2010年03月12日

花粉と花蜜はどっちが大切?

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知り合いの養蜂家のブログ「みつばち村通信」に,ウメの花のハチミツはないという話が出ていたので,うちのミツバチに聞いてみました.

minilogo.pngミツバチだから花に行けば,必ず花の蜜を集めるものだと思われているんだなあ.でもって,それは人間の口に入るべきものだという理解!

minilogo.png今日は少し暖かかったから,10℃になるのを待たずに飛び出して,日当たりのよい畑のナタネやウメに通ってた.ナタネもウメも花蜜と花粉が多い.蜜を吸ってる仲間もいるけれど,春に較べて花粉を持ち帰る方が圧倒的に多い.この時期は春に向けて女王蜂も産卵に励んでいる.当然,花粉は大量に必要っていうのもあるけれど,冷たい蜜をたくさん吸ったら体温が下がって飛べなくなってしまう.寒いときは花粉を集める蜂の比率が多い,そんなことは50年以上も前に人間の誰かがご丁寧に調べて下さっている.

minilogo.pngハチミツを作るのは実はとても大変なこと.花蜜を濃縮する過程で巣内の湿度が高くなるから,換気して巣の中の空気を入れ換える.雪まで降るようなこの時期にそんなことしたら,巣の温度が下がっちゃう.発熱すればいい? 幼虫や蛹が呼吸で出す炭酸ガスだってけっこうな量なのに,この上呼吸量を増やしたら,その呼気の炭酸ガスだって換気して捨てなきゃならないけど,外はまだ寒い,またまた巣の温度が下がっちゃう.ハチミツを作るには,換気の容易な暖かい季節が向いている(徳島で冬にビワのハチミツを作っている養蜂家に飼われている仲間もいるけれど,ご苦労なことで).

minilogo.pngこんな研究もある.畑の真ん中にミツバチを置いて,どこまで飛んでいるかを調べたら,花蜜を採りに行く距離は500m(中央値),花粉は1600mだったそう.あたりまえ.だって,遠くまでわざわざ花蜜を採りに行けば,その飛行燃料としてハチミツを消費しちゃう.花蜜をハチミツにするにも濃縮だの何だのとエネルギーは必要.今あるハチミツを大切にとっておく方がましという判断は,ミツバチなら当然できる.でも花粉は,足りなければ女王蜂が卵を産んでくれない,次を引き受けてくれる働き蜂が作れない.だから,花粉のためなら喜んでハチミツを投資する.冬が近づいたらどうするか真面目に考えるけど.

minilogo.pngハチミツは巣の中にたくさん貯えられる.だって冬は長い.北米では15kgのハチミツがないと冬を越せない.東京は,いくら町田が都心より寒いとはいえ,ニューヨーク州よりは暖かいから,10kgも要らない.

minilogo.pngでは花粉は? もともと貯えるスペースは少ない.ミツバチは花蜜をハチミツにして食べるように.実は花粉はミルクにしてみんなに分配する(花粉を食べるのは若い育児蜂).ミルクの取り分が一番多いのは,やっぱり女王蜂.体重分以上のミルクを飲んで,体重分の卵(1000個)を毎日産む.若い幼虫もミルクで育つし,もう花粉を消化できなくなった働き蜂もミルクをもらう.花粉のままだと花の種類によって栄養に偏りができるけれど,ミルクにすれば,ちゃんと同じように必要な栄養が摂れるから.一日にどれだけの花粉が必要になるかはちゃんとは計算されていないけれど,0.2mgの卵から孵った幼虫が6日間で150mgの蛹になるから,1000個の卵が毎日生まれているなら,それだけで毎日150gのミルクが必要.1000匹程度の働き蜂が,平均して5回,60mgの花粉を運び込むなら,一日300gの花粉が手に入るから,できない相談ではない.でもこの時期,寒くてまだまだその条件をクリアするのは厳しい.

minilogo.pngこの時期は,もう幼虫が育っているから,巣の温度を維持するために,真冬よりもハチミツを消費しちゃう.でも,今働いている働き蜂は,もう3か月近く生きているものが多いから,早く新しい働き蜂に仕事を引き継ぎたい.そのためにも,今やかなり貴重なハチミツを使ってでも次の働き蜂が育つよう花粉はやっぱりたくさん集めたい.この時期の計算を誤ると,群れが滅んでしまうから,こうした計算は綿密にやらなきゃならない.

minilogo.pngミツバチだからって,ハチミツだけしか念頭にないわけではないんだ.花を見たら,花粉も花蜜も大切とは思うけれど...,今何が必要かはちゃんと考えている.


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posted by みつばち at 19:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする