2010年07月30日

「農薬とミツバチ」問題を考えるということ

ミツバチ上科の蜂類の研究を扱う国際的な学術雑誌Apidologie(ミツバチ学)で「ミツバチの健康」特集が出ました.今年,Journal of Apicultural Research(養蜂学研究雑誌)での「ミツバチの蜂群損失」特集,Journal of Invertebrate Pathology(無脊椎動物病理学雑誌)での「ミツバチの疾病」特集に続く第三弾.いずれも近年のミツバチの損失に関しての研究者の関心の高さをよく表しています.各特集の紹介は後日然るべきところで行いますが,今回の特集の中に,ネブラスカ大とペンシルバニア州立大の研究者の共著による「アメリカにおける農薬とミツバチへの毒性」という論文があります.このタイトルでカバーされる範囲は広く,日本で関心を集める部分だけではどうやら語り尽くせそうにありません.いつものように,辛口ミツバチと一緒に概観してみます.

minilogo.pngこの人たちは1985年までとそれ以降で農薬とミツバチの関係が変わったといっている.どうしてかな?
1985年までは,外勤蜂が巣の外で,果樹などの作物に散布された農薬に暴露するというのが,農薬問題の基本だった.それがダニの被害が深刻になるにつれて,殺ダニ剤が巣箱内で多用されるようになった.また耕作地では,植物自体が殺虫成分を作る遺伝子を導入されたGE(遺伝子工学的な)作物の栽培面積が増えた.さらに,これまでにはなかった浸透性の農薬が使われるようになった.ミツバチを取り巻く農薬はその頃を境に大きく変遷したということだろう.

minilogo.png農薬によるミツバチの被害は古い問題でもあるんだね.
アメリカでの1966〜1979年の蜂群の損失の大半は,有機塩素系,カルバメート系,有機リン系,ピレスロイド系農薬による被害だという.花期の散布を制限したことで,一定の被害減少にはつながったみたいだけど,長期的な残効性による被害に関しては,まだわからない部分が多いそうだ.

minilogo.png日本では最大(?)の関心事になってるネオニコチノイドはアメリカではどう位置づけられているのかな?
現在,よく普及しているネオニコチノイド系とフェニルピラゾール系の農薬は,これまでの農薬と違って「浸透性」というのが売りで,植物体内に浸透して,植物の内部を食害する害虫に効果を発揮する.葉や茎の中に潜り込むような害虫には外から農薬をかけても効果が出ないけれど,これなら有効なので,多数の作物で利用されている.
こうした薬剤利用が増えることで,直接暴露によるミツバチの被害は減るという一面はある.一方で,花粉や花蜜中に長期的に現れる薬剤による影響は起こり得る.これが,どこで釣り合うかという問題という位置づけらしい.


minilogo.pngつまり被害の方が大きいということかな.この人たちもネオニコチノイドと蜂群崩壊症候群CCDとの関係に言及しているよね? ミツバチに対する毒性が高いから?
急性毒性が高いということでならこれまでの農薬ととりわけ区別して考える必然性はないかもね.ただ,単一投与の急性毒性よりも,低濃度での長期的な暴露の方が影響が大きいという報告が多く,さらに,そうした状態だと,例えばノゼマのような病原の影響が強く出るようだ.こうした影響はまだ研究段階で,もっとデータがないとはっきりしたことはわからない.ただ,慢性的な毒性は,寿命の短い(失礼!)ミツバチでどこまで大きな影響かはわからないな.

minilogo.pngはっきりしないなあ.結局,ネオニコチノイドは危険だと思うべきなのかな?
特定の昆虫に対する特異性はないから,その意味で,今までの農薬と同じように危険ということ.加えて,アメリカでは種子消毒や土壌消毒の目的での使用が中心らしいので,浸透性による長期的効果に関心が行きやすいようだね.日本では,散布による影響の方が表面化しているので,事情が違うかなという印象だ.いずれにしても,ミツバチの立場からすれば,危険だと思うしかないだろう.その点では新しい情報ではないかもね.

minilogo.pngそうかも知れない.で,「農薬問題」は普通はここまでで終わりだけど,この論文はそれだけではないんだね.殺虫成分を作る遺伝子を導入した作物も取り上げられている.これも以前,結構,問題視されていたよね?
著者は遺伝子導入作物はミツバチには有益という言い方をしている.というのは,こうした作物に導入されている毒性は,もともとは細菌の生成するタンパク質によるもので,これが消化管内でチョウ目やコウチュウ目など標的昆虫の受容器と結合して初めて効果が現れる.ハチ目のミツバチでは受容器が異なるし,幼虫の成育に影響がないことも多数の研究によって確かめられている.
同時に,こうした作物では,圃場での殺虫剤の散布は限定的になるので,ミツバチが影響を受ける確率はごく小さくなる.その点ではミツバチにとってはいいことづくめともいえるかも.
日本では遺伝子導入作物の栽培には,一方的な懐疑感や嫌悪感が先行しているけれど,ミツバチとの関係で見れば,もう少々,少なくとも研究開発には理解が欲しいなあ.


minilogo.png人間は難しいんだね.ミツバチは遺伝子導入作物だって,利用できるものなら分け隔てなく利用するけどね.
それより,これが問題かも.巣箱の中で使う薬剤も問題なの?ダニの薬は私たちミツバチにとってはありがたい存在だと思っていたけど,本当はそうではないのかな?

日本でも,そして世界的にも広く使われているフルバリネートはピレスロイド系の化学物質,アメリカではこれ以外にも有機リン系のクマフォスが利用されている.これらは巣のろうに吸着して長期残留する.以前から生産物(蜂ろう)の汚染だけではなく,ダニが低濃度の薬剤に晒されるうちに耐性を獲得する可能性が指摘されてきた.この論文では,この蓄積性ゆえにミツバチ自身への影響もあるとしている.アメリカではフルバリネートが204ppmで巣に残留していたという報告もあるからね.それではミツバチにも影響が出ちゃうだろう.

minilogo.pngそんなに高濃度で残留するなんて.ダニ剤も殺虫剤と同じグループなんだね.水溶性が低いからハチミツに移行しにくくて,こうした問題が表面化しにくいのかな.それにしてもミツバチにも影響があるなんて...
考えようによっては,よく効く薬ほど,副作用を覚悟するものでもあるよね.ダニの防除を何よりも最優先する必要があれば,こうした強力な薬剤を使うことに躊躇はないけれど,本当は診断に基づいて,もっとマイルドな効果を示す有機酸などから,症状に応じて適切なものを選べるのが望ましい.現行法の中では多用な薬剤・成分を自由に選択はできないから,巣板の更新頻度をあげるなど,残留を防ぐ工夫が必要になるだろう.

minilogo.pngこうしてみてみると,ミツバチと農薬の関係も単純ではないんだね.最近は増えているみたいだけど「農薬問題」の専門家はこうした広い見識で,農薬の開発指針とかを訴えてくれたりはしないんだね.
残念ながら,彼ら自身が狭義の,特定の「問題」の専門家だということで,問題を自家生成することでその問題の専門家になっているので,あえて広範囲なものの見方はしにくいのかも知れないね.開発指針は専門外だから語らないなら,農薬の関係者の顔をするのもどうかなという気もするけれど.一方で,本当の意味で農薬を理解しているはずの人たちの意見が一般向けにはなかなか出てこないのも,そうした専門家さんたちに出番を与えることになっていると思う.そのことも,考えようによっては,ミツバチにとって残念な状況というしかない.
そうそう「専門家」という人種に関しては,こちらとかこちらのブログも参考になるから見てみるといいかも.


minilogo.png本当の意味での農薬の専門家の方々,ミツバチは人を恨んだりはしないので,ぜひともいろいろな情報提供をして下さい.客観的な情報なしに,ミツバチが救われる道はないんです!

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2010年07月19日

スギだって行きます! (調査:済州島編)

日本では花粉症の原因というので嫌われるスギ.あの大量の花粉をいっそミツバチが集めて利用してくれたらいいのにと,そんなときに限ってミツバチって役に立たないねっていいたげな目線が向けられます.

さて,海南島の次の調査地点は,韓国,済州島.ここで何とスギに頻繁にミツバチが訪れていました.スギの樹脂を採集してプロポリスを作っている?とにわかに調査団は興奮したものの,実際は...


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スギを訪れるセイヨウミツバチ.そこには何が?


スギの樹脂も利用するかも知れないけれど,今回は少なくともハズレだった.調査の目的からすれば残念だったけど,これはこれでまた新しい発見.
minilogo.png期待を持たせて申し訳なかったけれど,今回集めていたのはカイガラムシが出す甘露.甘露を原料にミツバチが作るハチミツは日本ではなじみがないけれど,ヨーロッパではモミのハチミツとかが有名.ハニーショップなどで,もみの花から集めた蜜ですよなんていわれることもあるけれど,それは間違い.アブラムシが樹液を吸って,不要な部分,といってもまだまだ甘味が残っているものを葉の上に落としていくのでこれを集める.甘露を原料としているから甘露蜜って呼ばれてる.

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白く見えるのがカイガラムシ(上の写真でもミツバチが接近している右下の方に姿が見える)


minilogo.png日本でもクリなどでミツバチが葉の上に落ちた甘露を集めることはあるけれど,量的に少ないから,これだけでハチミツはできない.済州島でもこれでスギのハチミツが採れているわけではなさそう.ただ,済州島は,スギもあるし,日本と植生が大きく変わらないから,セイヨウミツバチとしては同じようにやっていけそう.でも,実は小さな島だけど標高差が大きいから,気候的な変化にも富んでいる.そんなこともあってか,この島の人たちは,けっこうミツバチを大切に飼っていてくれるって印象だった.屋根付きの蜂場も多かったし.
確かに.みんなミツバチが好きそうだった.この写真の二人,夫婦で調査にも協力してくれたんだけど,奥さんが煙をかけて,ご主人がむだな巣や王台を切り取ったり,息が合っていてうらやましかった.継ぎ箱を外すのも再度載せるのも二人で力を合わせてで.今回,調査に関して全面的にお世話になった済州島養蜂協会の会長さんも,まだ若いけど,すごくいい人だった.標高15mから580mまで,いろいろな蜂場を案内してもらえた.


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韓国も巣箱は独立ではなく,ラインに並べる傾向が.巣箱のの上には雨よけや断熱材が乗せられていることが多い.


植生が近いことで海外に来た感覚に乏しい韓国.日本から一番近い国だけど,文字が読めないので中国よりも気分的には距離を感じる.ミツバチ関係で日本と雰囲気がちがったのは,サボテンでの採蜜.葉の先端にラディッシュのような赤い実のなるサボテンの花は黄色.味見させてもらったけど,さわやかな酸味がやや強いハチミツでした.

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花粉は粒径が大きいのか団子にして持ち帰らないけれど,おしべの根元まで潜っては蜜を集めてた.


minilogo.pngミツバチは同じセイヨウミツバチなんだけどね.飼われている地域でそれぞれちがうから面白いでしょう.ミツバチは自然を相手にしているから,たいていの環境の変化にはついていける.文字が読めないとか,そういう問題で悩んだりはしないもの.初めて出会う花だって,すぐに蜜や花粉の集め方くらい覚えられる.人間とどっちが賢いかな?
そういわれると身も蓋もないけれど,同じ次元で,食べ物に関していえば,韓国料理は美味しくて,日本人の口に合うし,食べ方にも共通点は多い.これを美味しいと思う人なら,共通認識あるはずだから,何を食べても安心できると思うし.お茶碗は持ち上げちゃいけないとか,そういった食べ方は,韓国の人に習ったけれどね.箸が平たくて重くて持ちにくいとか,焼き肉は日本のは薄すぎておいしさが今ひとつだとか,そういう評価もちゃんとできました.調査の成果は,そういう意味でもたくさんあったということで....

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2010年06月22日

ネオニコチノイド系農薬とミツバチ

相変わらず,いい加減な記事や,根拠のない言説が氾濫しているので,ネオニコチノイド系農薬をどう考えるべきか,現時点で一度まとめておかなきゃいけないような気がしてきました.ただ,私自身も,実際にこの問題での調査をしているわけではありません.そこで,自分が持っている断片的な情報を,できるだけ合理的につなげてみるという方法で,その意味ではしょせんは個人の推測として書いていることは了承して下さい.辛口ミツバチにも手伝ってもらいましょう.

minilogo.pngネオニコチノイド系農薬が原因とされる蜂群の大量死の実態はあるって理解でいいよね,実際にミツバチは死んでいるんだから.
方法やサンプル収集には異論もあるようだけれど,大量死した蜂から農薬成分は検出されているから,影響があるのは間違いないね.もっとも,これは,有機塩素系,有機リン剤など,かつてもミツバチの農薬被害は発生していたという事実を踏まえれば,過去にも現在にもその実態はあることだといいたい.国内だけではなく,海外でも事例報告はある.確かに新しい局面はあるけれど,「ネオニコチノイド」だから特別に新規な問題ではないことには理解が必要.

minilogo.png「ネオニコチノイド」って括られていわれるけれど,ネオニコチノイド系農薬ならどれでも同じように問題なのかな?
研究フィールドのある和歌山県では,モスピラン水和剤(アセタミプリド製剤)が,ミツバチが訪花中のミカンに散布されるので,現地の養蜂家が「あたる」という表現をする,外勤蜂の大量死が発生する.自分の目で見たものでは蜂場全体の平均で500頭/群/日くらいにはなっていた.
これに較べて,東北や北海道で水稲のカメムシ防除に使用されるダントツ(クロチアニジン製剤)やスタークル(ジノテフラン製剤)による被害(いずれもフロアブル剤や粉剤など高濃度散布が可能なもの)はちょっと雰囲気がちがう.自分の目で経過を追ったことがないけれど,巣門付近での外勤蜂の大量死以外に,2週間程度で急速に巣全体の蜂量が減少している.
つまり,散布される薬剤(成分)や,時期や対象作物によって,被害の発生メカニズムから同じとはいえないだろう.今のような十把一絡げな扱いでは,問題を見誤ってしまうので,注意は必要だろう.


minilogo.png急速な蜂量の減少は,結果として蜂群の崩壊につながるわけでしょう?
ちゃんとした研究があるわけではないけれど,成蜂の急激な減少は,その先の蜂群の崩壊につながりやすいのは経験的にもそうだと思うよ.これは農薬に限らず,自分で把握している現象としては,例えばオオスズメバチの襲来を受けた後にも,時々起きている.農薬被害の場合,どの程度まで成蜂が減少したかが問題ではないという印象もある.というのも外勤蜂だけなら回復可能なこともあるのに,内勤蜂が多数失われると,社会構造の破綻が帰結となりやすいようだね.古い養蜂家が,以前の農薬被害(外勤蜂の多量損失)では蜂群は立ち直ったのに,最近の被害事例ではぜんぜんダメだと嘆いていたが,状況的には合致しているように思う.

minilogo.pngネオニコチノイド系農薬被害では外勤蜂だけではなく内勤蜂が死んでいるということ?
これも国内できちんとしたデータを取るべきだけれど,海外では大量死した巣箱に残された花粉中から高濃度の農薬が検出されている.ここは推論だけれど,同じネオニコチノイド系農薬でも水和剤のような剤形では,直接被曝した外勤蜂だけが死に,農薬の巣内への持ち込みはそのせいもあって制限される.しかし,粉剤やフロアブル剤では,外勤蜂が散布時に被曝するのはなく,イネの場合,散布後に,開花した花を訪れて,花粉と一緒に葉上や穂に付着している薬剤を集めてしまい,これを巣に持ち込んでしまう.外勤蜂が徐々に農薬に冒されて死ぬまでには,ある程度の花粉が持ち込まれるのだろう.海外のケース(フランス)はイネではないだろうから,水田水を汚染源とするようなイネ特異的メカニズムが影響の主体とは思えない.そして,持ち込まれた,農薬汚染された花粉を食べて中毒を起こすのは,巣の中では一番若いグループ,つまり,社会構造の底辺を支える部分ということになる.

minilogo.pngつまり内勤蜂が死ぬことが社会の崩壊につながるということだよね.私たちミツバチの社会は,安全ではない外勤活動を,働き蜂の一生の最後の仕事として分担するので,重要な巣内の仕事は基本的に若い蜂が担当している.この日齢分業は非常によくできたシステムで(なんといっても500万年,この地球上で機能しているからね),安全な巣の中で,外勤になるまでに担当すべき仕事はほとんどの蜂が担当できるので,仕事の生産性は極めて高いし,蜂群は安定的に維持されることになる.その安定には余剰労働力もものをいうので蜂群サイズが大きいと,蜂群はより安泰ということ.
そうだね.ところが,小群(8000匹以下)では,仕事の量的な振れが大きく,例えば最初に外勤活動に出る日齢には2週間以上もの差ができることもある.こうした蜂群は,外界の変化に影響を受けやすく,人間の庇護下でなければ生きていけない.内勤蜂の中でも一番若いグループが死ぬと,分業が寸断されて,巣の環境維持や,働き蜂を産出するサイクルが狂い,巣の生産性は急激に減衰する.結果として蜂群の小型化は加速する.本来,環境に応じて,徐々に小型化が進む場合には,ミツバチとして回復できる能力は持っているはずだけど,農薬被害のようにミツバチの想定以上に急激な変化では立て直しは難しく,やがて崩壊する.研究者も,数千匹が数百匹になる経過を時間で追えてはいないので,崩壊部分の実態は未だに不明なままで,そういう意味でも蜂群崩壊症候群CCD(本来これは「異常な」崩壊現象であって,崩壊自体は,ミツバチにとっては群れとしての自然死でしかない)に似ている.

minilogo.pngそれでもCCDとは異なるわけ?
CCDの定義の問題かも知れないが,農薬被害は,蜂群の小型化へのプロセスに関しては単純だし,多くの場合,その原因を実証できるんじゃないかな.でもCCDは,原因の特定はまだ難しい状態だし,現状では農薬の影響といっている研究者は限定的だね.むしろ栄養状態が悪いところで,ダニやウイルス,ノゼマなどが複合的に絡んでいるという見方が有力になっている.
蜂群の小型化,分業の負担増や余剰労働力の消失,死亡率増加という経過的部分だけが似ていて,つまり衰弱プロセスは同一性が高いが,そこに至る原因や経過は異なると見るべきだろう.これは人間の場合に,血圧低下,脈拍数減少といった,心停止前のプロセスが同じでも死因は同じではないといえばわかりやすいかな.


minilogo.png日本でのミツバチ不足がすべて農薬が原因のようにいわれているけれど,影響は大きいものと見ていいのかな?
もちろん影響を軽く見ることはできないだろう.ただ,2009年に日本養蜂はちみつ協会が実施したアンケートで,養蜂被害の原因として上がった最大のものはダニだった.全国の飼養群17万群(この数字は被害発生時の母数とはほど遠く,小さ過ぎるかも知れない)のうち,あいまいな回答を除くと,何らかの被害があったものは4万群超,そのうちの約1万群が農薬(薬剤の種類は特定されていない)による被害を受けているそうだ.ただし,この「被害」は全損だけではなく部分的被害を含むので,実際に農薬による蜂群崩壊レベルの損害は,この数字に基づけば量的には大きくはない.ただ...

minilogo.pngそれでも大きな問題だと?
そうだね.この問題が,防ごうと思えば防げる可能性を含んでいる点では極めて大きな問題だと思う.農薬反対も部分的には有効かも知れないが,なぜミツバチが農薬に被曝したり,花粉と一緒に集めて来ちゃうのか,その部分の理解がなければ意味がない.イネの場合,やはりなぜそこにミツバチがいるのか,問題発生のメカニズムをちゃんと押さえなければ,農薬が変わっても問題は継続するかも知れない.「農薬で死んでいる」は直接的死因で,自動車にはねられたといっているようなもの.なぜ農薬との接点があったのか,車道を歩いていたのか,相手が酒酔い運転だったのか,そうした事情がわからなければ,再発の防止はできない.

minilogo.png農薬よりもダニなのかなあ? それにこれ以外の要因はないのかなあ?
この部分も難しいところだなあ.ダニに関しても実態は見えてないねえ.対策を打つにももうちょっときちんとした情報収集は不可欠だろう.他の要因も気にとめる必要はあるよ.例えば,今年は花粉交配用に,各都道府県の養蜂組合が今まで以上にミツバチを供出した.その結果,大きな不足はなくシーズンを終えた.ところが,採蜜養蜂家の一部が,越冬に失敗したり,春の低温もあって,採蜜群を立ち上げられなかったりしている.こうした養蜂家は,交配用に拠出した分,越冬時の蜂群サイズを小さく設定したそうで,技術的な問題でもあるかも知れない.それも,結局のところ,園芸用のミツバチ需要が大きく,それを支える養蜂業が体力的に支えきれていないという事情が露見したという雰囲気だけどね.
それに,養蜂家の間で明暗が分かれている感じだけど,冬期の損失が例年以上に大きいという印象はある(読売の新聞記事になった養蜂家なども含めて).昨年国内で発見されたアカリンダニの被害かどうかもわからないけれど,今一度,病原の浸潤状況について広域の調査を行うことも急務だと思う.


minilogo.png結局のところ,ネオニコチノイド系農薬とミツバチの関係はどう考えればいいの?
農薬が農業の現場で用いられていて,なおかつミツバチも農業の現場に組み込まれている.その点で接点がないわけではないので,そのことをきちんと認識して,危険な接点をどう減らすかということを考えるのだろうね.減農薬の推進や,農薬の使い方の見直しもけっこうなことだけど,花に来て蜜を集めているだけのように見えるミツバチが,もっと広範に農業に役立っているという認識があれば,本来は自ずと防げるんじゃないかと思う.
根拠のない漫然とした不安や嫌悪感から何となく農薬を悪者にすることは,養蜂家と農薬の使用を前提としている農家の対立構造を招くだけ.本当は,受粉を必要とする園芸農家と養蜂家が協調できるような方向性こそをメディアは訴えるべきだろう.工業立国もままならない日本において,今,農業のあり方はいろいろな意味で問われていると思う.現実的な視点に立って,理想論や他者の存在を忘れた議論に走らず,広く情報を収集して記事にして欲しいよね.


minilogo.pngその点は,ミツバチ一同も同じ.よろしくお願いします.


posted by みつばち at 08:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月21日

ミツバチ大失踪は人間社会のひずみを投影?

読売新聞に「数万匹×120群…丹波でミツバチ大失踪の怪」(6月16日)という記事が掲載されました.
丹波の養蜂家の事例や,兵庫県立大自然・環境科学研究所の大谷剛教授の談話で構成されているこの記事,締めくくりは,「人間社会のひずみを投影」という結論(?)です.さすがにしばらくおとなしくしていた辛口ミツバチも我慢の限界のようです.


minilogo.pngこの記事に関しては,農薬ネットにも疑義が挙げられているけれど,やっぱりどこか無理があるよ.農薬が,越冬期に効いてくる可能性はあるかも知れないけれど,養蜂家が,実際に被曝した時期に何も気がつかなかったはずはないし.
確かに,他県での事例との整合性はないね.記事を書く立場で,農薬原因説が頭の中に先行していて,他の要因を明らかに無視したがっているといわれても仕方ない展開だと思う.いつものように分解して検討してみよう.

minilogo.png異変が起きたのは1月3日だけど,イネやマツクイムシ防除が行われたのはいつだろう.イネでのネオニコチノイド系農薬によるカメムシ防除は出穂期の8月が一般的だから,その影響が1月まで出ないとは考えにくいよね.
北海道で交配用ミツバチの増群を行う養蜂家たちが農薬被害を受けるのは,散布時期からの数週間だといわれているから,確かに1月に気がつくのでは遅い.この時期であれば,最近確認されたアカリンダニの影響の方が推定原因としては重要ともいえそうだね.今年は,交配用にミツバチを拠出して越冬蜂群のサイズを例年より小さくした養蜂家が,越冬に失敗しているケースも多い.原因に関して明らかに取材不足だろう.あいかわらず一個人発の情報ですべてを書いちゃったという感じだね.

minilogo.png1月3日というのは,ミツバチが2日まではいたということなのかな? こんな冬期に,しかもセイヨウミツバチが逃去するとは考えにくいし,蜂群の状態としての劇的変化が,この時期にすべて同調して起こるなんてあり得ない.
これはおそらくこの養蜂家が気がついたタイミングがこの日だったということであって,それ以前から徐々に起きていたのだろう.記事にする時点で「劇的」な表現にしたかったという感じかな.そのことには意味がないんだけどなあ.

minilogo.pngこの養蜂家は中日新聞の記事では100群を全滅させたといっているけど,今回は120群になっているね.ミツバチとしては,被害が正確に伝えられるべきと思うけれど...
その点は,正確なことはわからないな.取材が相次いだことで,養蜂家自身に,より正確な情報を提供したいという気持ちが働いたのかも知れない.ただ,この記事を書いた記者が,中日新聞の記事を見ていれば,自分が挙げた数字の根拠を示して書けただろうに.正直なところ,このことだけでも,この記事の信憑性は低下すると思うよ.

minilogo.png兵庫県立大自然・環境科学研究所の大谷剛先生は,日本で一番長い時間ミツバチを観察してくれた人だから,その発言は重いと思う(養蜂レポート参照).この見解は正しいのかな?
8群中一群で,巣内の残留花粉にネオニコチノイド系の薬剤が検出されたというなら,少なくともこの一群の損失要因としての見解は間違いではないだろうね.もちろん,イネの花粉があったということだけでは,この結論は性急すぎる.ただ,記事では,丹波の120群をこの言説で説明できるといいたがっているように見える.でも丹波のはあくまでも冬期の話だし,大谷先生のいっていることがそれを説明しているという雰囲気をこの記事に持たせるのは読者を間違った方向に誘導しているとしかいえない.大谷先生は関連性を指摘していないのに,話の内容から何とか結びつけようとしたんじゃないかな.

minilogo.png大谷先生は,ネオニコチノイド系の農薬はミツバチの脳に作用するといっている.そんな恐ろしいものが世の中にはあるってこと?
その点は,ミツバチには気の毒だけれど,存在自体は事実だねえ.ただ,例えば「沈黙の春」で問題視されたDDT(有機塩素剤)も,一世を風靡(?)した有機リン剤にしても,ミツバチを含む昆虫の神経系に作用するという意味では同じことで,これはネオニコチノイド系農薬特有の話ではない.なんとなくネオニコチノイド系農薬だけがそのような効果を持つような一般的理解があるけれど,その点は明らかに誘導された誤解だねえ.それに神経伝達をかく乱することが,脳に作用するというのもやや文脈的な勇み足で,神経系が複雑な昆虫では,必ずしも「脳」に作用するまでもなく致死的な効果はあるはず.今のところ,誰もそのような死因診断をきちんとできた試しはないから,そういう言説自体は科学的とはいえないかも知れない.巣に戻れなくなるというような話もネオニコチノイド系農薬で初めていわれた話ではなくて,合成ピレスノイドでも,致死量以下の被曝で帰巣が困難になるという報告はある.この点で,ネオニコチノイド系農薬だけがミツバチにとって恐ろしいものではない.それに「ネオニコチノイド」も,単にグループの名前であって,その中でもミツバチに対する影響は成分ごとにも異なるし,かつ剤形的に影響のあるものとないものがあることもわかっている.

minilogo.png大谷先生はミツバチが「環境指標生物」といっているね.この点は意見が異なるのでは?
そうだね.飼育可能な動物を環境指標にすることはできないし,カナリアのように環境悪化の検出器に使うことすら難しいだろう.というのは,例えば農薬でミツバチが死んでいても,それが人間の環境悪化に直結するわけではないから.ネオニコチノイド系農薬が人間にも害を及ぼすなら,そうした一面は肯定的に考えられるけれど,昆虫への特異的毒性を発揮できる農薬という観点では無理だ.カナリアとの相違も同じ観点で,坑道で人間にも影響のある炭酸ガスや一酸化炭素ガスの検出にカナリヤを用いるのとは訳が違うってことだ.
この流れで,帰巣性に関しても,記者が明らかに言葉をはしょって誤解している感じだな.


minilogo.pngさらに「昆虫を殺し尽くすことは生態系を壊す。将来、人間に大変な結果をもたらす」といってるよ.人間にも大変な結果って何?
この部分は,明らかに何か言葉が欠落しているね.昆虫も生態系の一員で,というより人間よりも構成員の数として多いのだから,生態系の破壊というような言い方自体はできると思う.ただ,人間にとって大変な結果というのは,何を伝えたい言葉だったかはわからないし,恐怖を煽るおどろおどろしい脅し文句でしかない.もっと具体的に言及されているべきだと思う.記者が具体的な部分を聞き損ねたのかなあ.最近の記事では,こうしたわかんないまま書いたよという展開が多いような気がする.

minilogo.pngミツバチとして「育児放棄をしていなくなる」なんていわれたくはないな.しかもそれを人間の行動と同列に扱われている.冗談じゃない.
これは,確かに恣意的な言葉遣いというか,言葉遊びだね.ミツバチでは「共食い」として,育てきれない幼虫を働き蜂が食べて栄養の再回収を行うことはあるけれど,それは育児放棄ではない.あるいは,巣を捨てて緊急避難する場合(攪乱誘導型の逃去)には,確かに幼虫や蛹は見捨てられる.でもこの場合は,火災などで,子供を救えなかったケースと同じであって,最近,人間社会で問題になっている「育児放棄」とは次元が違う.この記者はその点に関して,ある外因が「育児放棄」を促すもので,それがミツバチでも人間でも同じだといいたがっているかのようだね.でも,それにはまったく根拠がないし,表面的にも考えたとは思えない(記者としては,根拠がない根拠を示せというかも知れないけれど).

minilogo.png結びの「ちらつく農薬の影、育児放棄……。人間社会のひずみを投影しているように見える。」は何が言いたいの? ミツバチの小さな頭では何を言いたいのかまったくわからないよ.
エモーショナルに書きたいという雰囲気だよね.言葉は悪いけれど,書いていることに酔っている状態だと思う.人間とミツバチで起きていることが同一要因とすることで,書いている本人は責任を逃れている,つまり,ミツバチの問題からも人間の問題からも.正直なところ,この文章というか,言葉遊びが誰かの心を動かすことはないと思うよ.

minilogo.png結局のこの記者さんは,人間社会のひずみの原因を農薬のような「モノ」にすげ替えることで,自分は悪くない,何も考えなくてもいいと表明したがっているってことなんじゃないの?
最初から,すべての根源はネオニコチノイド系農薬であるという態度というか思い込みがあるようだね.でも,整理してみると,大谷先生が指摘するような農薬被害が1月に発生するとは考えられないし,剤形の面はともかく,作用の面ではこれまでの農薬と変わりはない.ネオニコチノイド系農薬の一部の成分および剤形がミツバチに毒性が高いこと自体は間違いないけれど,それを日本で起きているすべての事例に適用できる内容ではないし,確かに読者から考える材料を奪っているとしかいいようのない記事を「作った」感は否めないなあ.どうしてこういう記事が後を絶たないんだろう.

minilogo.pngそうだよね,どうしてこうした報道では肝心な部分が見落とされるのかな.いい加減な農薬原因説の陰で,農薬以外の原因でミツバチが死んでいるかも知れないのに.おまけにどうして人間社会と一緒くたにしなければならないの?
農薬以外の原因というのはアカリンダニとか,病気のことだよね.確かにこちらの問題をきちんと把握して,対策を立てる必要は大きいね.この点の調査が遅れていて,ミツバチが直面している問題への対応が遅れているのは申し訳ない.
社会という意味では人間社会もミツバチの社会も同列に議論できる部分はもちろんあるだろうけれど,だからといって人間の社会で起きていることがミツバチの社会で起きている問題ということにはならない.「投影」という言葉にこの記者が託したものが何かはわからないけれど,ひずみやゆがみというものの存在を嗅ぎ取ったということではあるのかな.ただ,相互に同列感はあっても,中身は見つけられなかったんで,警鐘的に書いてやろうと思ったんだろうけど,情報不足なまま書いたので,結果的には明らかに責任逃れな,いい加減な記事になってしまった.その点は人間として恥じ入るよ.


minilogo.pngいつもと同じ終わり方になるけれど,どうか記者の方,こうした記事が伝えることがちゃんと意味をなすように,書く立場での責任を感じて下さい.小学生だって新聞を読んで,ミツバチのために何をすればいいのか聞いてくれる時代です.大人が,特にメディアに所属する方がちゃんとした情報発信をしなければならないのではないでしょうか? わからないことはミツバチに聞いて下さい.私たちにもわからないことはたくさんあるけれど,一緒に考えてくれる人もたくさんいます.その人たちの意見も聞いてから記事にして下さい.ミツバチとして農薬が不安視されるのは結果的には悪くないように思ってもらえているのかも知れませんが,科学性がなければそのことには本質的な意味がありません.ミツバチは農薬が必要な農業の現場でも働いているのですから.誰もが納得できる,普遍的な事実をちゃんと伝えて下さい.ミツバチからの,いつものお願いです.
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2010年06月02日

蜂群崩壊症候群〜ついに原因解明か?

5月25日に,アメリカ農務省ベルツビル・ミツバチ研究所のジェイ・エバンズ博士がサンディエゴで開催された第110回アメリカ微生物学会の「絶滅現象における微生物」部会で,「蜂群崩壊に関与する微生物」と題した発表を行いました.
まだ予備的な証拠とはいうものの,注目に値します.また,そこから導かれているストーリーは,蜂群崩壊かどうかはわからないなりに,ミツバチ不足の危機感を持っている他の先進国にも共通の問題です.アメリカの養蜂雑誌Bee Cultureのキム・フロッタム氏のブログを素材に少し解説しておきます.


ノゼマ原虫(この場合はトウヨウミツバチを原寄主とするNosema ceranae)が働き蜂成虫の腸管内に侵入して,その上皮細胞に損傷を与えて,その中で増殖する.結果として傷ついた上皮細胞はイスラエル麻痺病ウイルスの侵入経路となる.これが蜂群の崩壊につながると推測されている.
minilogo.pngこうした連続的な微生物の攻撃は,学界のそれまでの常識的には認められていなかったんだって.ただ,入手した資料だけでは,ウイルスが実際にどう影響したのかはよくわからないな.この先の筋書きの方がやはり怖い.

エバンズ博士は,蜂群への他のストレス,特に栄養ストレスがこの過程に影響するといっている.蜂群崩壊は一種の季節現象,春に起きやすいもの.この時期は,越冬した古い働き蜂が,新しい働き蜂を作るために採餌を開始し,同時に,花粉をミルクに変換している時期.この時期以外であれば,働き蜂はどちらかを担当し,同時にふたつを担当することはないから,これが働き蜂にとっては大きな負担で,不足を補うためには,自分自身の体からタンパク質を再吸収してでも利用すると.
minilogo.pngどうかなあ.一匹の働き蜂が両方を担当することはないと思う.そういう場面でも本来は分業は起こるはず.ただ,働き蜂になってから,数ヶ月経過しているので,他の季節なら10日齢くらいまでの若い働き蜂が担当する,花粉の消化・吸収に関してはかなり無理を強いられちゃう.もちろん花が少なくて栄養不足になれば,飛翔筋からタンパク質を再吸収してでもミルクを分泌しなきゃならないし.

早春期は,天候も不安定だし,充分な花粉が得られるとは限らない.でも一度育て始めた蜂児に対しては餌を与えなきゃいけないから,栄養的な負荷は相当に大きいね.ニホンミツバチ(トウヨウミツバチ)では,こうした場面では成長途上の蜂児を共食いして,再吸収,再分配する.セイヨウミツバチもこのシステムは持っているんだけど,トウヨウミツバチの方がより効果的にやっていた.
minilogo.pngだから,トウヨウミツバチの方が足るを知るタイプだ,セイヨウミツバチは勢いで進んじゃうタイプだとかっていいたいんでしょう? まあ,そうなんだけどさ.

で,ノゼマ病に冒された働き蜂では,消化・利用率がさらに下がることが予想され,結果として餓死,そして蜂群崩壊の始まりということらしい.
minilogo.pngでも餓死だったら死体は見つかると思うな.蜂群崩壊症候群のこれまでいわれてきた特徴と,こうしたメカニズムの整合性に関してはもうちょっとデータが必要そうだね.

この研究成果に基づけば,秋季に充分な餌を持たせて越冬させることと,ノゼマ病の予防をきちんとすることが推奨される.いろいろな餌の開発も進んでいるから,そういうものも利用されることになるだろう.ノゼマ病に関しては,日本での実態はまだわからないな.養蜂家が使えるように登録された防除薬もないので,予防をといってもできることは限られてしまうけれど.
minilogo.pngコロラド州立大学のドゥルバ・ナウ博士のグループが,去年いくつか論文を出していて,ノゼマの影響は,開発が進んだ場所で顕著となることを予測しているよね.つまり花粉源や蜜源が少ないという栄養的ストレスが,ノゼマ病によって加速されるということ?

そういうことらしい.そういう意味でも,ノゼマの実態がわからない現状では,越冬期前後の栄養状態が悪くならないように,ミツバチが利用できる植物を増やすことには意義がありそうだよ.
minilogo.png結局は,人間頼りにはなってしまうけれど,花を増やして下さい.それがどんな人にもできるミツバチにとっての救いの道です.よろしくお願いします.


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ミツバチの沈黙? 黙ってられない!

中日新聞の「ミツバチの沈黙」の連載が7回で完了しました.前回,第6回だけを批判的に取り上げましたが,辛口ミツバチはなにやら収まりがつかない様子.この連載,環境を考えるシリーズだったわけですが,私たちは果たして環境を考えることができたのでしょうか.

連載の締めくくりは,「ミツバチがすめない世界に,人間は住めるのだろうか−」でした.反語的に「いや住めない」といいたいのか,可能性を純粋に問うているのかは読み手に委ねすぎているのかも知れません.生態系底辺(表現としてどうかな?)に起きていることをどう伝えるべきなのか,実は難しい問題です.というのは,第7回で書かれた現象はすべて個人の印象であり,こうしたものを列挙することでは,実は怪しい健康食品の体験談集と同じレベル.科学的な証拠はなくても,集めれば読み手が勝手に効果があると信じ込むように,「環境」に異変や問題があると思い込む.思い込むことで,健康食品の場合は,購買行動へ進むけれど,この記事の狙いであった環境を考えることに,万が一つながるとすれば,怪しい健康食品を買って,結局,損をすると同じことで,適正には考えられない,下手をすれば,害があるかも知れません.何かが明らかに欠落しています.


minilogo.png待ってよ,一人で進めないでよ.ミツバチにだって言わせてよ.そもそも現状でセイヨウミツバチは農業の現場で働いている.ハウスではたくさん死んでいる.でもそこに入れるために増やしてもらってもいる.一方的に死につつあるわけではないよ.ニホンミツバチさんは減っているところもあれば増えているところもある.結論を急ぎすぎだよ.ミツバチが住めない世界を,いきなり想定するなんて議論はおかしいよ.人間が飼っている生き物でもあるんだよ.生きているミツバチにとって,こんなSFな仮定は意味ないんだ.今をきちんと見極めないまま,「このままじゃあ滅んじゃうねえ」なんて高みの見物で,人間はいいと思っているわけ?
書き手としては,もちろん話法として,私たちは考えるための材料を集めてきました,ここで極限的な仮定をして,そうならないためにどうできるのか,そこを考えましょう,という筋書きなんだろうけれど.

minilogo.png考えるための情報は与えないまま考えさせるんだね,人間は.だからろくでもないことばっかりする.うわべが似ているだけの,断片化された情報を集めて,仮定するための,そして考えるための材料ですよって見せ方をして,相手の思考を停止させて,無意味な仮定をして,ほら考えなさいって,そんな無責任な情報提供の仕方は,人間が下等だと思っているミツバチだってしないよ.
その点は同意.確かに,集めた情報が,例えば背景が無視されている.読者に共通の背景があることを匂わせるつもりがあるなら,ちゃんと書けばいい.書かないということは,書き手にも実は背景事情の共通点は認識できていないということだろう.互いに不都合な情報,例えば記事の中ではクモも減っているとされているが,ネオニコチノイドに反発している養蜂家はクモが増えていることを重要なポイントとして挙げている.こうした点は,背景事情がさまざまであるということでもあるし,こうした発言者の思いつきは,単純化されすぎて,一方で普遍性が乏しく,何かの判断材料にするには質的な問題があると理解すべきなのかも知れない.
あとは,やはりどの事例も検証性に乏しくて,いずれも風聞でしかない.原因を推測することさえ難しいのであれば,これを考える材料にできるだろうか? いや,できない.


minilogo.pngおどろおどろしい事物を集めて,怖がるのでいいならお化け屋敷でいいじゃない.環境問題は,スズメが減ることなわけ? なぜ,そういう原始的な予兆が欲しいのかなあ? 違和感を感じて,そのうち恐ろしい実体を見ることになりますよなんて,ただのホラー映画だよ.人間はしょせんそのレベルってこと? そんなのに任せてたら,あらゆる生き物にとって不幸だよ. 
任せたくはないという生き物は多いだろうねえ.昨年末には「動物の反乱」なんて本まで出ているくらいで....
確かに「スズメの数が減っているから何かおかしい」は個人の印象としては理解しやすい.でも,それだけではなく,そのことがどういうことなのか,科学的な評価を取材してあれば,この点はよかったのかも知れないな.いずれの風聞にも,少しでも科学的検証が加われば,この記事もただのお化け屋敷や秘宝館から,博物館レベルに向上できたかも知れない.


minilogo.png「ハチや小さな生き物たちが姿を消し...」も,いつの間にか事実化している.これだけの情報で,ミツバチも消されちゃうの? 危機感を煽るのではなく,ちゃんとしたアセスメントがあって,データに基づいて,本当の意味での危機を伝えてもらえないのであれば,ちゃんと考えてもらえないよ.
一応「...気がする」ということで,事実とまでは断言していないけれど,読み手の多くは,姿を消しているのは事実と思うだろう.でも事実はデータによる裏付けが必要なのはいうまでもない.ここで取材を受けた人々が伝えたことを,科学的に評価できる人がいれば,そこを取材すればいいし,まだということであれば,こうした研究こそ必要と,地道な環境評価研究の大切さを訴えてくれればいい.

minilogo.png「鳥のすめない場所では,人間にも影響が出てくる」は何の影響のことを言っているの? 人間がいないところなら鳥はすめると思うよ(「『自然との共生』というウソ」(高橋敬一)参照).人間活動自体が,他の生き物を脅かしているんだから,今度は,どうやら自分たちも危ないぞって,その展開はないんじゃないかな.結局,人間は自分たちがしでかしたことに気がつくのが遅すぎる生き物なんだろうね.ミツバチを待たずに淘汰されて下さい.
まあまあ,そう結論を急がなくても.この「影響」は文脈的には明示されていない.農薬だと思う人も地球温暖化と思う人もいるだろう.セイヨウミツバチのように人間に近いところで生きているものは別として,多くの生き物にとって人間が与えているさまざまな負荷は相当に大きいだろう.そのことは,「『自然との共生』というウソ」でも描かれているけれど,人間のいないところが野生生物の楽園化していくプロセスを見れば明らかともいえる.

minilogo.pngセイヨウミツバチにも人間が多大な負荷を与えているんですけど....
もちろん,そうだね.現状は,それがある必要の上で成り立っている.本当にすべてのことが必要なことなのか検証する必要はある.代替できるものはないだろうか,意識を変えることでできることはないだろうか.現状をどう改善できるのか,そういうことを考える契機になるようなプロセスは必要だろうね.

minilogo.pngでもそのための情報が不足しているよ.この記事の全体として,「今」がどうしてもぼやけてしまう.その先にどう進むのか,この上に何を構築するのか,出発点も土台も正確に描くことができないなら,材料があっても先も上もないじゃん.
環境問題は建設的に考えることが重要だとは思う.懐古主義や郷愁では何もできない.ここを出発点と見極めて新しい環境を創成するという気概がないとね.その点では,自分たちが生きてはいけなくなりつつあるという危機感高揚型の訴求,つまり今を否定するようなやり方はもう時代遅れなんじゃないかな.
みんなが,現状をきちんと観察した上で,こうしてはどうかという知恵を集め,それぞれを具体化する中で,何がよくて何が悪いかの評価をする.環境問題を扱うということで,多様な生き物を含めた取り組みは実際には世の中にはたくさんあると思うけれど.
そういえば,みつばち百花は第3回環境ビジネスプランコンテストでアドボカシー部門賞をいただいている(ブログ記事参照).このアドボカシーという言葉は「権利擁護」などとも訳されているけれど,もっとミツバチや他の生物の立場を代弁するという方向性があってもいいかも知れない.それ自体が視点の移動にもなり,環境のとらえ方も人間中心だけではなくなっていく.


minilogo.pngミツバチ自身,決して沈黙しているわけではないんだよ.でもどうして伝わらないの?
ミツバチの言葉は,たぶん研究者ならある程度,翻訳ができると思う,それを一般に伝えるのは,サイエンスライターやファシリテーター,あるいは上でいうところのアドボケイターという存在だろう.本来は,新聞などのメディアがその機能を持っているはずではあるけれど.だから直接は伝わっていかないかも知れない.
あとは,さまざまな活動を通じてミツバチの発言の場も増やさなきゃ.その情報に基づいて世の中でミツバチをちゃんと考える活動がさらに増えていき,それぞれが長所を伸ばし合えるような関係を築いて,将来に向けた,ミツバチだけではなく多くの生き物を含めたコンセンサスを得ながら,環境創成という方向に向かえばいいと思う.
次はいい記事になるように期待したいね.


minilogo.pngこの現状で,ミツバチを取りあげてもらえたことは純粋に嬉しかった.でも,やっぱり「今」をもっときちんととらえて欲しかった.その上で,何をしなければならないのか,何をするとよいのか,読者の人々がちゃんと考えられるような記事を期待します.記者の方々,これからもよろしくお願いします.


動物たちの反乱 (PHPサイエンス・ワールド新書)

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「自然との共生」というウソ (祥伝社新書152)

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2010年06月01日

救世主も激減? 救世主が減るほど到来してたのに,いまや世も末?

中日新聞の環境を考えるシリーズで「ミツバチの沈黙」が連載されています.第6回は「救世主も激減」とか.タイトルをみても何のこと? 救世主が減るってどういうことよ,みたいな戸惑いを感じました.

前半に登場しているのは長崎県のニホンミツバチ養蜂家の久志さん.海外の学会にも参加したり,ある意味とても熱心なお方です.精力的な執筆活動もされていて,「ニホンミツバチが日本の農業を救う」に続いて,「我が家にミツバチがやって来た―ゼロから始めるニホンミツバチ養蜂家への道」が出版されています.それ自体は,個人の主張であり,個人の姿勢であるので,とりあえずは置いておいて,今日はこの新聞記事(Web版)について辛口ミツバチの意見を聞きましょう.


minilogo.pngニホンミツバチさんが日本の農業を救ってくれるっていうなら,それはいいことだと思うよ.私たちセイヨウミツバチも助かる.ただ,日本の農業っていっても,何でもかんでもミツバチが活躍できるってものでもないようには思うけれど.
この記者の方は,久志さんが「日本の農業を救うのはニホンミツバチだ」と信じているから,ニホンミツバチに「救世主」という呼称を与えたのだろう.タイトル自体は記者の方が本人の意思でつけたのではないかも知れないけれど.

minilogo.png救世主って,世の中が滅びそうな頃に現れて,みんなを救ってくれるっていう人のことでしょう?
人なんだか神なんだか.でも,それを常時に使う場合は,敗退傾向になるのを挽回できるとか,状況を改善する力を持つ者という程度の理解かな.

minilogo.pngそういう意味ならニホンミツバチさんが救世主でも悪くはないのかもね.でも,救世主って激減するものなの? そんなに減るほどもともといたってことなら,もう充分に救われてたはずじゃないの,日本の農業?
確かにね.この記事の展開では,「ニホンミツバチ=救世主」,「ニホンミツバチ=激減」,したがって「救世主=激減」ということだろう.「救世主」という言葉に「激減」という言葉をつなぐのには抵抗がなかったんだな.最近の記事は,理科教育上どうかなというものが多いけど,次は国語教育上でも問題にされそうだな.ハンドブック使っているだろうにねえ.

minilogo.pngでも,本人たちが救われてないんだから,ニホンミツバチさんが「救世主」ではなかったし,ニホンミツバチさんの激減は,佐世保の話だけが書いてあって,でも,久志さんも長崎県の中で増殖にも成功しているし,いろいろ病気や農薬被害の話もある一方で,ハチミツが高価に売れるから飼う人も増えているみたいだよ.ふたつのつながらない「イコール」でこのタイトルにしたわけ?
せめて「?」くらいはつけて欲しかったかな.一人の信条と,ひとつのケースでこれだけのタイトルを書く.文章にとってタイトルは顔だからね,多くの人はそこで中身を読む前にいろいろな判断をしてしまう.明らかに不用意な感じだね.以前は,文献とかを示してさえ,同じ言質を3か所の筋で取らなければ記事にはできないとかいっていたけれど,その点は記事作成規範が緩くなったということなのかもね.

minilogo.png後半はネオニコチノイドだね.1回目も農薬だったから,やっぱり農薬が悪いと書きたいんだね.でもなんかしっくり来ない記事だね.
全体としてネオニコチノイドをはっきり悪と決めるところには遠慮が見られるからかな? そのせいで文章が半端だなあ.

minilogo.pngそうじゃないよ.最初は,佐世保でミツバチが大量死したり失踪して,農薬が疑われた.つくばの研究所で調べたのは長崎のものだけではないよね.そして愛知県の稲作農家が戸惑う.日本がいくら狭いとはいえ,各地それぞれの事情を一本の線につなぐのは,B級のミステリーにしたって相当無理がある.それとも日本の農業はそんなに画一化されているわけ?
ポジティブにこの記事を理解すれば,長崎では農薬が問題と疑っている.でも研究所は,農薬だけではないかもと研究を継続している.ただ,稲作農家の心情的には戸惑いも.だから愛知・岐阜では行政が対応に乗り出した.どう?

minilogo.png忘れちゃいけないポイントはいくつもある.ミツバチからすればネオニコチノイドは怖い農薬だよ.そこにいる他の動物には影響がなさそうなのに,昆虫には劇的に効く.実際に農薬散布が行われていて,時間的なことや,巣の中の残留(特に花粉),蜂児や若い働き蜂の死亡率を調べれば,それが農薬の被害かどうかはわかる.農薬メーカーだって過去に見舞金を支払ったこともあるんだから,農薬で死ぬケースがあるのは間違いない.でもすべてが農薬だと思っていたら,怖い病気を拡大させたり,他の原因を見逃しちゃう.そんなこと人間なんだからそのでっかい頭で思いついてよ.
確かに,今年発表されたフランスでの調査でも,大量死の一部だけが農薬被害ということで,他は原因が不明だった.世界の研究者も,各地で起きていることをひとつのことと考えるのは危険と感じていて,ちゃんとした個々の原因に関しての情報集積をはかろうとしている.フランスでは,ネオニコチノイド系の農薬を部分的に使用禁止にしたのに,ミツバチの大量死がとまらず,一般農家の不満が高まってきた.国としても農薬禁止ではなく,蜜源増殖ということで養蜂家の気持ちもなだめようという政策に出てきたしね.

minilogo.png農薬被害だって騒いで,そっちばっかり見ていたら,危ないっていってんの.それはそれで原因が明らかなら,騒いでないでちゃんと対策とればいい.予防的にやれることもあるんだから.でも,ニホンミツバチさんは,もし,昔,東南アジアで流行ったサックブルード病ウイルスが入ったら,大きな打撃を受けちゃうよ.ただ,サックブルードなら見たらわかるよねえ.あんなに顕著な症状出るものねえ.でも誰も言い出さないからちがうのかなあ.
その点は難しいところだな.同じウイルスが入って来るとも限らないし,症状も,だから死に方もまったく同じではないかも知れない.この時代なら,ウイルスの遺伝子を検出できると思うけれど,そのことがすぐ流行病を見つけたことにはなるわけではないので,難しい.

minilogo.pngでも,救世主ってウイルスや農薬に負けちゃうわけ?
だから,そこは言葉の綾だってば.

minilogo.pngなんだか,救世主願望があるって世紀末っぽいね.人間には,「人智を尽くして天命を待つ」っていうカッコいい言葉があるのに,今は逆っぽい.救世主を望んでいる状況は,自分にできることは諦めて,責任を負わず,他人の努力も認めないで,ひたすら奇跡を,どこかの誰かが起こしてくれるのを待っているだけ.そんな他力本願な人間に担がれるニホンミツバチさんもかわいそうだけどさ,今,実際に頑張っているセイヨウミツバチはまったく無視なわけ? セイヨウミツバチがダメならニホンミツバチさんでいいっていいたいんだろうけど.もうダメなんだ,私たちセイヨウミツバチ.でもだれがダメにしたんだよ−!
まあまあ.実際,農水省の本予算としては初めて,ミツバチ対象の補助事業が今年度から始まった.昨年の調査研究が農水の補正予算での初めての補助事業.これまで,ミツバチといえば地方競馬とか関連収益事業からの補助金ばかりだった.いよいよ農水省も本腰というか,ミツバチもお役所からは一人前に扱ってもらえるようになったということだ.

minilogo.pngこんなぼろぼろになるまでこき使って,足腰立たなくなっているのを見て,初めて一人前扱いなんだ.もっと元気なときじゃあだめだったわけ? もう元には戻れないかもよ.第一農水省の補助事業なんて人間のためのじゃないの.
長期的展望なしに今回のミツバチの不足は予見できなかったかといえば,海外での研究は少し先行していたわけだから,必ずしも前もって打つ手がなかったというわけではないだろう.その点は研究者にも責任はあるだろうね.でもここで農水省が本気なら多少は変わっていくのかも.お金を使うのは人間かも知れないけれど,ミツバチのためになるように知恵が集まると思うよ.

minilogo.png手遅れにならないうちに,ちゃんと情報を集める努力をしようよ.メディアは情報を集めるのが得意なんでしょう? お手軽にかすめ取ったような話だけで記事を書かないで,ちゃんとミツバチにも納得がいくような記事を書いて欲しいな.そっか,部数が増えるように人間向けにはいい加減な記事を書いてもいいから,集めた情報は漏らさずミツバチに伝えてくれると嬉しい.ミツバチから研究者には情報提供をするから.
おいおい,いい加減な記事で動く人間ばかりでも困るだろう.ちゃんとお願いをしておいた方がいいと思うよ.

minilogo.pngでは,記者の皆様,適正でわかりやすい記事*を書いて下さい.私たちも取材は拒みません.沈黙はしませんから.


