2012年06月29日

魔性のミツバチが悪い?

たまたま都内で開催された会議で,都市養蜂が話題に上がり,偶然その日に,都市の自然環境について考えさせられる1冊を往復の電車内で読んだので,辛口ミツバチと一緒に紹介していきます.

紹介するのは,川上洋一さんという自然科学ライターが書いた「東京 消える生き物 増える生き物」 (メディアファクトリー新書)という本.都市で増えた減ったと人間が騒ぐ生き物を取り上げて,都市に自然がよみがえってるとのありがちな「錯覚」を打ち砕く,データに基づいて検証的に書かれた,とてもわかりやすい1冊.でも,著者でもありすべてのイラストも描いている川上さんは,決して都市や都市の自然環境に批判的っていうことではなく,都市でも人間と自然が共存できる日が来ると信じておられる.ただ,現状で,あまり騒ぎすぎなさんなよというのがスタンスのようだね.


minilogo.png「錯覚」ってどんなこと?
わかりやすい表現で書かれているのは,都心でキツツキ(コゲラ)が増えている理由について書かれたところかな.23区内の街路樹が老齢化して,枯れ枝が増え,そこにカミキリムシなどが多いので,コゲラはそれを狙って都市部で増えてきているらしい.川上さんは,「『キツツキが棲む豊かな自然には枯れ枝が多い』という法則は成り立つが,『枯れ枝が多くキツツキが棲んでいるので自然が豊か』とは言い切れない」と断じているんだ,これが,特定の生き物の増加を根拠とする都市の自然再生ロジックの間違いだって.

minilogo.pngぷっ,自然再生と思ったら,背景は街路樹の老齢化だって.人間ってつくづく感覚的だよね.
そうだね.感覚的な方が,検証という過程に曝されないので,広がりやすいんだろうねえ.情報の広がり方としてゆゆしき問題だとは思うけど.

minilogo.pngその感覚的なところがさ,生き物を公平に見れなくなっているよね.冒頭のカラスも野生の生き物だけど,増えたからって喜ぶ人はいない.野生の生き物が住めるような都市は,自然が豊かな空間だっていう人が多いのに,カラスじゃダメ.でもカワセミなら諸手を挙げて万々歳.
そうなんだよね.カワセミは「それこそイメージで,すわ都市の自然再生かと誤解された鳥」で,その美しさゆえに見るものを魅了しちゃう.川上さんは「清流の鳥というかつての偏った看板はそろそろ外した方がいい」といっている.

minilogo.pngこの本では扱われなかったけど,そろそろミツバチの話にいきたがっているね.で,ミツバチは,都市の自然再生のシンボルになっているの,カワセミみたいに?
野生のニホンミツバチは都市部でも増えている.都心にミツバチを置いているとたくさんハチミツが採れる.だから,ミツバチが住む都市は,自然環境が豊かになりつつあるのだという考え方はけっこう定着しているとは思っているよ.

minilogo.pngでも本当はそうではないと思っているんでしょ.だいたい,自然環境がよくなっているなら,カラスとか,カワセミとかミツバチだけが目立つわけ? それに,私たちがたくさん蜜を集めてこれるのは,公園とか,人工的な空間に花が多いからだって認めていたりするんだし,それでどこが自然環境が豊かなの?
その点では,自然が再生されているという人と,そうではなく都市環境というものがそもそも豊かなんだという考えをする人たちがいるのも事実だと思う.

minilogo.pngふ〜ん,ミツバチ的にはね,都心だと怖いオオスズメバチさんに襲われることもないし,蜜や花粉はだいたい私たちが行くまで花の上で手つかずだし,冬は暖かいから,ハチミツの消耗も抑えられて,都市は本当に「いいことづくし」.
しかも君たちは,人間が作ったものにも巣を作るし,行動半径はそこそこ広いから食べ物不足には陥らない.

minilogo.pngだから,私たちは,みんなが言うように,都市の環境は実にいいって認めてもいいよ.オオスズメバチさんとか,花に来る他の虫さんを閉め出して下されば,人間様が,これが豊かな自然ですっていうのに,特に異議は唱えないよ.
待ちなよ.生き物である以上,他の生き物との関係,それが自分に不利な場面があっても,そうした生物間関係が多様に維持されていることが長期的には大切だってわかっているんだろう.

minilogo.pngそうかな,私たちが人間様に向かって,都市の環境がいいといえば,きっと,ミツバチだけが生きていける環境を,人間の皆さんがせっせと作ってくれるような気がするな.
おいおい,そうやってすでに人間をたぶらかしてきたんだろう.都市養蜂の人たちは君たちの魔性の虜になっているのかも知れないぞ.でも,カワセミみたいに,間違った看板は外すときが来てると思うよ.悪霊退散!

minilogo.pngやめてよ,冗談だよ.でも,私たちは人間にいいようにされているって知ってる? 私たちの都合ってこれっぽっちでも聞いてくれたことある? イチゴを実らせてあげるために死ぬのも,繁殖忘れてハチミツをたくさん集めるのも,私たちの種族のために必要なことだから我慢している.それどころか見た通り楽しく働いているよ(不健康には働けないたちだからね).でも人間は感謝知らずで,おまけに思い上がって,私たちが必死に適応しようとしている都市環境を「いい」とかほざいて,私たちにここでも楽しくやれという.人間でさえ,不適応で病気になったりする環境だよ.そのくせ,都市には何でもあるって幻想だけは捨てないで,欲張っちゃう.はっきり言うけど,こんなところに豊かな自然があるわけないでしょ.都市環境が,生き物にとって豊かなはずないでしょ,こんな人間と共存した自然があるわけないでしょ....

しばらく興奮冷めやらないようなので,今日はこの辺で...ほとぼりが冷めた頃にまた....




posted by みつばち at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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