2010年05月12日

愛知県庁の屋上でもミツバチ−お手軽な生物多様性の保全のために働け!

名古屋の大空に飛べミツバチ――。

朝日新聞のサイトにこんな記事が出ました.
写真に出ている養蜂家は,玉川大学の大先輩で,私は決して頭が上がらないし,間違っても足を向けては眠れないお方.だから批判はしたくないけれど,記事はこれで大丈夫なのかな.記事を解剖しつつ,辛口ミツバチと血祭りにしてみます.


さて順番に行こう.まずは「愛知県は県庁(名古屋市中区三の丸3丁目)の屋上でミツバチ約2万5千匹の飼育を始めた。名古屋城一帯や官庁街の草花や街路樹の受粉を助け、昆虫や鳥が集まる生態系作りに一役買う。」とうことだ.
minilogo.png2万5千匹ってことは一群れってことだよね.ミツバチの群れは,それが一つの生き物として動くから,人間として換算すれば,一人,大きく考えても一家族だよ.それに生態系作りの一端を手伝わせる.なんか期待しすぎなんじゃない.

そもそも「生態系作り」って,聞き慣れないというか,新しい概念のような気がする.火山の噴火で生物が死に絶えたとか,山火事などでかなりの部分が焼失したとき,あるきっかけを与えれば,確かに新しく生態系を作るという気分にはなれちゃうのかも知れない.一般的には,以前あったようにはならないしても,「復元」ということだろうと思うが.「生態系を作る」と来たか.
minilogo.png考えようによっては,ミツバチ一群置けば生態系ができちゃう名古屋って,ミツバチを至上の生き物として認めているってことなのかな.日本の近代養蜂の発祥の地だから,そのくらいにミツバチを大切にしてくれている? もしかしたら神さまだと思ってもらえてる?

それはミツバチ的な発想ではないよ.だいぶ人間に毒されてきたな.ミツバチってそんなに独善的だったっけ?
minilogo.pngあまりミツバチ関係でよいニュースがないところで,最近は,何だかやたら担がれるから舞い上がっちゃうんだよ.たった一群のミツバチが,生態系作れるわけないじゃない.人間ひとりで何ができると思ってんの?

もちろん「一役を買う」ということで.ただ,県庁周辺の植物の受粉は任されたみたいだよ.
minilogo.pngミツバチは人間のための受粉係じゃあないんだよ.ミツバチは自分のために働いているんだから.受粉係として働かせるなら,ちゃんと報酬はちょうだい.

次は「飼育するのはセイヨウミツバチで、半径2〜3キロを飛び、ツツジやクロガネモチなど季節の花の蜜を集める。繁殖を繰り返し、7月ごろには4万〜5万匹に増えるとみられる。」だそうだ.「繁殖を繰り返す」というところがいかにもミツバチを知らない人の表現だなあ.
minilogo.pngミツバチってやっぱり理解されていない.働き蜂の数は増えるけど,本質的な意味での「繁殖」ではないのに.距離の表記は幅が出たねえ.これは養蜂家の情報が少し「正確」になったからかな?

さて,でもって「10月に開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向け、生物多様性の保全をPRする狙いもある。」んだそうだ.なんだか,COP10開催地の生態系への理解が「昆虫や鳥が集まる生態系」では心許ないなあ.
minilogo.png生態系作りのために働けといわれたり,ただの人寄せパンダにされたり,名古屋のミツバチも大変だね.だけどさあ,県庁でミツバチを飼うことって,生物多様性の保全とどう関係しているの? 生物多様性の保全がそんなに簡単なことなら,みんなでジェット燃料使って名古屋に集まって,ぐだぐだ言ったり,ぱくついたりするより,今日から世界中の屋上でミツバチ飼いなよ.ほら,そこの屋上2群,そっちは1群!・・・・

う〜〜〜ん,言葉の綾というか,勇み足というか,ただはみ出しただけというか.ミツバチを飼うと生物多様性の保全になるって,大新聞がこう書いたら,多くの人間は実際そうだと信じ込みそうだな,やれやれだ.
minilogo.pngさすがはミツバチ.実はキーストーン種だったって訳だ.人間も,もうちょっとミツバチに優しくしないと,つまみ出しちゃうよ.って,なんかおかしいよね,誤解だよね,間違って書いちゃったんだよね.誰か本当のことを言ってよ.そんな嘘のためにミツバチがダシにされるのはやだよ.

そう,それが正しい態度だろうね.で,「県は夏にハチミツ5〜10キロの収穫を期待。福祉施設に贈る予定だが、この見通しは甘い? 甘くない?」ということだ.さあ,これで見えたねえ.
minilogo.pngああ,やっぱりハチミツかあ.ミツバチじゃあないんだね.名城公園あたりなら10kgなんて軽いでしょう.福祉施設がいくつあるかわからないけれど,そこそこ配れるんじゃないの? で,福祉施設にハチミツを贈ると,生態系ができたことになったり,生物多様性が保全できたことになったりするんだ.へえー,やっぱり人間の世界ってお気楽だよね.で,肝心なところはミツバチ任せで,まったくお手軽.ダメだったら,ミツバチのせいにすればいいだけだし.

ほら,見通しについても,挑発されてるよ.
minilogo.png見通し? 甘いかって? 馬鹿にしないでよ.そのくらい稼げないでどうする.ただ,そこには本当に花があるんでしょう? だって,花を植えることはミツバチにはできないよ.そこにある花に種子を作ってもらう手助けはできるけどね.その分はちゃんと一緒に生態系を作る人間が手伝うんでしょう? えっ,ミツバチ置くだけなの? そっか,人間は置くだけーとか,押すだけーとか,ワンアクションで解決するのが大好きだものね.そんなお手軽,お気軽な人生が楽しいんだ.ふ〜ん.ミツバチに生まれて正解だったよ.次はミツバチに生まれて来なよ,短いけど充実してて,嘘のない一生が約束されてるよ!


posted by みつばち at 20:19| Comment(2) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
朝日の記事、読みました。

「名古屋城一帯や官庁街の草花や街路樹の受粉を助け」って、そもそもこの場所にわざわざ巣箱を持ち込んで受粉させる必要があるのでしょうか?

一群のみつばちたちで受粉できる範囲は限られますし、できた実や種を求めてどれだけの昆虫や鳥が集まるのかも疑問です。

「昆虫や鳥が集まる生態系作りに一役買う」だなんて、たった一群のみつばちたちだけでそんな大きなこと出来るわけないのに…。

生物多様性に対する理解は、この程度なのだなあ、と残念に思います。
Posted by Mitta Mitta at 2010年05月12日 22:07
COP10とか、生態系とかいわなければいいのにね。

甘口ミツバチは、
「こんなことでもないと、なかなか私たちのことは理解してもらえる機会がないから…」
なんて言っている。

ハチミツが採れちゃえば、
「ちゃんと採れるじゃない。ここはいい環境、居心地のよいところなんだねー」で終わっちゃうのよ。それが人間。どんなに必死な思いで蜜や花粉を集めまくっているかなんて考えてくれないわよって思わず言っちゃいました。

ちょっと悲しそうに羽を震わせていたけれど、
「そうですね。でも、私たちは、蜜と花粉がないと生きられないから、やっぱりがんばっちゃうと思います…
たとえ十分な花がなくても、排気ガスがあっても、真夏の熱いコンクリートの照り返しの中でも、風の強い屋上でも…」」

どうせハチミツは採られちゃうのに?
と思わず私が泣いてどーする。。。

ああ、どこまでも健気なミツバチたちなのです。
Posted by Lazy bee at 2010年05月12日 22:46
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック