2015年07月02日

ミツバチを苦しめている3大原因とは?

梅雨の晴れ間のくにたち蜜源ガーデン。
花盛りです。

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さて、アメリカの養蜂雑誌Bee Cultureのwebサイトにミシシッピー州立大で養蜂普及を担当するJeff Harris博士のインタビュー記事が掲載されています。書き手は同大のサイエンスライターのKeri Collins Lewis氏。

その記事によると・・・
Harris博士曰く、ミツバチを苦しめている三大原因は、

一にダニ、二にダニ、三にダニ

とのこと。
「メディアが農薬の影響ばっかり強調することに対する皮肉だよ」と断りつつ、農薬への暴露がミツバチに死をもたらすことは間違いないが「広範囲なミツバチの被害と農薬を結びつけるものはない」とも。

ミツバチの健康問題は農薬だけのような誤解を招きやすい単純化によって、ダニや病気、その他のミツバチを死に至らしめるストレス要因にミツバチが曝されているということが忘れられているが、ミツバチの研究者のほとんどは、ミツバチのウイルス病の媒介者ともなるダニ(ミツバチヘギイタダニ)をまず第一要因と考えていると指摘しています。ちなみにHarris博士はミツバチヘギイタダニ感受性の衛生行動(VSH)を示すミツバチの系統維持の研究をしている方です。

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さて、養蜂に携わっていない人にとっては、ミツバチにたかるダニって?

ですよね。

お見せしましょう。
こいつです。

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ミツバチのお腹にぺちょっとくっついている茶色いヤツ。
ミツバチヘギイタダニです。

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このダニは、以前は、日本、韓国、中国、フィリピンといったアジア圏にだけ自然分布していて、トウヨウミツバチ(ニホンミツバチを含む)に寄生していました。が、1970年代にアジア圏以外にも、伝播し、今では世界各地に広がり、前述のHarris博士の指摘するようにセイヨウミツバチに重篤な被害をもたらしています。

コイツは、とてもやっかいな生物で、巣の中の幼虫の巣房に雌ダニがもぐりこみ、卵を産みつけてしまいます。孵ったダニが蛹から体液を吸い、7〜9日間ほどで成虫になります。その間に母ダニも、動けない蛹から吸う。なので体液を吸われた蛹は、翅がうまく伸びないなどの奇形蜂となってしまうことが多く、寄生されると群の数はどんどん減っていき、弱っていきます。やがて、十分な花蜜や花粉を得られなくなり、巣の滅亡へと向かうのです。

ニホンミツバチは、長い付き合いのこのダニに対しては抵抗性があります。理由はまだ解明中ではっきりしていませんが、体液の中に抵抗因子がある、あるいはグルーミングで取り除くことができるといった見方があります。
しかし、セイヨウミツバチは、突然出会ってしまったダニに対してもちろん抵抗性を持っておらず、急速に広がってしまいました。

このダニの繁殖は巣内だけで完結するのですが、交尾飛行から戻った雄蜂にダニがくっついていて、この雄蜂が間違えてほかの巣に入ってしまうといったことなどで、広がっていくようです。
ちなみに上記のダニがついている写真は、ミツバチの雄蜂です。

日本でも、養蜂家の多くが、どうしてこんなにダニが巣内に増えてしまうのか…と悩んでいます。
今のところ、このダニに対しては、殺ダニ剤を適宜使っていくということしか手立てがない状態です。

ニホンミツバチって、やっぱり強いのね!

と、思っちゃいますよねぇ。

でも、残念ながら、ニホンミツバチが抵抗性のある天敵や病気ばかりではありません。
今度は、海外から、初めての虫や病原菌が侵入してきています。
その一つとして、アカリンダニの蔓延が問題になっています。
このダニは、働きバチの気管内に寄生し、増殖し、ダニで気管が詰まって死んでしまいます。
日本では、1999年に届出家畜伝染病指定となりましたが、2009年にニホンミツバチで初めて寄生が確認されています。

ニホンミツバチも、そんなに安泰というわけではありません。
考えてみたら、みんな人間が招いていることなんですよねぇ。
ミツバチを苦しめている一番の原因は私たち・・・(- -)

罪深い人間のミツバチに対する所業を、もっと深く知りたい、確認したいと言う方へ

映画「みつばちの大地」のDVDが発売されます!
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posted by みつばち at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちを取り囲む現状 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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