2011年04月19日

ネオニコチノイドと蜂群崩壊症候群〜結論はまだ先?

アメリカ合衆国農務省で特にミツバチのCCD(蜂群崩壊症候群)問題に取り組んできた研究者のリーダーである,Pettis博士の発言として最新ニュースとして流れてきた情報があります.Pettis博士は,当初は殺虫剤の関与を疑ってきたのですが,今回,イギリス議会の超党派の議員グループに対して,次のように語りました.
「低濃度のネオニコチノイド系殺虫剤は実験室内では明らかにミツバチの健康状態への影響が示されたが,野外調査では,これと同じ影響を見ることはできなかった」
では,何らかのCCDの解決の糸口が見えてきたのでしょうか? アメリカの養蜂雑誌Bee Culture誌の編集長発のメールマガジンの記事に基づいて,辛口ミツバチと見ていきましょう.

ここでいう影響というのは,実験室内では,低濃度のネオニコチノイド系殺虫剤をミツバチに与えると,腸管内で寄生虫(ノゼマ原虫)が増加するというものだったんだけれど,野外で,蜂群に低濃度の殺虫剤を与えても同じ現象が見られなかったということのようだ.
minilogo.pngイギリス議会の人々は,ネオニコチノイド系殺虫剤の特徴である「浸透性」に関して,作物に散布された殺虫剤が,花粉や花蜜にまで行き渡っちゃうということがあるかどうかに関心があったみたいだね.そこに出てくれば,いくら濃度が低くたってミツバチとしては農薬の影響を受けざるを得ないしね.

Pettis博士は,ごく微量のネオニコチノイド系殺虫剤(使用したのはイミダクロプリド製剤)をミツバチに投与したら,ノゼマ原虫への感染が増加したという実験結果を出している.ただ,博士は,殺虫剤pesticideは重要な問題ではあるけれど,同じように栄養不良poor nutritionや病原pathogenも大きな問題として,それぞれの頭文字から3-P要素と呼んでいる.
minilogo.pngそりゃあ,栄養は健康の基本だし,農薬はミツバチが働く現場のそこいら中で使われる.病原は博士が言うように通常は二次的要因だけど,今回はこの三つどもえの影響がミツバチを蝕んでいる.このうちの二つの組み合わせだって充分に大問題なのに,三つもあったら健康ではいられないよ.

博士は,殺虫剤は花粉媒介をする昆虫に立ちはだかる主要な問題としながらも,ミツバチの健康がこれだけで決まるとは考えられないとしている.
minilogo.pngその根拠は,花粉や花蜜を介しての影響は確認できなかったってことだよね.ここは聞いておいて欲しいところだけど,花粉に殺虫剤成分が出てくることはすでに確認されていたの.でも,ミツバチは巣房に貯えられた花粉に,プロポリスで蓋をして,それを食べないようにしてた.それで薬害を免れていたんだって,すごいでしょう.

確かに,普通,花粉には蓋はしないからね.この発見には,博士も驚いたようだね.ミツバチが巣の中の殺虫剤を感知して,汚染された花粉を使わないように実際に蓋をしていた.周辺の巣房の花粉は安全でそのまま利用されていたというのだから,ミツバチの感覚には確かに驚かされる.
minilogo.pngでも,実際には,蜂群が崩壊しちゃった巣箱の中で,蓋された花粉が見つかっているから,汚染された花粉を食べないようにしただけでは,ミツバチは生き延びれなかったんだって.

博士は,集約的な農地では,腸管のノゼマ原虫の感染率が,多様な植物を資源にできた地域に較べて高かったことも示して,殺虫剤だけではミツバチの異常を説明できないといいたかったのだろう.もうちょっと殺虫剤よりでは,作物保護協会のDyer代表が,現状ではミツバチに対して多様なストレスがあるのに,そうした研究成果を見ないで,環境活動家に追従するかのように,まるで殺虫剤が悪魔とでもいいたいような報道が散見されるのは残念だと発言している.
minilogo.pngミツバチ的には,そこは悩ましいなあ.農業の成立なしには,ミツバチも活躍の場がないし.殺虫剤の中には,養蜂家が巣箱の中で使うダニ駆除剤も含まれているので,けっこう複雑なんだよね,気持ち的には.

もちろんPettis博士も,近々,学術雑誌に成果発表することにはなっている研究結果が,実験室内では見られた影響が野外では見られないという結論ではあっても,殺虫剤を全面的によしとすることなく,殺虫剤との接点がどのくらいあり,どの程度の影響を受けるのかを今後も監視していかなければと言っているね.
minilogo.pngネオニコチノイド系殺虫剤は種子消毒目的で使われることが多いけれど,日本では散布されることが多いから,今回の研究結果がそのまま日本で応用できる訳でもないしね.それぞれの地域で,ミツバチの重要度に合わせて,それと殺虫剤の使われ方,必要性に応じて,どうすればミツバチが殺虫剤の影響を受けないで済むのか,一生懸命考えて下さい.それと,農薬と絡んでミツバチの健康に影響する栄養問題に関しても考えて下さい.今は春で花もたくさんあるけれど,このあたりはやっぱり作物の花が多いんだよね.栄養的に偏らないか,殺虫剤は撒かれていないか,悩みの種が尽きません.





posted by みつばち at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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