2017年01月21日

玉川大学ミツバチ科学研究会レポート

冬真っ盛り。冷え込んでいます。

新年のご挨拶もしないまま、2017年がすごい勢いで進行中です。
昨年、12月25日に無事、くにたち蜜源ガーデンの跡地を更地に戻すことができました。
大きな課題がひと段落して、すっかり気が抜けております〜。

まずは、恒例の玉川大学ミツバチ科学研究センター主催の「ミツバチ科学研究会」のレポートです。
今年は、Lazybeeにとっては、なぜかすごく興味深い内容のものばかりだったので、一つずつ簡単ではありますが、レポートをします。簡単なものなので、あまり期待しないでくださいまし(笑
最近は、Facebookページでのアップが中心になっているので、そちらでアップしたもののまとめをこちらに入れます。

1月8日(日)に開催された同研究会は、例年にもまして大盛況で約350名の参加者があり、10年ほど前に初めて参加したころより、女性がかなり増えたような気がします。
まずは、中村純教授より、開会のあいさつと「ミツバチと養蜂の現状」についてのお話。蜜源植物として重要なアカシアの植栽面積が、昭和60年ごろから平成26年ごろまでは7000〜9000haあたりを推移していたのに、27年では6200haにまで減少しているとのこと。一部の県では、調査が一定して実施されていないため、数字はあくまで目安にすぎないそうですが、ちょっと寂しい状況ですね。

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研究発表1は玉川大学大学院農学研究科の学振PDの宇賀神篤氏による「見た目は左右で雌雄が半々!行動は?体の中は?」
最初、なんのことやら?と思っていたら、このタイトル通りなんでびっくり!昆虫では性を決める遺伝子が細胞ごとに働くことにより、細胞単位で性が決まるため、たまに受精卵の状態次第でタイトル通りのような個体が発生するとのこと。
はあ〜!?ですよね〜。たまたまクロマルハナバチの巣箱の中を見ていたら、変わったやつがいる〜というので研究してみたそうです。カブトムシや鶏などでも起こる現象です。
見た目は半々でも、体内を調べてみたら、生殖器は♂だったり、♀だったりだけど、脳は半々だったりで、♀に興味はしめすものの交尾に至らなかったり…。本人としては、本能にぶれがあるのは当然なわけで…生き物って不思議ですよね〜。画像は、配布された資料にあった外見比較だけれど、ちょっとわかりにくいかな。

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研究発表2は、玉川大学ミツバチ科学センターの原野健一氏による「ミツバチが巣から持ち出す蜜の役割とその調節」
ミツバチが、お仕事をするために必要なエネルギー源はハチミツ。出かけるときにどのくらいの蜜をおなかに貯めて出発するのか。少ないと途中で餓死してしまうし、持ちすぎると疲れて遠くまで行けない。
ということで、ダンスで方向と距離を教えてもらったら、少しだけ余分に貯めて出かけるそうです。教えてもらったとはいえ、花がすぐに見つかるとはかぎらないから。
要するに距離と採餌経験により、燃料を調節するのです。
なんて賢いのだ!
距離に応じて、蜜の濃度も増加させます。
またまた、なんて賢いのだ!
そして、そして、花粉は、いつもあるとは限らないから、往復分の燃料を持って出るのです。おまけに花粉ダンゴをつくるために濃度の高い蜜を持参します。花粉採集が、やはりそれだけ巣の維持のために重要なお仕事なんですね。
賢い・・・賢すぎる・・・
ミツバチのすることにはムダがないなあ…と感心しまくりました。
寒波が来て、冬本番。でも、そろそろ早いところでは、菜の花が咲き始めているようですね。

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特別講演1は、兵庫県立大学環境人間学部の岡田龍一氏による「ミツバチの尻振りダンスにかくされた餌集めの工夫」
なんと巣箱の中の巣板にダンスフロアがあるのです!
ダンスフロア…お仕事さえちゃんとやっていれば、誰もが注目を浴びるスターになる日があるってこと?ここがコミュニケーションの場になっているわけです。が、そこで伝達される情報には、方向で±15度、時間の誤差が±15%と、けっこう誤差があるそうです。これがどのような影響を及ぼすのか…と、ビデオでの分析で得たミツバチの性質などをもとにコンピューターで採餌行動を再現するシミュレーション実験を実施。やりたくなる気持ちはすごくわかるけれど、実際にやっちゃうところがすごい〜。研究者って、すごい〜。
結果として、誤差で失敗することもあるけれど、もらった情報でしっかり蜜を採集することもできる、要するに人の失敗も、自分の失敗も、お互いに許し合い、巣を維持することに邁進するということなんでしょうかねぇ。ひとつの目的を共有している集団というのは、少々のことでは揺るがない。1人はみんなのために、みんなは1人のために…人間は…ムリっぽい?f(^^;

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特別講演2は、兵庫県立大学環境人間学部先端食科学研究センターの加藤陽二氏による「マヌカの花蜜に由来する特有成分レプトスペリン測定によるマヌカハチミツの品質保証」でした。
なぜ、こんな測定が必要になっているのかにちょっと驚きました。ニュージーランドのマヌカハチミツの需要が高まって、高騰しており、日本でも、平成27年の1kgあたりの輸入品課税後価格は、前年度から1561円も高い4319円!ところが、NZで生産されている量は年間1700tほどなのに、世界で消費されているのは1万t、英国だけで1800t…数字が合わないのです。ということは、世界中でFake Honeyが出回っている?抗菌物質を添加している可能性もある?飴などに加工される場合は、100度を越えると、抗菌成分の半分は失われるし、もともと使っていても、値段が高いから、ごく微量だったり…まあ、気は心、プラシーボみたいなもんになっていることもあったりして。そんな背景から、認証や品質保証のツールが必要になってきてしまったのです。
で、レプトスペリンとは…は、私には説明困難なので、ご興味のある方はググってくださいまし(笑
マヌカはNZなどに約40種類ほどが分布する低木の常緑樹。日本では、スコパリウムという種が「ギョリュウバイ」という名前で園芸用として出回っています。画像は、我が家の近くで咲いていたギョリュウバイです。冬に咲くから、蜜源としていいかも!と思ったら、佐々木先生の本によると、ミツバチはほとんど訪花しないそうです。生垣にもできるから、いいと思ったんだけどな〜。

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ということで、今年も、ミツバチとともによろしくお願いいたします。

posted by みつばち at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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