*原文は「ぜひ憶測ではなく,無理矢理でもない記事を書いて下さい」でしたが,それ自体が記事作成の姿勢を「憶測」している表現であったので,訂正します(2010年6月3日)




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2010年05月31日

「ミツバチ好き」を超えよう

麻布大学の高槻成紀先生と南正人先生共著の「野生動物への2つの視点 “虫の目”と“鳥の目” (ちくまプリマー新書)」が出たのでさっそく読んでみました.お二人は「シカ」という動物を異なる角度(それが虫と鳥の目)で研究対象として捉えていて,その研究からわかるシカの一生やシカの餌となる植物の話も面白い.少々乱暴だけど,シカをミツバチに置き換える発想に持ち込むと,いろいろなことが見えてきて,やっぱり一読の価値があります.

とりわけ,主観的な「好き」から,だれとでも共有できる科学的な方向性を持つことを,若い人(麻布大学で獣医を目指すような)へのメッセージとして語っておられるところには共感.もちろん一般の人たちが,最低限の科学性を保有するという点でも参考になるでしょう.

この最終章では「小さい生き物が大きな働きをしているという話を聞くと痛快な感じがする」というところで,ミツバチのことにも,ふれてもらっています.

科学あるいは科学的という言葉は,このブログでは,私の職業的な立場から何度か使っていますが,そのあたりを今日は辛口ミツバチと語ってみます.


minilogo.pngいい本だと思うし,研究者の自然観が見えて面白いけれど,ミツバチの記述はちょっと間違っているね.「花の蜜はミツバチの体内でインベルターゼという転化酵素によって分解され・・・」はありがちな間違いだけれど,訂正して欲しい.
そこから来たか.ミツバチを一番知っているはずの養蜂家でさえ,同じ間違いはよくするし,畑の違う研究者なら,この程度の間違いは許容範囲かなあ.この転化酵素は体内ではなくて,貯蜜に混ぜられて,六角形の巣房の中で働く.こう訂正しておけばいいかな.

minilogo.pngハチミツが「気の遠くなるような(ミツバチの)努力によってしか得られない」という記述は嬉しい.でも「もし地上からミツバチがいなくなったら,私たちはハチミツを味わうことはできなくなる」は,やっぱりそれだけ?みたいには感じちゃうなあ.
その先にちゃんと受粉の話もあるから.でも「気の遠くなる」も人間がという話で,ミツバチからすれば,日々実現可能な営みってことだよね.やっぱり人間の想像力の限界を感じる.

minilogo.pngマルハナバチさんが「航空力学的には飛べない」とかいわれてて,でも「普通に支障なく飛んでますから」っていってた.航空力学的に問題のないっていう飛行機でも落っこちるのにね.人間の科学は,まだ自然には追いついていないんだ.
追いつくことが目指されているわけではないと思うけど,できるだけ多くのことが理解できたらいいなとは思う.その仕組みを明らかにすることが,そのまま人間の技術に直結して,人間として何かができるようになるという以前に,きっとその生き物に敬意を感じるだろうし.

minilogo.pngそうかな.人間は,人間以外の生き物を支配できると思って,理屈の通じないものを明らかにしようとしているだけみたいだよ.で,明らかにできなければ,理屈に合わない,理論的には間違っている,そんなものはそもそも存在しないとか,むちゃくちゃいう.
日本人が,生き物を支配できるという着想をもったのは歴史上,最近じゃないかな.大阪市立大の瀬戸口明久先生の「害虫の誕生―虫からみた日本史 (ちくま新書)」では,「害虫」という理解の変遷でそのことを書いている.ただ,ミツバチという生き物に関していえば,それで食べている養蜂家たちでさえ,いろいろだね.自分は完全にミツバチをコントロールできていると思う人もいれば,ミツバチも含めて自然は一度として同じだった試しがないから,この商売は面白くて辞められないという人もいる.

minilogo.png自然に対する興味を失わないということは,そういうことでもあるんだね.でも,これでは科学に必要な再現性はどうなるの? 
組み合わせの問題として,同じはないということで,個々にみていけば,この養蜂家にしても,過去に経験したものはあるはず.でも,まったく同じようには再現できないのが生き物の世界だろう.だから興味や関心を維持しやすい.

minilogo.png麻布大は獣医学部があって,獣医さんになったあと家畜保健衛生所で働く人もいるので,ミツバチも時々お世話になっている.今年は口蹄疫への対応で,例年の家畜衛生講習会でミツバチの話を聞いてもらえなくて残念だった.で,学生の進路が,動物が好きということで決まっていくとして,高槻先生はそれだけでは不充分といっているわけ?
「好き」というのは,あくまで情緒的で,多くの場合,一方通行で,今ある情報で作られる感情なだけに,ある意味で不安定だろう.現状で満足して,よりよく知ろうという方向性を持たないことも多いし.もちろんミツバチが好きという気持ちは,ミツバチと向き合うには必要だろうけれど,ミツバチを知る段階へと発展していくには不充分だろうね.好きになった時点で,ミツバチの価値観は固定されやすいし.研究者は,「なぜ」とか,「どうして」という好奇心の継続と,その探求をやめない.探求には技術や設備といったハードルがあるかも知れないが,好奇心の継続は,研究者じゃなくてもだれでもできるはず.さっきの養蜂家のようにね.

minilogo.pngミツバチへの好奇心はどうすれば持続してもらえるのかな? ミツバチとしてできることは何だろう?
科学的態度とは,「疑うこと」といういい方もできる.その物事を説明する既存の人間の言葉を疑うという意味でね.誰かが語ったことを鵜呑みにするのではなく,自分の言葉で再現できるか考えることで,興味は持続できる.ミツバチとしてどうするかは難しいね.問題があればよく見てもらえるというのでは,ちょっと不幸なことだよねえ.

minilogo.pngそれで本当に目を向けてもらえるなら「犬死に(ってひどい言葉だね?)」ではないかも知れないけれど.でも疑うだけでは,何だか性格の悪い人みたいだよ.ひねくれ者というか,研究者はよく変わり者と呼ばれているけど,そのせいか.
それはそれでステレオタイプな表現だなあ.疑うというのは,自分なりの再現性を確認するということであって,他人のいうことを嘘と決めてかかるということではない.好奇心を持続させるためにも,喜びや驚きや落胆などいろいろな感情を付帯的に味わうことも大切だから,充分に普通の人間的側面を研究者も持っていると思うけれど.

minilogo.png落胆も? 落胆したら興味は失われるのでは?
例えば,研究のために花の蜜を集める作業があるけれど,特にミツバチが集めているような濃厚な花蜜は,人間業ではうまく集められない.ところがそのことをミツバチは,普通にやってのける.体の大きさが花に合っているといういい方がいいかな.その点で,こんなにいろいろな花を愛でているはずなのに,人間は,あんまり花からは相手にされていないって感じがする.でもそのことで,ミツバチってすごいなあと単純に思う.で,じゃあなんでそんなことができるのか,いろいろな濃さの花蜜があるのに,なぜ濃いものだけを選べるのか,そういうところから次の疑問が湧いてきて,今度はこれを検証しようとかなるわけだ.

minilogo.png打たれ強いってことかな? 
単純に気が済むようにしたいというのもあるかも知れないし,研究者としての職業的使命感というのもあるだろう,研究者を辞めたら他に役には立たないという自覚があるのかも知れない.でも基本は,逆説的なんだけど,「好き」という部分があるからだと思う.だから好きであることが悪いのではなく,好きなものの,もっといろいろな側面を理解する次元への到達を目指して欲しいということだ.

minilogo.pngだんだん恋愛談義っぽくなってきたね.
見かけではなく,真の姿をみて欲しいっていう意味では共通だよね.だからこそ研究者じゃなくても,「好き」の先を目指せるってことなんだろうけれど.



野生動物への2つの視点 “虫の目”と“鳥の目” (ちくまプリマー新書)

野生動物への2つの視点 “虫の目”と“鳥の目” (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 高槻成紀&南正人
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2010/05/08
  • メディア: 単行本




害虫の誕生―虫からみた日本史 (ちくま新書)

害虫の誕生―虫からみた日本史 (ちくま新書)

  • 作者: 瀬戸口 明久
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/07
  • メディア: 新書







ラベル:科学の目
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2010年05月28日

セイヨウミツバチは外来生物? 10年で決まる運命

最近,ニホンミツバチの国内移動の是非に関して質問を受けました.折しも,昨年末に出た,京都大学の松井正文先生の「外来生物クライシス〜皇居の池もウシガエルだらけ」(小学館101新書)を読み終えたところで,外来生物としてのセイヨウミツバチとニホンミツバチの国内移動について考えてみます.

「外来生物クライシス」は外来生物(動物のみ33種)を,その位置づけごとに4章に配分して,種ごとに具体的に例示しながら,何が問題なのかをわかりやすく書いてあります.特に「問題」が,単に「外来だから悪」という図式ではなく,その発生パターンが多様なことに気がつかされ,そのことだけでもまちがいなく一読に値します.人間による動物の移動が,時代によって意味合いが異なることから,過去を今の価値観で糾弾したり,逆に,過去の価値で今を測ることはできないという点は実感できます.

さて,セイヨウミツバチは,第2章「人の生活に影響を与える外来生物」のトップで登場します.農作物の花粉交配での利用,大量死やCCDのこと,ミツバチ不足のこと,マルハナバチのことなど,刊行時期から,少し情報的には陳腐化した部分はあるものの,わかりやすく書かれています.多少,誤解かなという記述はあるけれど,それは何となくあとからミツバチを加筆したからではと思われる節もあります.

でも,辛口ミツバチ的には,少しは文句も言いたい? 何だか春の疲れがたまってきたのか元気がないけれど...

minilogo.pngセイヨウミツバチを外来種として排他的に扱おうというストーリーじゃないから別に文句はないよ.ただ「おわりに」に,ここに登場する動物の中で日本への導入(侵入)時期が最も古いのはマングースの1910年で,次いでカダヤシの1916年となっているけれど,セイヨウミツバチはもっと古いんじゃないの?
確かに.1877年だから,たぶん一番古いね.外来生物法では,明治時代以降に日本に来た生物を,基本的に「外来生物」と定義しているから,セイヨウミツバチはそれに基づけば最古参の部類だろうね.

minilogo.pngあと10年早く来ていれば,外来生物って呼ばれないですんでいたのかなあ?
今でも女王蜂は海外から人間の手で持ち込まれているから,ある意味では外来性の生物には違いないけれど,確かにその10年が何らかの意味を持ったかも知れないね.生物にとっては何の意味もない10年だけれど,日本はたまたまそこで歴史が動いたからねえ.運が悪かったと諦めるしかないなあ.

minilogo.png外来生物って最悪のイメージだよね?
そうかなあ,松井先生も「外来=悪」という単純なイメージではないといっている.最近では,研究者も,外来かどうかではなく,純粋に侵略的かどうかということを評価すべきという論調にもなっている.少なくとも,農業上欠くべからざるセイヨウミツバチに外来生物法を適用して何らかのアクションを起こす必要は,一部の野生化が問題になっている地域を除けばないだろう.

minilogo.png女王蜂の国内・国外移動に関しても問題視されているけれど,農業資材として全国で使われているしねえ.県境を越える転飼の場合は,病気の検査もしてもらってはいるんだけど.この本でも紹介されているように,名古屋大学の門脇先生が,国内にすでにさまざまなウイルスが広く浸潤しているっていってるね.やっぱりそれはミツバチのせいかなあ?
養蜂のスタイルが,花を求めての移動や受粉目的の移動が前提だから,防疫体制はあっても,それが病原の分布拡大防止にまで実効があるとは思えないな.発症していなければ,見落とされるし.ただ,日本にはニホンミツバチがいるから,種間での病原のやりとりが何らかの想定外の問題につながることもあるだろう.かつてのタイサックブルード(東南アジアのトウヨウミツバチが壊滅的被害を受けた)や,最近のノゼマやダニも種間で病原が往来することで問題化している.とはいえ,こうした厄災が,病気に強いミツバチを作っていく可能性もあるので,一元的には論じきれない.

minilogo.pngニホンミツバチさんの長距離移動の是非の問い合わせは,これも国内外来種という意味で? あるいは病気を危惧してのことなの?
同じ場所に血縁関係の近い群れを多数置くと近親交配が促進される.その影響を排除するために,あるいはよりよい品種作りを目指して遠隔地のニホンミツバチを導入して交配させるため,国内の長距離移動をするということらしい.一方で,そのことが,地域の個体群の特徴を喪失させ,遺伝子の多様性を失うことにつながるとか,病気の蔓延だとかが,心配されている.

minilogo.pngつまり国内外来種になるということ?
沖縄や北海道に関しては,少なくともニホンミツバチの自然分布域ではないので,それらの地域へのニホンミツバチの持ち込みには慎重でありたいね.それ以外の地域でも,どの程度,均質化が問題となるような遺伝的多様性があるのかもわかってはいないので,遠隔地のニホンミツバチを移動することの是非は問いにくい.予防原則的には,もっといろいろなことがわかるまでは移動しない方がいいといういい方もできる.

minilogo.pngミツバチは基本的には近親交配には強いはずだよね? だって,知られざる雄蜂の働きかも知れないけど,未受精で遺伝子を母親からだけ受け継ぐ雄蜂が,生きていくのに不都合なほどの遺伝子は,引き取って死んでくれるから.それなのに移動してまで交配する必要があるのかな?
近親交配耐性といういい方をすれば,確かに強い方だろうね.それと,多回交尾で,もともと群れの遺伝的多様度を上げようとしているから,多少不都合なものが入っても,影響は限定的なことが多いだろうね.

minilogo.pngそれなら遠隔地からの導入はやめた方がいいわけ?
ニホンミツバチでは分蜂利用で蜂を増やすから,ある人の飼っている蜂は血縁的に近くなりがち.そのため,特定の血縁集団が維持され,そこで交配が起こり,結果として継続的に血が濃くなっていく.そのことが,どの程度の影響になるのかはわからない.ただ,遠隔地でなくても,その地域の集団内で交配を繰り返せば改善可能だろうから,地域内でミツバチのやりとりをするくらいがちょうどいいかも知れない.
それと,飼育者が近交弱勢と思っている状況が,飼育という行為自体が与える影響,例えば過密で餌資源が競合しているとか,人間が与えるストレスや餌の問題とか,同じ巣を使い回していることとか,多様なことに起因している可能性も否定できない.各地でまだ原因不明の病気や異常現象が起きているのに,あえて今ミツバチを移動する必然性は感じないけれど.


minilogo.png外部からの血を入れないように,地域の集団を維持することは重要なことなの?
遺伝資源を守るという観点では一定の意味はあるだろう.とはいえ,特定の集団を守りたいのも,外来の血を入れて改良したいのも,どっちも,人間の都合にちがいない.繁殖を人間が完全にコントロールできる家畜であれば,その両方向を両立できる.だから,実は,ミツバチは家畜なのかそうじゃないのかという問題でもあるんだ.繁殖をコントロールできない点で,ミツバチを「家畜」とは呼べないから,その点で改良という方向だけを優先するのは危険かもね.ミツバチはもともと群れの遺伝的多様度を高めて,適応性を上昇させている.人間が高密度で飼うことは想定外の状況かも知れないが,それでもなお人間の行為はお節介にしかならない可能性が高い.

minilogo.png生物多様性では,遺伝子の多様性も取りあげるけれど,ミツバチはひとつの群れでそれを実現しているってことだよね.
そういうことになる.構成員を遺伝的に多様化することが,血を濃くすることよりも,社会を維持する上で,長期的な展望に立てる最重要要件だったんだろう.進化におけるこの選択は,ある意味で,エポックだったと思う.公平ということを誤解して,思想や教育で構成員を均質化することが,近代国家の成立要件だったという人間の歴史をふり返れば,ミツバチに見習うべきところは特にこのあたりにあるのかも知れないな.

minilogo.pngこの本にも,受粉を通じてのミツバチの経済価値が世界の農業食料総生産額の9.5%って書いてあった(2008年の独仏の共同研究).いろいろな家畜がいる中で,小さなミツバチが食料の1割に相当する働きをしているってことでしょう? すごくない?
実際,すごいと思うよ.お世話になっています.計算方法とか,研究者の考え方によっても異なってくる数字だけれど,いずれの研究でも,ミツバチの存在は有意だよ.それだけにミツバチ不足で大騒ぎしたわけで.もっとも今年の沈静化は嵐の前触れっぽいと予測する人もいる.夏に向けていっそう頑張って.

minilogo.pngこの上まだミツバチに頼るのか.人間も頑張って,ミツバチのためにも何かして下さい.あと,最後に.言い出しにくかったんだけど,ひとつだけ文句があった.セイヨウミツバチの挿絵.これじゃあ,イソギンチャクにとらわれた醜いカラスの子だよ.もうちょっとかわいく描いて欲しかったな.
なるほど,こりゃ目つき悪いね.確かにイソギンチャクにとらわれている.そうか,それを気にして今日は元気がなかったのかな? 一応,女の子だもんなあ.
minilogo.png「一応」は余計だよ.確かに,「一応」なんだけどさ.


外来生物クライシス (小学館101新書)

外来生物クライシス (小学館101新書)

  • 作者: 松井 正文
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/12/01
  • メディア: 新書




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2010年05月12日

愛知県庁の屋上でもミツバチ−お手軽な生物多様性の保全のために働け!

名古屋の大空に飛べミツバチ――。

朝日新聞のサイトにこんな記事が出ました.
写真に出ている養蜂家は,玉川大学の大先輩で,私は決して頭が上がらないし,間違っても足を向けては眠れないお方.だから批判はしたくないけれど,記事はこれで大丈夫なのかな.記事を解剖しつつ,辛口ミツバチと血祭りにしてみます.


さて順番に行こう.まずは「愛知県は県庁(名古屋市中区三の丸3丁目)の屋上でミツバチ約2万5千匹の飼育を始めた。名古屋城一帯や官庁街の草花や街路樹の受粉を助け、昆虫や鳥が集まる生態系作りに一役買う。」とうことだ.
minilogo.png2万5千匹ってことは一群れってことだよね.ミツバチの群れは,それが一つの生き物として動くから,人間として換算すれば,一人,大きく考えても一家族だよ.それに生態系作りの一端を手伝わせる.なんか期待しすぎなんじゃない.

そもそも「生態系作り」って,聞き慣れないというか,新しい概念のような気がする.火山の噴火で生物が死に絶えたとか,山火事などでかなりの部分が焼失したとき,あるきっかけを与えれば,確かに新しく生態系を作るという気分にはなれちゃうのかも知れない.一般的には,以前あったようにはならないしても,「復元」ということだろうと思うが.「生態系を作る」と来たか.
minilogo.png考えようによっては,ミツバチ一群置けば生態系ができちゃう名古屋って,ミツバチを至上の生き物として認めているってことなのかな.日本の近代養蜂の発祥の地だから,そのくらいにミツバチを大切にしてくれている? もしかしたら神さまだと思ってもらえてる?

それはミツバチ的な発想ではないよ.だいぶ人間に毒されてきたな.ミツバチってそんなに独善的だったっけ?
minilogo.pngあまりミツバチ関係でよいニュースがないところで,最近は,何だかやたら担がれるから舞い上がっちゃうんだよ.たった一群のミツバチが,生態系作れるわけないじゃない.人間ひとりで何ができると思ってんの?

もちろん「一役を買う」ということで.ただ,県庁周辺の植物の受粉は任されたみたいだよ.
minilogo.pngミツバチは人間のための受粉係じゃあないんだよ.ミツバチは自分のために働いているんだから.受粉係として働かせるなら,ちゃんと報酬はちょうだい.

次は「飼育するのはセイヨウミツバチで、半径2〜3キロを飛び、ツツジやクロガネモチなど季節の花の蜜を集める。繁殖を繰り返し、7月ごろには4万〜5万匹に増えるとみられる。」だそうだ.「繁殖を繰り返す」というところがいかにもミツバチを知らない人の表現だなあ.
minilogo.pngミツバチってやっぱり理解されていない.働き蜂の数は増えるけど,本質的な意味での「繁殖」ではないのに.距離の表記は幅が出たねえ.これは養蜂家の情報が少し「正確」になったからかな?

さて,でもって「10月に開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向け、生物多様性の保全をPRする狙いもある。」んだそうだ.なんだか,COP10開催地の生態系への理解が「昆虫や鳥が集まる生態系」では心許ないなあ.
minilogo.png生態系作りのために働けといわれたり,ただの人寄せパンダにされたり,名古屋のミツバチも大変だね.だけどさあ,県庁でミツバチを飼うことって,生物多様性の保全とどう関係しているの? 生物多様性の保全がそんなに簡単なことなら,みんなでジェット燃料使って名古屋に集まって,ぐだぐだ言ったり,ぱくついたりするより,今日から世界中の屋上でミツバチ飼いなよ.ほら,そこの屋上2群,そっちは1群!・・・・

う〜〜〜ん,言葉の綾というか,勇み足というか,ただはみ出しただけというか.ミツバチを飼うと生物多様性の保全になるって,大新聞がこう書いたら,多くの人間は実際そうだと信じ込みそうだな,やれやれだ.
minilogo.pngさすがはミツバチ.実はキーストーン種だったって訳だ.人間も,もうちょっとミツバチに優しくしないと,つまみ出しちゃうよ.って,なんかおかしいよね,誤解だよね,間違って書いちゃったんだよね.誰か本当のことを言ってよ.そんな嘘のためにミツバチがダシにされるのはやだよ.

そう,それが正しい態度だろうね.で,「県は夏にハチミツ5〜10キロの収穫を期待。福祉施設に贈る予定だが、この見通しは甘い? 甘くない?」ということだ.さあ,これで見えたねえ.
minilogo.pngああ,やっぱりハチミツかあ.ミツバチじゃあないんだね.名城公園あたりなら10kgなんて軽いでしょう.福祉施設がいくつあるかわからないけれど,そこそこ配れるんじゃないの? で,福祉施設にハチミツを贈ると,生態系ができたことになったり,生物多様性が保全できたことになったりするんだ.へえー,やっぱり人間の世界ってお気楽だよね.で,肝心なところはミツバチ任せで,まったくお手軽.ダメだったら,ミツバチのせいにすればいいだけだし.

ほら,見通しについても,挑発されてるよ.
minilogo.png見通し? 甘いかって? 馬鹿にしないでよ.そのくらい稼げないでどうする.ただ,そこには本当に花があるんでしょう? だって,花を植えることはミツバチにはできないよ.そこにある花に種子を作ってもらう手助けはできるけどね.その分はちゃんと一緒に生態系を作る人間が手伝うんでしょう? えっ,ミツバチ置くだけなの? そっか,人間は置くだけーとか,押すだけーとか,ワンアクションで解決するのが大好きだものね.そんなお手軽,お気軽な人生が楽しいんだ.ふ〜ん.ミツバチに生まれて正解だったよ.次はミツバチに生まれて来なよ,短いけど充実してて,嘘のない一生が約束されてるよ!


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2010年05月08日

続:都会の花とミツバチ

前回,都心の中央区.江東区を4月30日〜5月1日に歩いて回った範囲での花を取り上げてみましたが,今回は5月4日に再調査をした中央区の花.ミツバチたちはどんな花に訪れているでしょうか?

築地本願寺の北門横のシラカシ(種名は確認中).花粉目当てに来ているのは,ここからほど近い銀座のミツバチたちでしょうか?(ちょっと高くて,小さくしか写ってない)
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本願寺裏手の駐車場のツツジ(大輪のオオムラサキ? 品種は不確かです,ごめんなさい)には花蜜目当てできていました.聖路加の周辺(築地川公園やあかつき公園など)でも見かけました.
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聖路加病院(看護大学側)の前庭のハナミズキにはニホンミツバチも(あまり写りたくない?).セイヨウミツバチも来てはいましたが.
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佃の石川島公園北側のパリ広場はその名にちなんでマロニエが.高層マンションを背景に,たくさんのミツバチが来ていました.3日前にはだれも通っていなかったので,この日が初日だったのかも知れません.
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隅田川テラスのクローバーもだいぶ咲き進んで,部分的には絨毯状になっています.ただ,16時にはビルの陰になって気温が下がるためか,活動自体は鈍っていました.
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ほんの3日前にはローズマリーに通ってた桜川屋上公園は,フジにクマバチが来てはいるものの,ミツバチの姿はなし.見切りをつけるのも早いようです.その辺はどうなんでしょう,辛口ミツバチに聞いてみました.

巣から近い隅田川テラスのクローバーが急に増えたし,テラスは日中は暖かいこともあって,今日はマロニエとクローバーを中心に通ってたみたいだね.桜川屋上公園はあっさりと見限ったねえ.

minilogo.pngローズマリーが終わってたから,もういかない.見切りをつけるのは早いよ.一生は短い,ムダは少しでも省かなきゃ.

ハナミズキはあんまり好きではないんだろうね,色の好みもあるのかな.どの花に行って,どの花に行かないかは,やはりなかなか難しいね.だから研究としてのやり甲斐も大きいわけだけれども.
minilogo.png確かに白いハナミズキには行くけれど,ツツジは紫の方が好みだねえ.

この時期は都市部でも次々に花が咲くから,その点で何となくどの花にもミツバチが来そうな錯覚にどうしても陥りがち.人の目につくところ以外にはあまり花がないから,ミツバチと出会う確率は,都市部以外に較べるとずいぶんと高い感じだ.
minilogo.pngその点で都市部の方が,ミツバチの気持ちで花を見て回るのには向いているかも知れない.花が咲き始めて,ミツバチがいつ来始めて,そしていつ来なくなるか,もし,よい定点を見つけたら,そんな観察をしてみては? 毎朝,ちょっと顔を持ち上げて花を見たら,ストレスも少しは軽くなるんじゃないの? 美しい見かけ以外に,ミツバチの視点での「おいしさ」っていう情報が花ごとにわかるようになれば,翅を贈呈してもいいよ.人間は5月病とかいうんだろうけど,この1か月はそれなりに花もあるから,アスファルトばかり見つめて歩かないで,花を見る余裕も持ってみては.
でもこのブログももうちょっとリアルタイムでないと.読んでから見に行ったのでは,花も終わってたり,私たちが見限ったあとだったりかもね.


た,確かに.「花とミツバチ」に気がついてもらうためにも,次からは頑張ります.






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2010年05月06日

農薬だらけ?の田舎でハチミツを作る

「ミツバチって農薬がある花には近づかないし,自分の体に農薬がついたら巣に戻らないらしい.だから,他の農業で使用している農薬だらけの田舎でハチミツを作るよりも都会のビルの上で作るほうが理にかなっている」とかいうまことしやかな文言が,ある番組をきっかけに皆さんの頭にすり込まれているそうです(申し訳ないけれど,私はテレビの取材は受けても,普段はテレビを見ないので,そんなことになっているとは気づきませんでした).

まあ,ある意味ではある種の「都市伝説」っていうやつでしょうかねえ.もし都市に住んでいる方が,どこか田舎(例えば水田地帯とか)に行ったら,農薬だらけだと感じるのでしょうか.感じない? それは生物として危険な退行ですよ.化学物質(これもひどい表現だけど)には敏感でなければねえ,とか冗談のひとつもいいたくなります.

正直,この題材で書くようにリクエストをいただいたものの,ちょっと住む世界の違いを感じ過ぎちゃいます.辛口ミツバチに聞くまでもなさそうだけれど,愚かしい人間の考えについて聞いてみました.


さて,冒頭の考え方だけど,ハチミツを生産するミツバチの立場からはいかがかな? つまらないことに付き合わせて申し訳ないというか,そんな呆れた目で見ないで欲しいんだけど....
minilogo.png人間って,本当に都合よく物事を考えるね,都合よく生きたいから,こんな文言を信じたいんでしょう.信じていれば? これは「風が吹けば桶屋が儲かる」的な因果連鎖というやつでしょう.武庫川女子大の丸山健夫先生の「『風が吹けば桶屋が儲かる』のは0.8%!?」でも読んでしっかり勉強しようよ.

因果連鎖以下だよ.少し,この文章を解剖してみよう.「ミツバチは農薬がかかっている花には行かない」.これは,ミツバチにその能力があれば農薬の被害を受けないことになるね.
minilogo.pngもちろん関知できる異常があればミツバチはその花には行かないと思う.野生のニホンミツバチさんの方がそのあたりは警戒心が強いだろうし,セイヨウミツバチはその点は多少は鈍感かもね.人間のそばで生きていくということは,実際そういうことなんだから.
ただ,農薬被害は現実に起きている.だってミツバチがいるところに農薬撒かれたり,撒いたところに行っちゃえば農薬浴びることになる.農薬被害の蜂群では,貯蔵花粉中に高濃度で農薬が見つかることもあるから,花粉と一緒に農薬を持って来ちゃうこともあるってことだ.その程度に,花に行くのが必死で,多少の農薬なんか気にしてられない.誰かはミツバチをカナリアに例えるけれど,それはまったくもって根拠のない話だよ.敏感じゃないし,どうせ繊細でもないっていいたいんだろうけれど,なりふり構っていられない程度には花に困っているんだ.


次は,ミツバチは「農薬を浴びたら巣に戻らない」そうだ.この春,学会発表があったけれど,致死量以下では対照区との差が出なかった(参加した方の話を総合すると,実験自体が破綻していた感じはするけれど).これももし本当なら,そのこと自体は,自らを犠牲にして巣の仲間を救うことになるわけで,もし農薬がそのように効果を持つのであれば,あるいはミツバチが自分の身の上の異変を自死という形で群れの存続を優先するように動くなら,結果的にはよいことと評価できちゃう.
minilogo.pngネオニコチノイドは神経に影響するから方向感覚を狂わせるといういい方もされるけれど,以前から有機リン剤や合成ピレスロイドでも,方向感覚が狂うという報告はあったよ.人間だって,酔っ払ってまっすぐ歩けないことはあるでしょう.中毒状態ならなおさらだよ.ミツバチは,病気や何らかの不調になると,基本的には巣を離れることが多い.もし巣の中で動けなくなれば,死体捨て専門の働き蜂(アンダーテーカーという)が捨ててくれる.アンダーテーカーは,人間ではペストの時の死体処理人のように,死体処理だけを専門にやる特殊な存在.病気や毒物がアンダーテーカーを蝕むまでに,巣の衛生状態はかなり復元されるってわけ.ミツバチは,みんなが全体のために働いているから,結果的に自死になること自体は厭わない.もちろん,生産性の高い仕事を優先したい気持ちはあるけれどね.

「他の農業で使用している農薬だらけの田舎」は田舎の人が聞いたら怒るんじゃないかな.実際,こんなことを平気で口にできる感性が知れない.自分たちの食料がどこでどのように生産されるか知らないってことだろう.自分は無農薬の作物しか食べないので,農薬使っている田舎は軽蔑していますという意思表明とでもいうのかな.物理的に農村部は農薬の使用量は多いから,農薬だらけという表現はあながち間違っていないかも知れないけれど,現行法の規制の厳しさや,訳もわからず無農薬崇拝をする一部の消費者に対応するため農家がどれだけ苦労しているか,そういう部分を知らなさすぎると思うと,腹立たしい.
minilogo.pngただの田舎への偏見だと思う.でも,そう言わないと都市の人間は環境的に誇れるものがないからでしょう.人間のその次元の言い争いのレベルの低さにはうんざりする.その程度のことで戦争までして,森を焼き尽くして.始まりは本当にどうってことのない人間の欲同士のせめぎ合いだったりするからね.他の生き物からはやっぱり迷惑な生き物だよ.

最後の「都会のビル」は田舎の対比で出たんだろうけれど,これはまたよくわからない.都会にもミツバチを飼うにふさわしい場所はあるかも知れないが,ビルだけなのかな.このあたりは逆に田舎の人間の都会への偏見が織り込まれている感じがする.田舎にはない「ビル」でなければ,みたいな.
minilogo.png確かに,この文言は,田舎を軽蔑している中途半端に田舎の人(東京じゃ都市に住んでいる人の多くがそうなのかも知れないけれど)の発言のようにもとれるね.本当の都会人はビルをありがたがったりはしないでしょう? ビルが好きならそれはそれでいいけれど,だからそこでミツバチを飼おうとは思わないんじゃないの? 田舎は嫌いでこき下ろしたい.都市では,でも,これといっていいものを見つけられないので,田舎にはないビルを示して,これでどうだみたいな.ほんっとに下らないねえ.人間がある意味で生物多様性のキーストーン種なんでしょう,実質的には(だから会議まで開いてる).そりゃみんながいうようにいつか滅びるよ.アインシュタインの予言を裏切って,ミツバチは人類滅亡後まで生き抜いてやるけどね.

いやいや,そのアインシュタインは出所不明だし.でも,当然,反対意見もある.都市は,例えば排気ガスは田舎と較べてすごいだろう.そうしたものがハチミツ中に含まれている可能性もある.北欧では,大気汚染物質を調べるのにはハチミツが向いているという研究者もいる.安全を損なうほどではないから,食品としての問題としないなら,残留レベルとして問題のない範囲で入る可能性のある農薬にも同じ態度でいればいい.というか,実際に田舎に行って,やっぱり空気がおいしいと思うことは多い.そういう自分の感性を信じないで,だれかのそれっぽい言葉を信じる気持ちがわからない.
minilogo.pngネオニコチノイド系の残留基準が日本は緩すぎるということで議会で質問した議員さんもいるみたいだね.ミツバチ的には,そういう意見でもまかり通って,農薬が減ればありがたいけれど,やっぱり科学性がないと,今度はどんなしっぺ返しが来るかわからないから,だめかもなあ.科学には科学で対抗できるけど,科学ではないものには科学では対抗しにくそうだよ.こういう考え方がみんなに受け入れられていく現状について,現職の理系の大学教員としてはどうよ?

おっと,そう向けてきたか.確かに困ったものだと思う.星占いを遊びとしてではなく信じちゃうとか,以前取り上げた「水からの伝言」とか,それっぽいけど,明らかに科学ではないものが,こうまで人の心をとらちゃうのは,逆に科学への関心をうまく高められていないということだろう.その点では反省しなきゃ.ただ,身近にミツバチのような生き物がいて,見るべきものが見えてくれば,研究者でなくても,ものをきちんと捉える目は養えそうだよ.ちゃんと人間以外の生き物がいることを理解してもらいたいし,メディアの偏った報道や,興味本位で作られる番組に影響されすぎないで欲しい.その点で自分たちの努力もまだまだ不足している感じはする.
minilogo.pngそのためには協力できる立場にいるのかな,ミツバチも.ミツバチネタでニセ科学がはびこるのはやはりミツバチとしても沽券にかかわる問題だから.ミツバチはいつでも情報公開するよ.知りたいことは何でも聞いて.ちゃんと聞いてくれればちゃんと答えてあげるから.


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ミツバチの大量死の原因は複合的=国際獣疫事務局発表

国際獣疫事務局(OIE)が28日に,蜂群崩壊症候群の原因は複合的であるとの見解を発表しました.翌日のAFPの報道記事には,OIEの公開内容に若干の情報が付加されています.特に「もうひとつ、生垣や野生の草花がない大規模農場や市街地の拡大によりハチが栄養不足になっている疑いもある。」という部分は,定量的な評価が難しいので,見逃されがちですが,近年では複数の研究者がこの影響を強調しています.

総合的に見れば,やはり栄養不足や農薬被害などで体力が失われているミツバチに,これまでは問題とならなかったウイルスなどが有害化して影響するというのが,蜂群崩壊症候群をはじめとするミツバチの損失につながっている,ということが,ようやく共通認識になってきたということでしょう.なお,蜂群崩壊症候群の用語の,日本での事例への適用をOIEは事実上認めていますが,まだ慎重ではありたいです.世界的にも単純に蜂群損失Colony Lossという表現を使っています.

みつばち百花では,「ミツバチが減っているのはなぜ?」で,仮説段階のものも含め,こうした点を強調し,根源的には花が減っていることが大きいと訴えてきています.ミツバチにかかわる多段階の人々がいる中で,すべての人が同じ役割を負うわけではありませんから,みつばち百花としては,花が少ないことで引き起こされる諸般の問題に,花を育てる活動など,一般向けを含む多彩な活動を通じて応えようとしています.

さて,今回の発表を当のミツバチはどう考えているのか,辛口ミツバチに聞いてみました.


ようやく,大きな国際組織がミツバチの大量死の原因が複合的であると発表した.複合的ということで,対処に関しては,OIEとしては防疫と研究の強化を呼びかけているにとどまっている感じだけれど.
minilogo.png家畜化されているミツバチ自体が地球上のあらゆるところにいて,地域間で移動がある以上,防疫の必要性は高いとは思う.4月に宮崎県で発生した口蹄疫では牛豚合わせてすでに30000頭以上が殺処分対象にされている.そういう目には合いたくないな.

この口蹄疫,10年前(宮崎と北海道で計700頭余りの殺処分)に較べて被害が拡大したのは人災だという意見も多いようだね(前回は初動態勢がよかったともいわれている).今回のミツバチに関するOIEの発表にも「『無責任』な農薬の使用」という表現があって,これが,ミツバチの問題もある部分は人災的であるという雰囲気をにおわせている.
minilogo.png農薬がミツバチに影響があるのは事実.だって,そういうものとして作られているんだから.人には効かない代わりに昆虫に特異的に効くようにしたんだから.ただ,ミツバチは基本的には花を利用するので,花期に農薬を散布する必要のある作物以外では,農薬との接点は原則ないはず.ミツバチに頼る作物なら,普通は花の時期には農薬散布はしないでしょう.だから,それにもかかわらず被害が出るというのは,その誰かの「無責任」が理由で,だから人災なんだ? 誰,そいつ? 許せない.

「農薬=悪」の図式は一般にも受け入れやすいものだから,少数の,必ずしも吟味されていない証拠(と呼べるなら)で,充分に議論が尽くされているという空気ができてしまう.凄惨なほど,被害報告は,ある意味自殖するしね.それもある意味人災的だ.ただ「人災」というのはやや誤解を招きやすい言葉かな.特定の誰かが原因ということではないと思う.農薬に限って考えても,農薬を使う場面での,いろいろな仕組みが,ミツバチを守る方向で機能していないということだろう.
minilogo.pngだから,結局,ミツバチなんか守る気がないっていうんでしょう.そいつが誰かってことだよ.どうせ農薬浴びて死ぬなら,一発お見舞いしてやる.

まあまあ,いくら寿命が短いからって死に急ぐことはないよ.農業の現場においてミツバチに関係する人的資源は多段階にある.それぞれ,つまりミツバチを飼う立場からはどうすればミツバチを守れるのか,ミツバチの訪花を望む農家,作物の保護のために農薬を撒く農家,その農薬を作るメーカー,販売する企業,そうした仕組みを監督する,あるいは現場で運用する立場で,いったい何ができるかをちゃんと考える必要があって,それに基づいて行動を起こす.それが責任を負うということだろう.一般の市民だって,一端の「責任」は負うことができる.例えば,有機栽培を推進している団体で,「いたずらに農薬反対を訴えるよりも,農薬をできるだけ使わないで育てた野菜の普及が先」といった理念を示していることもある.どの立場で何をするのがよいのか,訴える先がどこなのかは,それぞれが決めればよいことだと思う.
minilogo.png一般の人向けということなら,ここ最近,ミツバチはいろいろな意味でニュースになった.最初は悪いニュースばっかりで嫌になったけどね.最近は,暗い話題ではなくても,何だか間違っているニュースが多くて,一般の人がきちんとミツバチやそれを取り巻く問題を理解できるとは思えないよ.新聞社の人,勉強して下さい!

消費者がちゃんとした理解を得られるような情報の開示は,これまたあらゆる段階で必要だろうけれど,その点は,日本ではあらゆる段階が,そのことに関しては不得意というか,どちらかというと,先に出すと不利益が大きいからと隠したがる感じは否めないな.もちろん,ブログやネットの情報の氾濫に加えて,新聞などマスメディアから内容に関してのプロ意識が欠除しがちで,情報の信頼度は全体的に低下しているのに,一般の人はそのことにあまり気がつかずに,都合のよいところだけを囓りたがる.
minilogo.png一般だけではないのでは? 今回の発表でも,花のことはAFPがどこからか加えた情報で,OIEはそのことはまったくふれていない.科学的な態度というものはこの程度なの?

自分の担当分野をきちんと全うするという考え方においては,OIEが防疫や研究の強化だけを訴えているのは正しい態度だろう.ただ,可能性の範囲として,論文も出ていることもあるし,もう少々広範な複合原因説を示してもよかったんじゃないかな.アメリカのCCD専門委員の論文でも,栄養改善と衛生改善が最大の予防策と言い切ってたから,栄養不足はある程度,研究者の間での理解のための共通材料になっていたとは思うけれどね.
minilogo.pngその論文はとても気になった.動物飼育では,栄養と衛生は最大の要でしょう? もともとミツバチという生物自身が,その二点に関しては独自に発達させた仕組みを持っているから,こんなに長くやってこれた.人間に飼われるようになってから発生しているんだよ,多くの問題が.その点もわかっていて,人間が責任ある態度で臨んで欲しい.

それはもちろん,その通りだろう.動物を飼育するという立場は,確かに動物に対して責任を負うということだ.ただ,技術的には確立されていたものが,徐々に現状に合わなくなるということはあり得る.状況の方の変化が大きいからね.環境の変化,温暖化もそうかも知れないが,やはり植生の変化はミツバチには栄養面での影響が大きいだろうし,土地の利用性の変化で以前とは異なる状況が到来してしまう.農薬被害の大きい,東北・北海道は,今や日本の米所だけれど,昔,社会科では冷害もあって稲作には不向きと習ったよ(古すぎるか?).当然,農家はいろいろな状況に応じて作物を転換するし,それによって地域の経済も変動するから,土地利用の全体像は大きく変わる.ミツバチを飼うことで成り立つ養蜂産業にとって,この変化にきちんとついていけているかどうかが,実はけっこう重要なポイントなんだろうと思う.その理解がなければ,やはりミツバチを飼うという点での責任は負い切れていないといわれても仕方ないだろう.
minilogo.pngミツバチは花があれば何とかそれを利用して,自分たちのあるべき姿を模索する(飼われていれば,その先には養蜂家が望む「生産」っていう部分がついてくるわけだけど).でも,普段は見向きもしない花を利用しなければならない状況や,農薬が散布された花に行かなければならない状況が強いられることで,私たちはかなり苦しめられている.そのことにはなかなか気がついてもらえない.予防原則で農薬反対を訴えるなら,目の前の農薬被害をちゃんと予防してよ.

農薬被害も,花が少なくなっていることのひとつの表出形だとは思っているけれど,具体的に花が少なくなっているという報告や,それと農薬害との関係を示唆する研究報告も見かけない.農薬のスタイル(散布形態や剤形)の変化によっても,散布された花の危険度が変わってきているのは間違いないだろう.でも,この部分は被害のメカニズムの科学的解析が公表されていないので,いろいろな報告から推論するしかないが.
minilogo.png人間は科学的にとか客観的にとかいう言葉をよく使うけれど,情報に関してはお互い出し惜しみで,総合的に考えるのは下手だよね.自分の情報だけが正しいと思っている(正しければ客観的だと思うみたいだし,それ順序,逆でしょう?).そして,他者の情報には懐疑的か否定的.あれでどうやって適正に総合的判断をするのかな? そもそも生き物には,科学以前に生きているという事実がある.存在こそがすべてだから,存在するものはすべて総合的に判断材料にするよ.人間にはどうしてそれができないのかな?

人間は,ミツバチの働き蜂の分業のように,ひとりひとりが,他のことは他人に任せきって,自分の仕事に埋没することもできないし,群れという存在として,全体の方向性をひとつと信じ続けるのも不得意なんだろうね.波と同じで,盛り上がればすぐに下がっていく....でも,いくつかの流れを作ることはできるし,それぞれが客観的で科学性を確保できれば,その集合体としては,きちんとした成果も出せているとは思うよ.みつばち百花もその点では,ミツバチのことをきちんと考えている.
minilogo.pngそれは信じてもいい.ただ,ミツバチのことを考えてくれるのは嬉しいけれど,ミツバチのことだけを考えているというのはかえって怪しい.ミツバチと一緒にいて幸せな自分をちゃんとイメージできているかなあ? 守りたいものが「自分」でなければ,それは生き物として嘘だよ.

さて,結局,今回の発表はどういうインパクトがあるだろう.人間の側では,監督する国際機関がお墨付きを出したことや,今後の研究に関して言及したことで,研究の方向性にはある程度影響が出そうかなというところだけれど.
minilogo.pngどうかなあ.何かが変わるとは思いにくいな.監督しているからこそ何かを表明しなければ,みたいな雰囲気もあるし.防疫だって,現場ではそれなりにやっているんだし,研究だって,そうでなくても進められるのでは? 口蹄疫の陰であまり報道されていないみたい(口蹄疫自体があまり報道されてないように思うけど,大丈夫なの?)だから,何ともいえないけれど,ミツバチを取り巻く状況が厳しい中で,でもミツバチには頼っているってことを,もっと一般の消費者にも知って欲しいし,知ったら知ったで,何かアクションを起こして欲しいな.そういう人間とは共存できるような気がするし,そういう人のためなら,多少のことは我慢して,畑の花にも通ってあげるよ.






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2010年05月04日

都会の花とミツバチ

ちょっと都内(中央区/江東区)を歩いてみました.実験用に中央区に置いてあるミツバチが,どの花に行くのか,追いかけてみたという感じです.ミツバチを置いてある場所は隅田川河畔.半径500mの好適採餌圏の1/3は河川という条件下ですが,都市部は緑地・公園も多く,少なくともこの時期はよいのでは? 

隅田川の土手にはクローバーが咲き始めていました.蜜も花粉も供給できる花で,ミツバチも大好きです.花粉団子の色が鈍い褐色できれいではないけれど.
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門前仲町の牡丹町ではボタンが花盛り.
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それほど広くはない牡丹園の,道路で分断された北側にだけ,全部で40株程度ある側に足繁く通っていました.花が大きく,花粉が多い.おしべに触っては空中でホバリングして,これを数回繰り返すと隣の花へ,5花ほどで旋回しながら上空へ,そして巣の方角へまっしぐら.


隅田川の高層マンションの生け垣にはカナメモチ.花蜜目当て(花粉は少ない).
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区立桜川公園のヒメウツギ.クマバチが盛んに来ていましたが,ミツバチも負けじと.
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隣接する屋上公園ではハナミズキに訪花中.ちょっと高くて採餌行動は見えなかったけれど,花粉かな(花粉は多いようです).
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こちらも桜川屋上公園の花も終わりかけのローズマリー.花蜜が濃そうだなあ.でも量は少ないのか,やたら忙しそう(落ち着きなし).
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ホバリングするような花は花粉源(花の上空で止まっている写真を撮りやすい).花蜜を出す花は,構造によってはミツバチがじっくり蜜を吸うけれど,蜜が濃いものは量も少ないようで,忙しく花から花へ渡っていきます.



思ったよりも花をちゃんと見つけているようだけど,こうした状況をどう思うのか,辛口ミツバチに聞いてみました.
こんな場所に置かれても,ちゃんと花を見つけてくるんだ,なんだか健気だね.

minilogo.png健気って,ねえ.どちらかというと必死なんだよ.花粉源も蜜源もやっぱり少ない.国分寺に置いてもらったミツバチは,隅田川のミツバチの倍の花粉を集めてたそうだし.条件がよいわけではないんだよ.

都心だと,花自体がスポット的だし,人間の手の届くところに多いから,やはり目につきやすい.だから,その分,ミツバチの姿に気がつきやすいだけかも知れないな.
minilogo.pngたぶん,そう.だから,ミツバチが訪花している場面があっても,それだけで環境の指標にはならない.人間の手の届かないところにたくさん花があれば,逆に国分寺の方が,うまく花粉源や蜜源植物を探しきれないと思う.都会じゃ,見つけられる植物すべてにミツバチが来ているような錯覚につながっているんじゃないの.

確かにそういう錯覚というか,誤認はしそうだった.何となくどの植物もよく利用されている感じがするけれど,そのこと自体もちょっと不思議.ローズマリーもほんのひとかたまりで,花も終わりかけているのにあんなに来ていたし.ハナミズキは嫌いなんじゃないかと思っていたけれど,ちゃんと来てたね.
minilogo.pngだから,選り好みできない事情もある.訪花する植物種が多いというのが環境がよいという指標にならないのはその理由.良いか悪いか,その評価は重要.花蜜の場合は,糖度でその場で判断できるけれど,花粉の場合は,それでどれだけミルクが生産できて,卵や幼虫の数がどれだけ増えるかが重要だけど,どうしても集めているときは栄養的な評価は難しいから,集められそうなものなら何でも行く.

人間の方で,ミツバチがどんな植物に行くかではなく,どんな植物が好きかがわかっていなければ,ってことだね
minilogo.pngだから,都会じゃ,人間が何を植えてくれたかが,直接ミツバチの食糧問題に直結してる.気持ちが通じていれば,ミツバチが利用できるものも植えてくれるのかな? どうすれば通じるんだろう?

ところで,距離的にも近場が多かった印象だった.たった2kmしか離れていないのに,木場公園(都市緑化植物園)ではミツバチは見かけなかったね.いろいろなハナバチは来ていたのに.
minilogo.png生活圏の小さいハナバチは,木場公園のように花が多い公園でやっていける.もちろん,だんだん遺伝的多様度が低下していくのが問題かも知れないけれど.ミツバチだって近くに巣があれば行くと思うけれど.

今回を巣を置いた場所からは,高速の高架道が邪魔で,木場公園までは到達できないってことだったのかな.もっと近い清澄公園でも姿を見かけなかったけれど,これも同じ理由?
minilogo.png自然の中でも,越えられない丘や谷はあるから,基本的には同じこと.そのことが適度な棲み分けの条件にもなるから,気にはならないけれど....木場公園にそんなに花があるとは知らなかった.頑張れば行けるようになるかな?

川幅200〜300mもある隅田川は難なく越えていたね.
minilogo.png風が強かったりすると恐怖だけど,花があると思えば,飛ぶのがミツバチ.川を越えて,ボタンの花を見つけたときは嬉しかったな.
あのボタンで花粉を集めている姿にはこちらも感動した.カメラを持った多くの人間は,まるでミツバチには気がついていないようだったけれど.
minilogo.pngわざわざミツバチが退くのを待ってシャッターを切っている人もいた.喜んで花粉集めている姿も撮って欲しかったな.きれいなボタンにはミツバチは邪魔な存在なの? 「花にミツバチ」って,絵にならないわけ?




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2010年04月20日

人口密集地でミツバチを飼うことの是非

九州地方の某市市役所の環境関係の部処から,人口密集地(住宅街)でミツバチを飼っている家があり,そのお隣から蜂が騒いでいるとの通報がありましたとの問い合わせ.時期柄,分蜂だったようですが,実はこのお隣,以前に住んでいた方は,ミツバチに刺されて転居されたのだとか.ミツバチが隣に行かないような工夫はありませんかとは,市の担当者.でも,問題はそれで解決するのかな? 辛口ミツバチに聞いてみました.

minilogo.png住宅街だったら,隣がダメなら,反対側の隣に行くし,そっちがダメなら裏にも行けるよ.5メートル程度の壁でも建てたら,とりあえずそっちには行きたくない.

いや,問題はそういうことではないだろうね.周囲の方は飼っていること知っていたのかな.
minilogo.png刺された方が転居するというのは何だか大ごとだね.申し訳ない感じはするけれど,刺したミツバチも死んでいるんで許して欲しい.ミツバチは飼われた場所から花を探しに行くし,戻ってきて力尽きてたら,明かりがついている,お隣の家にも入り込んじゃうことはあると思う.秘密に大切に飼ってもらっていたかどうかはわからないけれど,みんなが知っていて飼われている方が,ミツバチとしては堂々としていられるけれどね.

カナダのバンクーバーでは趣味養蜂に関する条例が出ていて,飼ってもよい場所や理由,飼育の規模などが決められている.住宅事情も異なるから単純には比較できないけれど,許可されるのは,1〜2世代住宅地帯,農地,公共の庭園がある場所,教育目的で飼育する場合となっている.約900平方メートル以下なら2群まで,それより広い場合も4群までと飼育群数の上限設定もある.設置場所も裏庭で,通りに面した場所には置けない.巣箱の設置は日本ではちょっと実現不可能な基準があって,設置の高さは,ミツバチの飛行経路の高さを確保するために約2.5メートル以上,隣家の境界には高さ1.8メートルの塀か生け垣を設置し,巣門は隣家方向に向けず,さらに隣家との境界から8メートルほど離して置くこととなっている.ここまで来ると普通の日本の住宅事情では飼育はかなわないことになっちゃうな.
minilogo.pngそんな高いところにミツバチを置いて,飼う人の安全は確保されているのかな?

1970年代に全面禁止となったのを,解禁することにしたのは,ヨーロッパや北米の都市では養蜂が容認されていることというのが大きいのかな.こうしたガイドラインを作って,ミツバチと住民との不測の接触を最小限にとどめて,趣味養蜂を安全な都市活動と位置づけ,なおかつ都市における生物多様性に,花粉交配を通じて貢献させようという狙いがあるんだと.
minilogo.pngそこに花があるなら,都市でも農地でもどこでも行くけどね.生物多様性に貢献かあ,こんなに小さなミツバチばっかり頼りにされてもねえ.人間の影響力の方がはるかに大きいと思うよ,現状では,貢献よりは,たぶんマイナスの影響だけど.

この条例の「ミツバチについての追加情報」に「ミツバチはベジタリアン」って書いてあって,そうなんだけど,そう言われると,あえてそうはいわないのではと思うけれど....
minilogo.png「ベジタリアン」というのは,能力的には動物食もできるのに,訳あって植物食を選択する人でしょう.ミツバチは,「訳」があるのかなあ.昆虫の世界じゃどちらかというと広食性の部類だと思うよ.花粉はかなり多種類食べるから.それに実はミルク食いだから,本当の意味での「ベジタリアン」ではないね.

ちょっと脱線した.本題に戻そう.今回の問い合わせのようなものは,それなりに多いけれど,何と答えようか? 何か提案できるかな?
minilogo.png壁を建てたり,忌避剤を使って,お隣に行かないようにしても,問題は別の側で発生し続けると思う.そこにミツバチがいる限りはね.行政がそういう指導をしても,効果がなかったり,結果として新たな被害が発生したら,それはミツバチのせいではなくて,提案した側の責任として負わされるのでは?
確かに.行政がどう関与するかは難しいところだと思う.以前,ミツバチの糞害などでも,周辺の苦情を打診して,飼育状況の改善を要求するという程度だった.ここであまり具体的なものを出すと,そのことでの責任がついてくるから,一般論に終始しちゃう.当時は養蜂家からのアドバイスなどは機能してたけれど.

minilogo.png人口密集地でも,古い町だと,庭木がそれなりにあって,ニホンミツバチさんなんかは,自己調節的に,適当な密度を保って暮らしている.そういう場所は環境が悪いというわけではないんだ(人間にいたずらされたり,駆除されたりはするけどね).でも,セイヨウミツバチの場合は,やっぱり飼うということになるから,人間の置いたとおりの分布になって,それが適正かどうかは評価できていないと思う.多すぎるミツバチは,やはり周囲にとっては迷惑な存在かも知れない.いたずらに怖がっては欲しくない(私たちも一応女の子なんだから面と向かって怖がられるのは抵抗あるなあ)けれど,接点が増えれば刺害の確率も高くなるからね.

その点で,やはり周辺の方々が,そこでミツバチが飼われていることを知っていたかどうかは問題になるかな.バンクーバーの条例にもあるように,こうしたミツバチを教材化して,子供たちと共有できれば,そこにミツバチを置くことにも一定の意味は持たせられるだろうね.休日ごとに近所の子供を集めてのミツバチ観察会や採蜜体験もできるし,そのことで子供たちが自分の住んでいる町の花や環境に,そして町そのものにも興味を持ってくれるなら効果があるといえそうだけれど.
minilogo.pngミツバチとしては周りの人が,そこにミツバチがいることを理解してくれて,子供たちがミツバチのことを学んでくれるのは嬉しい.ミツバチがどんな生き物かわかれば,一緒にいるのを苦痛だと思う人は少なくなるだろうから.

状況によるだろうから全面的な容認は難しいだろうけれど,人間が飼うことができて,周辺の花を資源として利用している生き物を通じて,周辺の自然環境(人工的な環境の中の自然ではあるけれど)を知ることもできる.生物多様性の理解にもつながる.無制限に増えることは歓迎できないけれど,目的の明確なケースは認められてもよいだろうね.
minilogo.pngただ,そのためには,誰でもOKってことではダメかも.ある程度ミツバチを理解している人じゃないと.あとは周囲の人との関係を健全に保っている人っていうのは大切な要件だと思う.地域の教材として,学内にミツバチを置くことが難しいという場面でも,だれかのミツバチを利用してもらえればいいかもね.

飼うのが下手だったり,周辺の理解を得るのが下手だったりすると,結果として,ミツバチのイメージが損なわれてしまう.これはすべてのミツバチだけではなく,適正にミツバチを飼っている多くの人にとっても不幸なことだね.そんな場所で,そんな人に飼われるミツバチは不幸だし,飼っている生き物を不幸にするのでは,飼う資格もないといわれそうだ.
minilogo.pngあたりまえ.人間なんだから大きな頭でちゃんと想像しようよ.ミツバチは誰かの家の庭だけでは生活できない.ミツバチが飛んでいく範囲に,実はたくさんの人が住んでいる.そのくらいは普通にわかることだよ.ミツバチからすれば,ミツバチと仲良くしたがる前に,人間同士がちゃんと関係を築いていて欲しい.ミツバチが社会性昆虫というのは知っていると思う.でもって,人間も社会性を持った生き物なんでしょう? それを発揮させて,ちゃんと周囲と折り合いを付けてから,ミツバチに向き合って欲しいな.



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2010年04月13日

続・鹿島のニホンミツバチプロジェクトっていったい...

前回の続きですが,こうした取り組みを意味のあるものにするために,少しは前向きな提案をしておきたいです.
実は前回取り上げた,鹿島のKajima CSR Reportのニホンミツバチプロジェクトの記述の最後には「鹿島ではコゲラやシジュウカラといった野鳥の生息可能性を指標にした緑地の評価技術も開発している」とあります.この種の研究はある意味でやりやすいという側面があるのでしょう,いろいろなレベルで行われています.日本造園学会が刊行している学会誌「ランドスケープ研究」にも大阪府立大の研究者による「樹木面積率の異なる都市緑地におけるシジュウカラの繁殖成功の比較」(井上・夏原,2006)のような報告があります(本文は日本語で,全文J-Stageからダウンロードして読むことができます).
鹿島のいう「生息可能性」という概念には,当然この論文でも調査している「繁殖」が前提です.コゲラやシジュウカラは,人間が用意した巣箱を利用して,環境がよければ繁殖して増えることも可能です.その環境を人間が改変して,よくしていけば繁殖成功率は上昇するかも知れないわけです(どこかでもちろん頭打ちにはなるでしょうが).都市環境をよくしたいという場面で,環境を評価する指標として,こうした野鳥(の生態)を利用することには一定の有効性が認められるでしょう.
それができているならなぜミツバチではこんなひどいことを? とは辛口ミツバチ.今回も一緒に考えてみたいです.


minilogo.png野鳥は繁殖できるかどうかが問題で,ミツバチはハチミツが採れるかどうかでいい,というのが気に入らない.ミツバチが何のためにハチミツを集めるのか,ぜんぜん理解されていない.そのハチミツを採って,子供に食べさせて,そのせいでそのミツバチが冬を越せずに死んでしまったら,子供たちになんて言い訳するつもり? 
いきなりそこをついてきたか.その言い訳は難しいな.みんなで食べちゃったから死んでしまったんだと正直に伝えたら子供は傷つくだろうね.でもだからこそ大切なハチミツなんだといういい方はできるかも.ただ,ミツバチの命を犠牲にしてまで学ぶことではないし,ハチミツのありがたさを伝える方法は他にもあると思うよ.

minilogo.pngミツバチは,人間に近いところで繁殖を成功させるために,ある程度の仲間が犠牲になることは厭わない.人間の側にも割り切りがあって,こちらにも割り切りがあるならそれでいい.でも,教育という場面で,ハチミツが採れたからよい環境というのは,ミツバチという生き物をあまりに軽んじていると思う.ミツバチが繁殖できるかどうかもきちんと含めて議論して欲しい.今のやり方だと,花があってミツバチがいればハチミツが採れてよかったねで終わってしまう.こういうプロジェクトでは,ニホンミツバチでもセイヨウミツバチでも同じだけど,ミツバチはプロジェクトの中で生き物として考えてもらえていない.花の蜜を集めて,ハチミツにする便利な機械か何かだと思われているみたいで嫌だな.
う〜ん,そこまで生き物に対して無理解な人ばかりではないと思うけれど,「ミツバチ=ハチミツ」という短絡的な図式に束縛されている人は多いと思う.人間がミツバチを飼う目的は,本来的にはハチミツ生産だからね.ハチミツが生産できたことが,結果になってしまって,それ以上のものが見えない.

minilogo.pngでも,その生産のためにはミツバチが持続的に生きていかなきゃならないわけでしょう? まあ,次々とミツバチを入れ替えればいいと思っているんだろうけど,それでは生き物を通じて環境を知ることにはならない.昔の養蜂みたいにミツバチは秋に殺される運命,その時代に逆戻りしている.でも,それがあたりまえだった分,その時代の方がまだよかったかも知れない.
まあまあ.近代的な養蜂は,採蜜に伴うミツバチの負担を軽減したし,日本もそうだけど,寒冷地でも越冬が前提となる養蜂は確立している.生産養蜂家は,もちろんある程度の犠牲を要求はしているけれど,基本的にはミツバチを大切に思っていると信じているけれど.

minilogo.pngそれを実感できる場面はもちろんある.いい養蜂家は多い.だってミツバチがいなければ成り立たないのが養蜂なんだから.この養蜂家のところで飼われたいと思うような養蜂家はたくさんいるし,そこに飼われていれば,仲間からうらやましがられるほど愛情を注いでもらえることもある.でも,都市でミツバチを飼う人たちは,最初はミツバチを大歓迎してくれるのに,実はあんまりミツバチを愛してくれていないというのが実感.
それは,単純にミツバチを知らないということだと思う.技術的なものだけではなくて,ミツバチが本当はどんな生き物で,その時々でどうしたいのかが理解できていないから.刺されるのは怖いし,今,どんな調子なのか? 気分はどうなのか? どうやったらそれを聞き出せるのか,気むずかしい相手に接している気分なんだと思う.

ちょっと話をもとに戻そう.実際に都市部でどんなことをすればミツバチを使って生物多様性や環境教育を実践できるだろう.今日のテーマはそこにしたいんだけど.

minilogo.pngニホンミツバチさんは,場所にもよるけど都市部でもうまく生活している.セイヨウミツバチよりも群れが小さいし,越冬が上手だから,大量の貯蜜がなくても冬を越せる.都市部は気温も高いから,越冬には向いている.天敵もいないし,競合相手も少ない.でも,どのくらい生息しているかは,前回の駆除件数データのようなものしかない.海外では野生のミツバチの分布密度を環境の指標として利用できるという研究もある.ニホンミツバチの分布はヨーロッパやアメリカでの結果と比較すれば,東京や名古屋がどういう位置づけか,わかるかも知れない.
確かに日本の都市部では人口密度も高いから,野生群の巣も誰かには見つかっている可能性がある.通報されて駆除されてしまえばそれだけど,地域でその大切さを理解できれば,駆除をせず,生息したままでの分布調査は可能だろうね.

minilogo.png環境の善し悪しと分布密度がどういう関係になるのかはそれほど単純なものではないから,もっと多面的なデータが必要かも知れない.ただ,ミツバチがどの程度の採餌範囲を必要とするのかは,当然その場所の資源の量と質に依存するし(いつでも2kmってわけじゃあないんだ),そうした側面も調べてみればいい.どこに行ってるのか,どの花だったのかはちゃんと聞いてくれれば答えてあげる(ニホンミツバチさんはそのあたりはちょっと秘密主義だけど).
家屋への営巣は駆除の対象となりがちだし,人間の通行の邪魔にならないところに,ミツバチの野生群用の巣箱を置いて,住んでもらうというのはどうだろう.こうした巣箱をあちこちに設置して,その利用率から,その地域の環境をおおざっぱに把握することはできそうだね.

minilogo.pngついでに花でも植えてくれて,その効果を知りたいということなら教えてあげられる.こうした部分がうまくいけば,ニホンミツバチさんだってハチミツを提供できるかも知れないし,そうすれば人間の側でも,もっといろいろな情報を入手できるはず.現状がわからないのに,いきなり成果が出るわけはない.企業さんだと時間的な制約があるのかも知れないけれど,むだな1年は,有益な2年の半分の価値もない.そんなことはミツバチだって知っているのに.
確かにハチミツが得られれば,そこからはいろいろな情報が集まるね.そうしたものを解析していけば,人間の関与した環境が,どうミツバチに利用されているかはわかりやすい.こうしたデータがあれば環境教育もやりやすくなる.

minilogo.png環境教育が何を目指すのかはミツバチにはわかりにくい.人間が言う環境という言葉がいまいちなんだよね.多くの人は都市で環境というと「緑」だと思いたがる.でもそれほど簡単なものではない.生物多様性を意識するなら,植物以外の生物も勘案しなければならないし,都市部では一番数が多い(インパクトが大きい)人間活動も含めなければ.でも,だからやる価値があるということでしょう.教育は人間がやることだから,生き物を意識した環境作りを目指すということでいいのかな? そういう場面で,生き物が生きている意味をもう一度ちゃんと理解して欲しい.科学的にというよりも,同じ生き物として.
それはよくわかる.教育の素材は,もちろんフィクションもあるし,科学に基づいたものもある.ただ,環境を考えるときに,物語の中に登場するクマやミツバチと同列のとらえ方ではダメ.その点ではやっぱり科学性は確保したい.鹿島の取り組みは,数少ないという点では注目されるだろうけれど,COP10でこれが日本の取り組みということで紹介されたら,やっぱりちょっと恥ずかしい.都市を造るという気概のある企業なんだから,科学性をきちんと確保して,ちゃんとした理論を身にまとっては欲しいね.
minilogo.pngそのためならミツバチも協力できる.社会ということでは,ミツバチの方が長い経験がある.学べるものならきちんと学んで欲しいし,ミツバチについてももっと理解して欲しいな.


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2010年04月12日

鹿島のニホンミツバチプロジェクトっていったい...

都市でミツバチを飼う理由の話を書いたら,鹿島のプロジェクトの内容的な部分をどう思うかと聞かれました.新聞記事に書いてあることは内容が希薄で読み取れなかったのですが,ニホンミツバチを使うという点で,単なる都市での養蜂の話ではないのではという見方もあります.鹿島のプロジェクトが何を目指しているかは,Webで公開されているKajima CRS Reportには一応書いてあるというか,これしか情報源がなく,新聞記事にいうところの実際に得られた「データ」はないままでは,研究者としてコメントのしようがありません.それでも,やっぱり何かしっくりこないので,そこに書かれていることを引用しながら,どこが違和感のもとなのか,辛口ミツバチと一緒に考えてみました.

「二ホンミツバチは農薬に弱く環境の良い場所でしか生息できないため、都市環境の指標として適している」
まず,この前提は正直なところ意味不明.つまり,農薬には弱いので農地の近くでは生息できないといいたいのか,都市環境では生息しにくいのか,どっちなんだろうね.最近,この鹿島のプロジェクトにも係わっていたある養蜂家が,「農薬を多用しない都市の方が環境がよいから,生産物も安全」のような発言をしたとかしないとか,っていうのもあった.研究という観点からすれば,都市は,環境が悪く,したがって生物がぎりぎりのところで生息しているので,環境のちょっとした変動が,その生物を通じてとらえやすいというのが筋なのかなあ.

松浦誠の「都市における社会性ハチ類の生態と防除」(2005)によれば,2000〜2002年に,東京都内では,北区と板橋区では,駆除されたミツバチの16件中14件が,隣接する埼玉県の市部では59件中44件がニホンミツバチであった.1998年に行われた主要な公園での飛来数調査でもニホンミツバチが優先であった.横浜市では1999〜2000年の2か年間で,種名の判明した相談件数の117群中103群がニホンミツバチだった.

これを見ると,ニホンミツバチをどのように都市環境の指標としてとらえてよいかはわかりにくい.そもそもニホンミツバチが増えた(生息数が多く駆除の対象になりやすい)ことは,都市化して天敵が少なくなったこと,花粉源に関して競合する野生のハナバチ類が減少したこと,大規模養蜂が近郊から撤退していることなどで,都市やその近郊ではニホンミツバチとの生存上の競合種が少ないことが,生息環境としての質的向上につながっていると考えるのが普通で,植物資源に関しては,割り当てはともかく,よくなっているという具体的な報告は少ないのでは?

minilogo.png駆除の憂き目に遭うという点では,今だってミツバチにとっては都市は劣悪な環境だよ.そうでなければ,ビルの屋上とかだし.自分たちが住んでみて気持ちのいいところに置いてよね.
なるほど.そりゃそうだ.

minilogo.pngそもそもニホンミツバチが農薬に弱いというのはどんな根拠? セイヨウミツバチの方が体が大きい分,農薬の影響受けにくいとかいうつもり? そもそも神経質なニホンミツバチさんをセイヨウミツバチと同じ実験方法で毒性試験して比較することはできないでしょう? セイヨウミツバチだって農薬でたくさん死んでいる.それが農薬に弱いことではないの? 
確かに閉鎖系飼育でそもそも寿命に大きな差が出ちゃうのは事実だね.農薬への過敏さという点では,ニホンミツバチが野生だから高くて,人間といてもストレスを感じにくくなった分,セイヨウミツバチが鈍いというのはまあ納得できる範囲かな.
minilogo.png結局,人間がストレスの原因で,一緒にやるためには,多少鈍くなきゃやっていけなかったてことでしょ!.

「ミツバチは、蜜を集めると同時に花粉を運んで、植物が実を結ぶ手伝いをしてくれます。つまり、ミツパチがいることで都市の緑が元気になります」
都市の緑を構成するすべての植物をミツバチが利用できるわけではないよね.街路樹に関していえば,東京都の基本樹種は,スズカケノキ,イチョウ,ユリノキ*,アオギリ,トチノキ*,トウカエデ,エンジュ*,ミズキ,トネリコ,アカメガシワ*の10種といわれるけど,ミツバチがよく利用するのは*印を付けた4種のみ.緑のすべてがミツバチとの関係性を持たないし,そもそも都会の緑は人為的に導入されて管理されている.
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もちろん巣を作るのに向いた大木になるものもあるから,花がなければミツバチの役に立たないというのも短絡的だけど,少なくとも,既存の緑のすべてがミツバチに関係しているというのは,誤解を招きやすいと思う.人為的に持ち込まれたものは,それぞれの関係性が希薄だし.
確かにこの表現が繰り返し使われやすいけれど,こうしたわかったようないい加減な表現が,かえって生物多様性の中での生物間の相互関係を見落としてしまう元凶にはなっているね.関係というのは,もっと個別に,質的にも異なるものだという理解は必要だろうね.
minilogo.png人間だって,人間同士という括った関係では言い表せないでしょう? 本当は複雑なことを,あまりに単純化するから,ちゃんと理解する習慣がなくなる.人間の悪いクセだと思う.
そ,そうだ,ね.

「ニホンミツバチの巣箱を置き、都市の生物多様性の回復にどのように寄与するかデータを収集する実験」
この実験はイメージしにくい.仮説は何だろう.実体はあくまでdemonstrationであってexperimentではないから,「どのように」という部分の検証性は乏しそう.何かそれらしいデータは得られたんだろうか?

minilogo.pngそもそも都市に回復可能な生物多様性があるという前提からして,恣意的.結局,人間が持ち込んだもの(ニホンミツバチ)によって,人間が持ち込んだもの(植えた植物)がどんな影響を受けるかみてみたということでしょう? 生態系のリハビリにミツバチを利用するという方向とはちょっとちがうようね.それと,ミツバチが2km圏内でしか生活してないと思われたり,人間が気がつく植物にしか行かないと思われるのも嫌だなあ.
そもそもどんなデータを取ることで「回復」といういい方になるのだろう.ミツバチと親和性の高い植物だけが利益を受ける手助けをしているということなら,セイヨウミツバチが外来植物の増殖を助け,結果として在来種を含む既存の生態系への悪影響が懸念されるからと,一部地域で養蜂が排斥されているけれど,それと同じことをしてしまっているとさえいえる
minilogo.pngでもそれはどうせ人為的なことなんだからミツバチが悪いわけではないんだよ.

「ミツバチをテーマにした環境教育も実施する。採蜜体験などを通じて子どもたちにミツバチと自然とのつながりを実感してもらう狙いだ。」
これも中身が見えていないからコメントしにくいけれど,背景にある科学的根拠がこうした「実験」から得られたものだとすれば,数年前に流行った『水からの伝言』が道徳教育に取り上げられた時と同じような不安を感じる.科学性を無視して,結果がオーライなら教育,というのはどうかな?
minilogo.png根拠がなければ反論もまた科学的ではないのでは?
確かに.でも『水からの伝言』でも,当初は笑って無視していた専門家も,道徳教育で使われ始めてから,間違ったことが事実化して,理科教育の破綻を意味するからと動き始めた.今度も,科学性を欠いてしまえば,環境教育を貶めることになる.このプロジェクトで再現性や検証性はどう補償されているんだろう.これはCSRだということでやっていると思うけど,鹿島のような大企業として,これでよいのか,ニセ科学に陥らないで,本質的なプロジェクトの意味を見直して,軌道修正をして欲しいと思うね.名古屋のプロジェクトの取材記事は明らかにマイナスイメージだと思えたし. 

minilogo.pngビルの12階の屋上に「拉致」された,哀れな松阪のニホンミツバチさんの「生きる意味」も一緒に考えてもらってよ.

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2010年04月09日

都市でミツバチを飼うことに意味って必要?

名古屋でもビルの屋上でミツバチを飼うという報道があり,またいくつかの問い合わせがありました.名古屋では,今秋,生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されることもあり,これに絡めた動きということで注目されているようです.そのあたり,ミツバチはどう思っているのでしょう? 聞いてみました.

minilogo.pngミツバチを飼うことに意味があるというのは,単なる人間の言い訳でしょう? 都会のビルの屋上だろうと,ミツバチはそこにいれば蜜は集めるよ,そういう習性の生き物なんだから.集められなければ,それはすなわち「死」ということなんだ.人間が,都会で,「ミツバチを飼った」,「蜜が採れた」,「生産現場だ」,「自然があった」,「共生だ」と,いろいろなごたくを並べて,喜んでいるけれど,違和感あるなあ.ミツバチからすれば,その状態を歓迎しているわけではないよ.巣箱を提供してもらっている立場上,連れて行かれればそこで最善は尽くすけれどね.それがミツバチの本然だから.

minilogo.pngほら,人間も,震動や騒音もある電車の中で座ったまま寝てるでしょう.あれが安眠や充分な休息と思われているのと同じだよ.寝ているんだから,その電車の座席は安眠空間だといっているようなもの.人間は寝るのが習性なんだから,どこでも寝るんでしょう? 電車の中で,席を譲ってあげて,実際にその人が寝たら,いい場所を提供したって喜ぶものなの? 変な生き物だねえ.ゆっくり眠れる空間は他にもいっぱいあることを知っているのにさ.もっといい場所を提供して,この人は疲れているんだから最高の場所で寝かせてあげようっていうなら,わかるんだけど.電車で席を譲ってあげて,ほら寝ただろう,じゃああとは働けって,本気でそれがいいことだと思っているのかなあ? されて嬉しいことを人にしてあげたいというのが,人間の美徳とかいうやつじゃないの.まあ,ミツバチは人間じゃないから,その美徳感覚もよくわからないけれどね.

minilogo.png生物多様性をどう考えるかって? だって,そもそも生き物は本来多様で,ある景観の中にいろいろな生き物がいて,相互に直接的な,あるいは間接的な,いろいろな距離で関係を築いているんだよ(人間によって攪乱されているといういい方もできるけれど,生き物の側からは,何だかやっかいなやつが入ってきたなっていう感じかなあ).状態の善し悪しはともかく,生物多様性は生き物からみれば実存するものであって,概念ではないよ.学問として学ぼうというならそれもよいかも知れないけれど,それは人間がやることでミツバチがやることではない.

minilogo.pngだから,ミツバチを飼うことがどう生物多様性と結びつくかは,ミツバチにはどうでもいいこと.もちろんミツバチをみていてくれれば,生き物の多様性の重要性はわかるとは思うよ.ミツバチは,生物相互の関係なしにはやっていけない,そういう想定で自分たちの立ち位置を作っているからね.

minilogo.png環境指標生物? ミツバチはどの場所でも,自分たちの存続のために最善を尽くすから,環境に対して周囲の影響を受けやすい,絶対的な受容者ではないし,そもそも飼うことができる生き物を環境指標生物と考えることには無理があるのでは.そのあたりはたぶん誤解があると思うよ.

minilogo.png海外でも都会でミツバチを飼うことが多い? だから飼うことには何の問題もないよ,ミツバチとしては最善を尽くすだけ.もっとも人間側ではいろいろ問題があるんじゃないの? 分蜂とか,刺されたとか,糞だとか? みんな気にしないの? 気にしないでいてくれるならミツバチ的には嬉しいけれどね.最近は,そんな理由で,せっかく覚えた空間から出て行かなきゃならないことも多いんだ.

minilogo.png人間はハチミツが採れて嬉しい? まあ,こっちはせっかく集めたんだからやりたくはないけれど,採って喜んでくれるなら,また明日から頑張ればいいと思うことにするよ.でも,素直に町中でハチミツが採れたと喜ぶだけにしておいたら? 人工空間の中には人間がいうところの「自然」はないから,都会にいるミツバチが人間と自然とのパイプ役になれるわけないし.人間が何を「自然」と呼びたいのかはちょっとよくわからないけれど,人間も生物という意味では,都市だって充分に自然(生き物が作った構築物があるだけで)なんじゃないの.自然と共生とかいう言葉があるけれど,生き物である以上,普通はみんな一体なんじゃないの?,え,ちがうの?

minilogo.pngミツバチがどの花を利用するかとか,その空間をどう考えているかとかは,ちゃんと聞いてくれれば答えてあげられるから,勝手な想像でいい加減なことはいって欲しくないな.ミツバチにとっては花はどれも同じじゃあないこともわかって欲しいし,ある空間の中で生きていくためには,自分たちがいいときにも悪いときにも対応できるように築いてきたシステムを駆使しているから,その点は尊重して欲しい.こういうことを「科学的に理解すること」だといういい方をする人もいるけれど,それ以前の問題だと思う.

minilogo.png生物多様性はいろいろな概念が入ってきてしまうから難しいのかも知れないけれど,正直言って,ミツバチ絡みの話は,このままじゃ,流行の疑似科学になってしまうよ.それに荷担しているように思われるのは嫌だなあ.ミツバチが都市の環境を教えてくれると思うのは自由だし,ちゃんと聞いてくれるならちゃんと答えてあげられるけど,対話ができているとは思えないなあ.ビルの屋上でミツバチと一緒に写っている人たちはいつも笑っているみたいだけど,ミツバチが笑っている写真は見たことがないね.気持ちが通っていないのに,何かが伝わったりすることってあるのかな? 人間はそういうの得意なんだっけ?

minilogo.pngメディアが,都会のミツバチを取り上げて,自然との共生だとか,文化だとか勝手なことを言うけれど,それはミツバチには責任のないこと.その点はちゃんとわかって欲しい.ミツバチはどこにいても自分たちの最善を尽くそうとしているだけであって,人間に誉めてもらおうと思ったことなんかない.あたりまえに,生きようとしているだけ.でも,もし,そこで生きていけないとしたら,申し訳ないけれど,それもミツバチの責任じゃあない.そのあたりは,よくよく理解して欲しい.

minilogo.pngミツバチは人間のいう「動物愛護」の対象外だけれど,動物には違いないし,個々の働き蜂はともかく,ミツバチという生き物として「命」があるんだ.人間のご都合にもてあそばれるのを,よしとしているわけではないことも,わかって欲しいな.


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2010年03月30日

イチゴハウスのミツバチからのお願い

矢祭のイチゴ農家の訪問で思いがけずよい状態のミツバチを見ましたが,養蜂家も農家も,あるいは試験場なども,ある一定の条件下では,秋にハウスに導入したミツバチが春に充分使用に耐える状態で屋外に出せるということを経験しています.反面,多くの蜂群は使い捨てで,使用終了時点では数百匹以下になってしまう,あるいは死滅していることが多いのですが...

共通している点,あるいは工夫点は次のようなものです.
蜂量:約10000匹(巣板4枚分弱),巣板は貯蜜巣板を3枚と蜂児巣板を2枚の5枚構成.蜂児量はおよそ6000匹程度です.蜂量はこれより多くても難しいです.
巣箱:通常の運搬箱を用いています(板厚が薄い場合には断熱材などで覆うとよいと思います).
イチゴの品種:多花性で,花期が間欠的になりにくいものがよいです.
給餌:砂糖水の給餌は避け,持たせた貯蜜で春まで維持します.不足した場合は,貯蜜枠を与えるのがよいでしょう.花期に間隔が空く場合には代用花粉を与えるなどの工夫が必要です.
巣箱の設置:ハウス内で50cm程度の台の上に乗せます(作業者や台車などがぶつかりにくい場所を選びます).

実際のところを,ミツバチに聞いてみました.


minilogo.pngミツバチは安定的に女王蜂が産卵している状態で,花があって活動している時期なら,働き蜂の数と蜂児量はおおよそ3:2になっている.10000匹の蜂群が安定的に維持されるなら,蜂児は6〜7000匹必要で,これを支える女王蜂の産卵能力は300個/日.8000匹の蜂群だと250個/日の産卵が維持できれば蜂群自体を維持可能.そのためには女王蜂には卵の材料として毎日50〜60mgのローヤルゼリーを与えなきゃいけない.イチゴの花粉が栄養価が高いとしても大きな花粉団子数個分は必要.でもイチゴは花粉が少ない.そのために,まるで受粉をしたがっているかのように見えるだろうけれど,花の上をぐるりと回って花粉を集めなきゃなんない.けっこういくつかの花に行ったつもりでも,せいぜいこの程度の花粉団子しか作れない.
PL-ichigo-s.jpg


minilogo.pngでもハウスの中のイチゴの状態がよければ,春までの存続は不可能ではない範囲.花が途切れちゃうと,かなり厳しいけれど.そんなときに,ハウスの中にナタネの花を入れてくれたり,きな粉をハチミツで練った代用花粉を少しずつ,巣箱に入れてくれたりするだけでもかなり救われる(代用花粉はやり過ぎると必要以上に卵が生まれて,蜂群維持は難しくなってしまう).

minilogo.pngミツバチがハチミツだけで生きているという誤解は根強くて,どうしても活動が低下したときに砂糖水を食べさせられる.でも,砂糖水はいったん巣房に貯めなきゃ利用できないし,そのために濃縮も必要となるから,けっこうエネルギーを必要として,疲れてしまう.最初に充分な貯蜜を入れてもらっておくのが一番.足りないという事態は,本当は避けたいところだけれど,本当に不足したら,一番いいのは貯蜜巣板を入れ替えてもらうこと.ハチミツを与えればいいだろう? そう思うならばほんの少しずつにして.大量に与えられればその仕事をこなすためにイチゴへの訪花は二の次になるから.

minilogo.png巣の保温については意見が分かれるところだけれど,ミツバチとしては板厚の薄い巣箱では,気温の変動の大きなイチゴハウスでは巣の温度を安定的に維持しにくい.特に夜温が下がる場合には,発熱のために体力の消耗と貯蜜の消費が進んでしまう.そのためにも断熱材などで保護してもらえればいい.ただ,保温の状態がよすぎると,女王蜂の活動範囲が広がって,蜂児圏が広がりすぎることもあるので工夫は必要(垂直隔王板を使うとか).これはミツバチの方でうまくコントロールできないことが多い(セイヨウミツバチの性なんで,申し訳ないけれど).それから,移動用の巣箱だと換気窓があって,暑いだろうからとここを開ける人がいる.これは大きなお世話,やりたいように換気させて.暑いのも苦手だけど,冷えるのはもっと苦手なんだ.換気量をきちんと調節して,温度も維持しながら,不要な湿気と炭酸ガスを外に逃がしているんで,その計算が難しくなるようなことはやめて欲しい.

minilogo.png春になると温度の上昇を防ぐためにハウスの天窓を開ける.ここから飛び出した働き蜂が戻らないとか,あるいは秋の導入直後や,花が少ない時期には働き蜂の消耗が激しい.もちろんそれを補うために蜂児がきちんと育っていれば,働き蜂が減ることの影響はそんなに長くは続かない.蜂群としては,ハウスの中でも長期間生きてはいける.

minilogo.pngミツバチはイチゴを人間のために作ってあげようとは思っていないよ.でも,イチゴの花はミツバチを待っているし,ミツバチの使命として,イチゴの受粉はしたくなる(本能だからね),で,代わりに花粉はもらう(花蜜は大したことないけど).ハウスはミツバチにとってかなり厳しい環境だけれど,それでもミツバチは自分の社会を維持させることをあのハウスの中でも夢見ている.養蜂家や農家がちょっとミツバチに注いでくれる愛情に救われている事例はたくさんある.春まで生き延びようと思っているミツバチたちに,農家の人たちがこうしたヒントの中からよさそうなものを選んでくれるといいな.イチゴをたくさん作るためと思ってくれるのでもいい.イチゴをたくさん作るのは「元気な」ミツバチなんだから.その点では同じ目的に向かっていると思えるよ.おいしいイチゴをたくさん作りたいという気持ちが,ミツバチにとっても大切なことなんだ.

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2010年03月14日

ミツバチに見る「折り合い」と持続可能性

ある番組取材がきっかけで,養蜂を始めると誰もがその名前を聞く,近代養蜂の父ラングストロスが,近代的な巣箱の開発の過程で発見した"bee space"について,ミツバチに聞いてみました.
(bee spaceとは養蜂用語辞典によれば「巣板間隔,最適巣板間隔」と訳されている.巣板と巣板の間にミツバチが設定した間隔と理解されがちだが,人間側からは,巣板と巣箱の間の距離が,広すぎれば巣を作られてしまうし,狭すぎればプロポリスで埋められてしまう.約1cmほどにすると,ミツバチが通路として利用するため,巣板が巣箱にくっついてしまわないという絶妙な距離)

minilogo.pngまず断っておくけれど,ラングストロスが発明したことにはなっている巣板間隔を,最初に見つけたのはミツバチ.そのことは忘れないで.巣板の間隔はとても重要.ミツバチの巣は複葉巣板型といって,巣板が何枚も並列に並んでる.巣板を埋める六角形の巣房の中にハチミツを貯えたり,幼虫にミルクをあげたりするから,巣板の上はたくさんの蜂が行き交う.もちろん休憩しているものもたくさんいる.だから,巣板と巣板の間が私たちミツバチの居場所,適当な間隔がなければ困る.

minilogo.pngずいぶん昔にこの間隔を編み出したわけだけれど,ミツバチの先祖の設計者がそのとき悩んだのは,夏と冬では適切な間隔が違うということ.季節によって間隔を可変にするのは難しいし,その都度巣を作り直すのは無理だから,間を取ることにした.夏は,どうしても暑くなりがち,換気のために巣板の間隔は広めがいい,でも冬はそれでは広すぎる.昔の設計者の間では,きっと意見が分かれたんだろうけれど,二つの意見に折り合いを付けて,今の間隔を編み出したんだ.現在もその設計図が使われている.

minilogo.pngもし,夏の暑さに適応した巣板間隔だったら,冬は寒くてうまく越せなかっただろうし,冬の間隔にしていたら,夏は暑くて仕事にならなかっただろうね.今の巣板間隔が,どの季節にもちょうどよいというわけではないけれど,どの季節もこれならやっていける.同じ頃,地球に登場したマンモスさんは,「冬仕様で行くよ」っていきがっていたけど,やっぱり破綻しちゃった(もっとも滅ぼしたのは人間だという噂だけどね).私たちミツバチは,この先は長いんだ,冬も夏もあるというところで,将来を設計したんだ.

minilogo.pngミツバチよりももっと長く地球上にいる生き物の先輩たちはたくさんいるけれど,みんな環境の変動に対して折り合いを付けている.住む場所を決めたり,移住することにしたり,都合の悪いときは眠っちゃうことにした生き物も多い.ミツバチは,一年中眠らなくても同じ場所でやっていけるような生活様式を選んだ.群れだと移動はやっかいだし.500万年は地球上じゃ短い方だけれど,ここまでやってこれたのは,もちろん私たちが植物と共存関係を結んだことも大きいけれど,良いときも悪いときもあるから,どちらにも対応できるように,よいときだけを目標にしないで,折り合いを付けることを学んだからだと思うよ.

minilogo.png人間とも折り合ってきた.搾取されるばかりじゃ面白くないから,飼われやすいようにして,今や南極以外の全大陸を制覇している.人間はミツバチを家畜化したつもりでいるみたいだけど,家畜化要件の「繁殖」の部分はまだ手渡していないし,いい気になっているときには,ちくりと痛い一発を見舞うこともできる.もちろん神さまが,刺すことは命と引き替えで許して下さったので,大事な一発として滅多に使わないけれど.

minilogo.png人間の近くにいると,とても不思議に思う.折り合い付けるの下手なんじゃないかな.夏にも冬にもちょうどいいものなんて作れないよ.夏は夏で,冬は冬でちょっと我慢すれば,次の年もその次の年もやっていけるのに.夏も冬も何にも我慢しない生き方なんて,そんなの誰が見ても持続的なんかじゃあり得ない.そのために次から次へとものを使い果たしていくことになっちゃう.人間は発展しなきゃいけない生き物らしいけれど,そうでなきゃいけない理由はミツバチにはわからないなあ.人間じゃなくなりたいってことなのかなあ.人間は自分が嫌い?


posted by みつばち at 12:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする