか「絶滅危惧種を増やそう!」とかいう。どこまでも勝手なんですよね、人間は。

Junbeeによると
スズメバチは日本で最も危険な生き物です。死亡者数的にはクマよりも、マムシよりも、ハブよりも、フグよりも、スズメバチ!」とのこと。
そのスズメバチと長年共存している日本みつばちってすごい!とあらためて思ってしまう。
日本みつばち様御一行を「救おう!」なんて、そんなおこがましいことは口が避けてもいえません。
ミツバチが生きていける世界の片隅に邪魔にならないように、少しだけ貢献しながら、いさせてください、とお願いするっていうのが、ざんざん勝手なことをしてきた私たち人間のせめてもの言い分かもしれませんねぇ。

生物多様性は人間の謙虚さが試されているのではないでしょうか。




ラベル:スズメバチ
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2010年01月30日

アインシュタインとみつばち ふたたび

以前、アインシュタインの警告について「アインシュタインとみつばちの警告のうそ」という記事をアップしました。

アインシュタインとみつばちの接点がまったく見当たらないから、警告といってもかなり怪しいと書きました。
が、接点があったんです!

みつばち百花の「みつばち百科」の図書館をご覧ください。
「ある生物学者の回想」
ミツバチのダンスを発見した生物学者カール・フォン・フリッシュの著書に、アインシュタインがフィリッシュの講演を聴いて、研究室を訪問し、意見を交し合ったという思い出が書かれているそうです。

接点があったんですねぇ。。。
だからといって、「みつばちが絶滅したら、人類は4年以内に滅亡」という警告がアインシュタインによるものだという証拠はどこにもないわけですが。

研究室で二人はどんな話をしたのでしょう。
楽しかったと書かれているそうですから、人類滅亡という話題ではなかったと思うのですが。
1949年。昭和24年のことです。

posted by みつばち at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月13日

持続可能な養蜂

1月10日に玉川大学ミツバチ科学研究センターで恒例の研究会が開催されました。
回を追うごとに参加者が増え、今年は300人以上が参加。養蜂関係者だけでなく、一般の方もずいぶん増えたとのことで、ミツバチへの関心が高まっていることを実感しました。

科学ジャーナリストの松永和紀さんによる「農薬を巡る報道は適切か? 食の安全とリスク管理を考える」
同センターの佐々木正己教授による「日本の蜜・花粉源植物の現状と将来」
世界的に著名な養蜂振興の専門家である、Nicola Bradbearさんの「ミツバチと生物多様性に最適な手段としての持続可能な養蜂」

以上、3つの演題で講演が行われました。
新生「みつばち百花」にとっては、3人の方のご意見や情報はどれもとても興味深く、そして、刺激的なことばかりでした。

佐々木先生の講演内容は、まさに私たちが考えていることと方向性がぴったり!
ということで、11月には特別研修会をしていただいたこともあり、今後も、いろいろとご指導をいただくので、顧問に就任していただくことになりました。

ニコラさんのお話は、これもまた、私たちが考えていたこと、ミツバチからたくさん恩恵を受けている私たちがやるべきことを示唆する、とても刺激的な内容でした。
実は翌日、ニコラさんには私たちのフィールドである国分寺を一緒に歩いていただき、23日に先立って、今までの報告をし、今後のことなど一緒に話し合う機会をカフェスローで持っていただきました。

「持続可能な養蜂」
講演でも、とても印象的だったこの言葉。
ミツバチの危機が叫ばれる中、私たちが今、しっかり見直さなければいけないことは、果たしてどんな環境下で彼女たちが過ごしているのかということ。
そして、養蜂も、養蜂業が大きな転換をすることはなかなか大変ですが、アマチュアなら、できるだけ自然に近づけた養蜂をしながら、ミツバチと仲良くなることも可能なはず。

経済効率にいつのまにか組み込まれてしまったミツバチたち。
その部分を少しでも開放する手助けをしたいと強く思いました。
ニコラさんには名誉会員になっていただくことを快諾してもらいました。
Bees for Developmentからの情報もいただけることになったので、みなさんにもいろいろお知らせしていければと思います。

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みつばち百花のメンバーとニコラさん
(カフェスローにて)
そう、私たちって女性と男性の割合がまさにミツバチの巣なんです・・・

ニコラさんには、みつばち百花の英文名を考えてもらいました。

A Thousand Flowers for Beesに決定!

英語にすると、100から1000に増えちゃいました(笑)

posted by みつばち at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月25日

みつばちと人類の危機

またしてもミツバチ危機説登場です。
太陽フレアによる電磁波(デリンジャー現象)が影響していて、 太陽活動が激しくなる2012年には、ミツバチが絶滅する恐れがあるとか。

映画「2012年」に便乗しているのか、「2012年」のためにやっているのか。まるでこういう企画って、人類が滅亡した方がいいみたいですね。

それよりも、ミツバチを絶滅に追い込むかもしれないのは私たち人類でしょ!
ミツバチだけではなく、あらゆる生物が自然環境の激変により、過酷な状況に追いやられている現実があります。まさに不都合な真実です。

地球の温暖化については、CO2だ、いやCO2ではなく、気候変動だとか、まあ、いろいろな見方はあるけれど、私たちの利便性を追及した暮し方、地球資源を食い尽くす経済活動のあり方が、地球に対して大きな負担を強いている現実からは目をそらしてはならないのだと思います。

東京はちみつクラブは、2005年8月に立ち上がって以来、ミツバチのこと、ハチミツのことをいろいろな角度から学んできました。その結果、受難の多いミツバチに対して、そして、地球環境に対して、私たちが今、できることは何なのか、ようやく一つの方向性を見つけることができました。

花を植えよう!増やそう!

その言葉だけでは、「なんだ、そんなこと」と思われてしまうかもしれません。
でも、人と花と虫たちの関係を捉え直してみたら、そんな当たり前のところから始めるしかないということに気づいたのです。それを教えてくれたのがミツバチたちだともいえます。

2010年1月1日から、東京はちみつクラブは、名称を「みつばち百花」に変更し、「みつばち百花プロジェクト」を推進していきます。
ホームページは1月8日にアップする予定です。(と、目標をまずは掲げて・・・)
1月23日には、カフェスローで午後から

「ミツバチに恩返し大作戦 みつばち百花プロジェクト始動フォーラム 

ミツバチのために今、できることとは?」

を開催します。
和歌山県有田市から若手養蜂家として注目されている貞直也さんをゲストにお迎えします。貞さんは移動養蜂もされており、ミツバチの視点からみた日本各地の自然環境についてお話しいただく予定です。

また、春からは、ミツバチのこと、ハチミツのこと、自然環境のことを学ぶ「みつばち百花セミナー」を開催します。人と花と虫の関係を捉えなおす機会になればと思います。監修は、玉川大学ミツバチ科学研究センターです。

詳細は年明けにあらためてお知らせします。
少し早いですが、みなさま、よいお年をお迎えください。
来年、1月23日にカフェスローでお会いしましょう!

posted by みつばち at 09:59| Comment(2) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月27日

みつばちの真実はいずこに

不安定なお天気が続いていますね。
例年の梅雨とは違った豪雨が各地を襲っています。
気候が変動しているとしたら、これも温暖化の影響なのでしょうか?

現代のように情報がありすぎても、何が真実で何が本当なのか、見極めるのはとても難しいです。
みつばちの世界ではすっかり有名になったこの本。

2009_0726mitukai0017

上記は原本です。
ここに書かれていることはどれくらい真実があるのでしょう。
気になります。

因みにこの日本語版の表紙の画像、「みつばち」?

こんな本もあります。

2009_0727mitukai0023

当クラブでは、はちみつをおいしく楽しく味わったり(だいたいいつも最後は飲み会)、みつばちに触れたりしながら、一番大切にしたいもの、ことは何なのかなあ、とみんなでいつも話し合っています。

ゆるーいクラブですが、地道に、のんびり、でも大切なものを探したい方、ご参加お待ちしています。
8月8日の蜜会スペシャルは、蜜蝋づくりも企画中です。

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2009年07月20日

アインシュタインとみつばちの警告のウソ

相変わらず「みつばちがいなくなった!」という報道やら、話題やらで賑わっています。
原因探しにやっきですが、事はけっこうシンプルだと思いますよ。
みつばちを働かせすぎ、の一言に尽きます。人類の勝手し放題です。
そんな中、今、まことしやかにささやかれているのが、アインシュタインが言ったとされる下記のような予言です。

If the bee disappears from the surface of the earth,

man would have no more than four years to live.

No more bees, no more pollination, no more plants, no more man.

いまや、ネットの中で増殖中です。

1994年に某誌に掲載されたのが最初という説がありますが、出所ははっきりしません。なかなか知恵ものがいたようで、自己中心的な人類に警告するには誰もが一目置く偉人の言葉を借りるのが一番手っ取り早いと思ったのかどうか、これが謎なんですが、「アインシュタインがみつばちがいなくなったとき、人類は終わる」と言ったことにしちゃった人がいたようです。うまい警告ですよねぇ。

ここをご覧ください。かなり詳しく書いてあります。が、英文です。

アインシュタインが亡くなったのが1955年。生前はもちろん、55年から94年に至るまで一度も取り上げられたことがない文言だし、文献にも見当たらないそうです。ヘブライ大学のアインシュタイン研究所は否定しているとか。

みつばちがいなくなった原因は日本ではもっぱら農薬だ!農薬だ!とされていますが、その農薬を使っているのは人間で、使わざるを得なくしているのも私たち。
因果応報。すべての事は必然なのです。と、まるでお釈迦様みたいなことを言ってしまいますが、みつばちたちを酷使しているのも、居ずらくしているのも、みーんな、我々なんですよ。環境ホルモンでも、ダイオキシンでもありません。だからめんどうなのです。
血眼になって原因、すなわち敵を探しても、そんなものはいないのです。
鏡の中の影におびえたら、自分の姿だった、ですね。
では、何ができるのか。それを冷静に考えたい、そんなことをTHCでは話し合っています。

アインシュタインのこの予言、彼の言葉にしなくても説得力があります。ただ、4年で我々が滅ぶかどうかは?ですが。すでに我々は生態系を壊しまくっていて、多くの種を絶滅させましたが、今のところ、ゴキブリのごとくしぶとく地球上の人口は増加していますもんね。
人類、強し!です。この冬の新型ウィルスとの闘いやいかに!

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2009年06月10日

ミツバチの減少ペース鈍る?

アメリカの蜂群崩壊症候群(CCD)によるみつばちの減少が少し鈍ったそうです。

記事はこちら

でも、やはり農薬や寄生虫の脅威は消えていないとのこと。
受難は続くのでしょうか。。。

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2009年06月03日

クリスマスのいちごの陰にみつばち

今日、趣味で日本みつばちの養蜂をされているKさんと2年ぶりぐらいに電話で話をしました。
いろいろ情報交換をしました。

Kさんによると、日本みつばちも昨年はかなり減っていたようで、養蜂仲間の間では農薬だろうと言っているそうです。昨年、蜜をたくさん採った群が秋になっ て急に弱ってしまい、はちみつだけを残して全滅したとか。そのはちみつを餌にしてほかのみつばちにあげたら、どうも調子がよくない、という話も。そ、そ れって・・・みつばちが命がけで集めてきたはちみつの中に何か混じってしまったため?と疑いたくなりますよね?

昨年の秋に彼のところに、いちご農家からみつばちを貸してほしいとの打診があったとか。

日本みつばちで受粉!?

聞いたことがないけれど、西洋みつばちが急激に減っているということで、日本みつばちでも受粉作業の代用ができると思われたようです。もちろんお断りしたそうです。
冬期のいちごハウスの中はかなり温度が高くなる。その中で日本みつばちがお仕事なんてするはずがない!できるはずがない、です。
でも、西洋みつばちはもとはアフリカ生まれだとしても、そういうところで働かされているとしたら・・・かなり過酷です。

アメリカでは蜂群崩壊症候群が起きているけれど、広大な果樹園や畑で来る日も来る日も延々と同じ作物のはちみつを採り、受粉させられるみつばちの身になってみれば、「あー、もう、いや!どこかに行きたい!行っちゃえ!」と思っても、当然かも。

いずれにしても、みつばちを生きにくくしているのは人間なんですよねぇ。この現象が廻りまわって、やがてどんな形でかえってくるのか。

posted by みつばち at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月11日

みつばちも生きにくい世の中みたいです

今日は、玉川大学ミツバチ科学研究施設にて年に一度の「ミツバチ科学研究会」があり、ちょこっとのぞいてきました。年々、盛会になり、昨年からは大学内のこんなりっぱなホールで開催されるようになりました。

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「左右の脳を使い分けるミツバチ」「貯蔵と蓋がけを開始する糖度の基準」「ローヤルゼリータンパクのもう一つの役割」といった学生さんたちの研究発表に加えて、私が今回、聞きたかったのは研究者からの「在来種マルハナバチの利用」と「日本における蜂群崩壊症候群発生の可能性」でした。    

日本でもミツバチの減少がかなりのスピードで進行しているけれど、アメリカが特にひどくて、2007年には31%だったのが、昨年は37%が逃去しているそうです。死骸があるわけでもなく、群の姿が見えなくなってしまう。巣箱から消えてしまう。それを蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder)を略してCCDといいます。アーモンドや果実の受粉にミツバチを多用している農業国の一面も持つアメリカにとっては、とても大きな問題になっています。ダニ、病原菌、ストレス、農薬など原因として考えられるのはさまざまだそうで、まだ、はっきりとした原因はわかっていません。

日本ではCCDはまだほとんどないけれど、特に懸念されるのが農薬。全体討議の話題は、昨年のカメムシ防除の農薬で全滅した地域がかなりあったということに集中。人類よりも300万年も先輩のミツバチたちにとっても生き難い世の中になりつつあるみたいです。もう一つ、とっても気になったのが、日本におけるCCDを調査するためのアンケートを養蜂関係者約2700人に配布、900人ほどのデータが集まったのだけれど、平均年齢が67才だったということ。こちらもまたしても高齢化です。

posted by みつばち at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月13日

500万年続いたミツバチの生態をも壊す人間

昨夜のクローズアップ現代では、アメリカでみつばちが消えていく現状を取り上げていましたね。
ゲストは、当東京はちみつクラブの顧問である玉川大学の中村純教授でした。
先生のいつものソフトな語り口でみつばちへの愛情がほんわか伝わってきました。

それにしても、アメリカの生産現場でのミツバチたちは本当に酷使されているんですねぇ。広大な果樹園で一つの種類の花の蜜と花粉だけを食べ続けると、栄養が偏ってしまい、要するに成人病みたいになるようです。
そりゃあ、そうでしょ。いろいろ食べてバランスを取らなければならないのは人間もみつばちも同じなんだから。

おまけに旅から旅へ。巣の周辺を覚えたなと思ったら、移動らしいです。
そのうえ農薬の影響も受けて・・・もう、むちゃくちゃです。

それでもまだ生産性をあげるために、アフリカ原産のみつばちと掛け合わせて、よく働くみつばちをつくるとか、フェロモンを与えて、たくさん幼虫がいるから働かなくっちゃと思わせるとか、もう、聞いているだけでみつばちが気の毒でくらくらしてきました。

が、そのみつばちの働きの恩恵を私たちも受けているわけで、なんと言っていいのか。
申し訳ない気持ちでいっぱいです。

このブログでも何度も書いていますが、みつばちは人類に先立つこと300万年以上、500万年前には地球上にいました。
今、その500万年かけたみつばちの生態が壊れつつあるということです。
これは人類に大きな影響を及ぼさないわけはありません。

私たちはいったいどこに向っているのでしょう。

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群馬県片品村の山間で忙しそうに飛び回っていたみつばちです。
羽音を聞きながら、農作業をお手伝いしていました。
機械もできるだけ使わず、もちろん農薬も化学肥料も使わない自然農に挑戦している友人の畑です。

自然の速度に寄り添って、私たちが私たち自身の力を信じて生きていく努力をすることで、この羽音をずっと聞くことができるのかもしれませんね。

posted by みつばち at 11:00| Comment(1) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月08日

みつばちの職場放棄?!

アメリカでみつばちたちの職場放棄が話題になっているとか。
バイオ燃料用のトウモロコシなどに作付けを切り替える農場が相次いでいて、オレンジの作付けが激減し、価格が高騰しているという報道が先日、されていました。

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次は、みつばちの職場放棄で、結実する果実が激減か?!です。
そうなると、また、値上がりします。
たとえば、オレンジも、キーウィーも、ベリー類も・・・。
この記事によれば、アーモンドの受粉は100%みつばちに頼っているそうです。

原因は不明だけれど、
農薬や受粉の移動によるストレスが主な原因かも…との見方もあるとか。

別の記事では、ヨーロッパでも、同じような状況が起きていると報道されています。
携帯電話の電磁波で方向感覚を狂わせられているという可能性もあるとか。

みつばちも、大変なんだなあ。
信号機に取り付いて、掃除機で吸われちゃったりするし。

少し前にはカエルが病気で全滅しつつあるという報道もあったし、
そこら辺に普通にいる小さな生き物たちが、生きられない世界って、
いよいよ危ないと思いませんか?

posted by みつばち at 13:45| Comment(3) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月04日

大スズメバチが姿を消した!?

残念なお知らせがまた届きました。
盛岡の養蜂家藤原誠太さんからです。

岩手県内でハチがどんどんいなくなっているそうです。
九州の養蜂家からは、大スズメバチが姿を消したというニュースが届いたばかりだそうです。
村全体でみつばちがいなくなった!という報告もあるとか。

岩手県内のほかの人からも同じようにスズメバチもミツバチもあまりみかけないという情報が来ました。

考えられる理由は農薬。
ポジティブリストの農薬は、回数を減らす代わりに1度で効果を最大限にあげるために、以前より強力になっているのではないかと。

よく散布されている農薬の袋の裏には「ハチに影響が出やすい」とあるそうです。

昨年もカメムシの大発生で農薬散布が行われ、みつばちにずいぶん影響があったと聞きました。

昆虫の生態系の頂点である大スズメバチがいなくなるということは・・・
すでに盛岡では蛾の大発生の予兆がみえると藤原さん。

私たちの食と自然が一つの環でつながっていることをこんな報告で再確認させられるのはとても悲しいことです。

でも、これが現実です。

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2006年06月11日

今年は裏年? 蜜が採れない!

今年は、ニセアカシアも、エゴノキも花が咲いているのにみつばちの巣箱は軽いままだそうです。
中村先生によると、玉川大学に勤めだしてから,こんなにひどいのは初めてのような気がするとのこと。

大きな樹木には花の咲く周年があるようで裏年、表年とよくいわれます。
今年はなぜかニセアカシアの花のつきが悪いそうです。
根が浅く、保水力が少ないこと、繁殖力が旺盛であることから、このところ目のカタキにされているニセアカシアだから、ちょっといじけてしまったかな。

さて、来週の土曜日はいよいよ蜜会です。
採れたてのニセアカシアやソメイヨシノなど、楽しんでみましょう。

なお、このブログは明日12日10:00〜15日10:00までメンテナンスのためサービスが停止となります。
しばし、お別れです。

posted by みつばち at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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