2010年03月14日

ミツバチに見る「折り合い」と持続可能性

ある番組取材がきっかけで,養蜂を始めると誰もがその名前を聞く,近代養蜂の父ラングストロスが,近代的な巣箱の開発の過程で発見した"bee space"について,ミツバチに聞いてみました.
(bee spaceとは養蜂用語辞典によれば「巣板間隔,最適巣板間隔」と訳されている.巣板と巣板の間にミツバチが設定した間隔と理解されがちだが,人間側からは,巣板と巣箱の間の距離が,広すぎれば巣を作られてしまうし,狭すぎればプロポリスで埋められてしまう.約1cmほどにすると,ミツバチが通路として利用するため,巣板が巣箱にくっついてしまわないという絶妙な距離)

minilogo.pngまず断っておくけれど,ラングストロスが発明したことにはなっている巣板間隔を,最初に見つけたのはミツバチ.そのことは忘れないで.巣板の間隔はとても重要.ミツバチの巣は複葉巣板型といって,巣板が何枚も並列に並んでる.巣板を埋める六角形の巣房の中にハチミツを貯えたり,幼虫にミルクをあげたりするから,巣板の上はたくさんの蜂が行き交う.もちろん休憩しているものもたくさんいる.だから,巣板と巣板の間が私たちミツバチの居場所,適当な間隔がなければ困る.

minilogo.pngずいぶん昔にこの間隔を編み出したわけだけれど,ミツバチの先祖の設計者がそのとき悩んだのは,夏と冬では適切な間隔が違うということ.季節によって間隔を可変にするのは難しいし,その都度巣を作り直すのは無理だから,間を取ることにした.夏は,どうしても暑くなりがち,換気のために巣板の間隔は広めがいい,でも冬はそれでは広すぎる.昔の設計者の間では,きっと意見が分かれたんだろうけれど,二つの意見に折り合いを付けて,今の間隔を編み出したんだ.現在もその設計図が使われている.

minilogo.pngもし,夏の暑さに適応した巣板間隔だったら,冬は寒くてうまく越せなかっただろうし,冬の間隔にしていたら,夏は暑くて仕事にならなかっただろうね.今の巣板間隔が,どの季節にもちょうどよいというわけではないけれど,どの季節もこれならやっていける.同じ頃,地球に登場したマンモスさんは,「冬仕様で行くよ」っていきがっていたけど,やっぱり破綻しちゃった(もっとも滅ぼしたのは人間だという噂だけどね).私たちミツバチは,この先は長いんだ,冬も夏もあるというところで,将来を設計したんだ.

minilogo.pngミツバチよりももっと長く地球上にいる生き物の先輩たちはたくさんいるけれど,みんな環境の変動に対して折り合いを付けている.住む場所を決めたり,移住することにしたり,都合の悪いときは眠っちゃうことにした生き物も多い.ミツバチは,一年中眠らなくても同じ場所でやっていけるような生活様式を選んだ.群れだと移動はやっかいだし.500万年は地球上じゃ短い方だけれど,ここまでやってこれたのは,もちろん私たちが植物と共存関係を結んだことも大きいけれど,良いときも悪いときもあるから,どちらにも対応できるように,よいときだけを目標にしないで,折り合いを付けることを学んだからだと思うよ.

minilogo.png人間とも折り合ってきた.搾取されるばかりじゃ面白くないから,飼われやすいようにして,今や南極以外の全大陸を制覇している.人間はミツバチを家畜化したつもりでいるみたいだけど,家畜化要件の「繁殖」の部分はまだ手渡していないし,いい気になっているときには,ちくりと痛い一発を見舞うこともできる.もちろん神さまが,刺すことは命と引き替えで許して下さったので,大事な一発として滅多に使わないけれど.

minilogo.png人間の近くにいると,とても不思議に思う.折り合い付けるの下手なんじゃないかな.夏にも冬にもちょうどいいものなんて作れないよ.夏は夏で,冬は冬でちょっと我慢すれば,次の年もその次の年もやっていけるのに.夏も冬も何にも我慢しない生き方なんて,そんなの誰が見ても持続的なんかじゃあり得ない.そのために次から次へとものを使い果たしていくことになっちゃう.人間は発展しなきゃいけない生き物らしいけれど,そうでなきゃいけない理由はミツバチにはわからないなあ.人間じゃなくなりたいってことなのかなあ.人間は自分が嫌い?


posted by みつばち at 12:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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