前作の「六ヶ所村ラプソディー」は下北半島の漁民や農民の人たちの生活の現場を踏み荒らされる憤り、悲しみ、あきらめを静かに見つめながら、原発について深く考えさせられました。その後、仕事で下北半島に行き、現場を目の当たりにして、国のエネルギー政策にもっと関心をもつべきだとつくづく思ったものです。石油備蓄基地、動燃、風力発電村・・・あそこにはすべてがあります。修学旅行は、全員行くべきだと思いました。環境問題はエネルギー問題でもあるのですから。
今回は、中国電力による上関原発建設に反対する山口県の祝島の半農半漁の暮らしを営む人たちのようすと、スウェーデンのエネルギー政策に焦点を合わせた内容でした。下北半島で起こった数十年前のことが性懲りもなくまた繰り返されています。
今回の映像の中で特に印象に残ったのは、埋め立てに来た中国電力の工事関係者と祝島の漁民と高齢者たちが海の上でにらみ合うなか、中電側が「祝島は農業や漁業だけの島で、このままでは高齢化で未来がない。原子力がくれば雇用が生まれる」と拡声器で話すところです。農業や漁業に未来がないと思うことが大きな間違いだと。そこに未来がないということは私たちの暮らしすべてに未来がないことなのに。エネルギーがあっても、自然がなければ、土がなければ、私たちも、ミツバチも暮らしてはいけないはず。
中電側の人は雇われているから、わけわからずに言っているにしても、それだけに悲しいシーンだなあと思いました。
ミツバチの羽音と言いながら、ミツバチが出てくるのは祝島の枇杷の花の上をくるくる回る日本ミツバチの姿が3秒間ぐらいだけ。
終わってから、監督の鎌仲さんに思わず「タイトルにミツバチとあったから、もっと出てくるのかと思った」と言ってしました
鎌仲さんによると、「「ミツバチの羽音が聞こえる世界が、求める世界の象徴だと直感的に感じて、つけちゃった」とのことです。
そういうことなら、「私たちの名前をお使いください」と甘口ミツバチが言ったとか?(笑)
原子力については、問題が大きすぎて、今回の映画でもなかなか自分に手繰り寄せるのが難しいことだなと思わせられましたが、日々の暮らしの何を大切にするのかといったことを再確認する上では、よいきっかけになる映画だと思います。
6月より全国で順次上映がスタートします。
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ラベル:ミツバチと人類の危機
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