2016年08月22日

ミツバチに水飲み場が必要な理由

最近、神社が「ミツバチ専用の水飲み場」を作ったら、本当に利用してくれてうれしいという記事がネットで注目されていました。

昨年、みつばち百花では、ミニガーデニング・コンテストに参加した際に、こんなみつばちの庭を提案しました。

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中心に添えたのが「ミツバチの水飲み場」でした。
(レポートはこちらへ)

でも、ぜんぜん注目してもらえなかった・・・ぐすっ。

そう、ミツバチも、常に水を必要としているのです!

え?昆虫が水?

意外?

昆虫も水が…というよりも、ミツバチにとって水はとっても重要なんです。
社性昆虫であるがゆえ、ともいえます。

たとえば真夏。
気温が高くなったら、巣箱の内部の温度を下げるためにミツバチは気化熱を利用します。
すなわち巣箱内に水を撒いて、温度を下げるのです。

ミツバチの打ち水・・・ですね。

昆虫とは思えない賢さ。
あ、いや、これは失礼な言い回し。さすがミツバチ!

これは、まあ、そこそこミツバチ好きには知られていることです。

もう一つ、ミツバチが水を必要とするときがあります。
それは子育てのとき。

幼虫の餌となる蜂乳は水分が60%を超える液体ですが、長雨のあとや春先など巣の中に完成したハチミツ(水分20%)しかない状況では、蜂乳を作るための水分が不足します。そのため気温が低いのにもかかわらず、たくさんのミツバチが水を集めに来るのが目撃されます。

6月ごろ、渋谷の東急デパートの屋上にあるガーデニングのお店に行ったときに、小さな鉢にたくさんのミツバチが来ていました。
お目当ては水のようでした。

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大都会では、植栽された花はあっても、大地はアスファルトやコンクリートで覆われているし、水を得られる場所は、けっこう限られているのかもしれませんね。

水田にイネの花粉をもらいに行くことがありますが、水をもらいに行くことも。
そんなときに農薬と接点ができてしまう可能性も・・・

くにたち蜜源ガーデンでは、すぐそばの水路の水の流れが少ないときは、ミツバチがたちの水飲み場となり、水の流れが激しいときや、涸れてしまう冬場は、オアシスに水を含ませて置いています。

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ミツバチ観察や写真撮影に最適です。

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2016年08月16日

「大量死 ミツバチから農薬」の記事についての考察

「大量死 ミツバチから農薬」といった見出しの記事が、時折、メディアで報道され、そのたびにシェアされ、拡散されていきます。
たとえば、こんな記事も。
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ネオニコチノイドなどの農薬は殺虫剤です。
かけられたら、昆虫は殺虫されるのは当然のこと。
では、それを避けるためにどうしたらよいのか…それを考えることが必要なのですが…
どうしても「農薬反対」で「使わなければよい」という結論になりがちです。
そして、もう何十年もそんなやりとりがなされ、同じような記事が掲載され続けています。

ミツバチの置かれている本当の現状とは?
その解決策とは?

「農水省は2013〜15年度に全国の養蜂家から都道府県を通じて連絡があったハチの大量死198件の原因を初めて詳しく調べた」という結果について

農水が確認した内容は、死んだミツバチから検出された薬剤の種類であって、どのような状況でそのようなことが起きたかについてはまだ推測の域を出ていません。ただ、該当の農薬(決してネオニコチノイドだけではありません)が使われる場面は、法的に、あるいは農業の実践上、ある程度特定されます。農水は半数以上が北海道の水田地帯としています(もちろんそれによって残りを無視した表現になっていて気に入っていません)。水田はミツバチにとって決して理想的な資源ではなく、そこで農薬を浴びているとすれば、その不幸な事故の原因は薬剤の種類ではないことになるでしょう。
現在、世論はネオニコチノイド有害説に傾いていますし、政府にもそうした意味での圧力がかかっています(政治家は農薬の専門家ではないですし、有権者の感情論であっても無視できないですから)

状況を分析すると、端的には以下の2点に絞り込むことができます。

1)ミツバチから検出された薬剤はネオニコチノイドだけではないこと(あるいは7種あるネオニコのすべてが見つかっているわけではないこと)=使用される多様な種類の農薬にミツバチが曝露する状況にあること

2)北海道はミツバチの密度がその時期に高く、資源が不足傾向にあり、畦畔の雑草、特にミツバチが好むクローバー類がよく利用されるため、水田に散布した際にこれらの雑草も同時に汚染され、ミツバチが薬剤に曝露しやすい状況になっていること

つまり、本来農薬に汚染された資源をミツバチが利用さえしなければ起きない問題が起きているということになります。

解決するために必要なこととは?

この解決のためには、ミツバチが行くべき資源を別途用意すること、畦畔除草を推進する(ただしこの場合は除草剤が利用されることにもなります)、薬剤の使用を控えるといった方向性があります。この中で薬剤の使用を抑えるのが、多数が合意形成できそうなものですが、米農家は抵抗を示すでしょう。カメムシ被害で等級が低下して米価が下がること、色選機(カメムシの吸汁跡が黒点となった斑点米を選別する機械)の処理を待っていると出荷が遅れるなどの問題で、農家の経営には打撃が大きくなります。米の等級を廃して、斑点米入りの米飯を我々がよいものと同級品として食べる(皿盛り米飯ではけっこう目立ちます)とか、消費側の意識も必要かも知れませんが、害虫被害は適正な防除をしないと拡大・深刻化する可能性もあり、作る側にとっては不安要素として残ってしまいます。

農薬のユーザーは誰?

農薬とミツバチの関係は、状況が生んでいる事故であり、特定のモノとしての原因があるとは思えません。例えば、見通しの悪い道路で歩行者が車にはねられる事故が多発していた場合でも、車(亡くなった方を調べれば,直接の死亡要因が車であることはわかるでしょう)を全面的にダメで規制しろという人は極少ないでしょう。
代わりに歩車分離を徹底する(そのために歩道やガードレールをを設けて人が車道に入らないようにする)とか、注意喚起の表示を歩行者にも車にも向けて設置するとかいうあたりが一般的な解決案ではないでしょうか。なぜ農薬の場合はちがうのでしょうか。おそらく一般の方にとって自分が農薬のユーザーであるという認識がないからでしょう。

農業そのものが他の昆虫を押しのけて人間のテリトリーを増やす活動であり、結果として、天敵類を減らして、害虫への農薬使用を促しています。また、農業や林業、道路などのインフラ、あるいは居住区の拡張などの人間の活動が、ミツバチなどが利用できる資源を断片化させ、農薬を利用する農地周辺のわずかな資源を利用させることにつながっていきます。
だから、有機農業を推進すればよいという意見も多々聞かれますが、有機農産物の出荷量はH21年で総生産のわずか0.2%です。農薬を使用する99.8%を有機農業に転換するのには、需要と供給のバランスが成り立つのか、コストは見合うのかなど課題は多く、もし、仮に可能だとしても途方もない時間がかかるでしょう。つまり、有機食品の販売やそれでの調理品を提供する側の立場では、自分たちやお客さんは農薬のユーザーではないと考えることは可能ですが、多くの人は否応でも農薬のユーザーです。その意識からは、農薬の禁止ではなく、農薬とミツバチの分離をまずは考えるところからでもと思います。

予防的な使用禁止による成果は?

予防的な農薬使用禁止措置が、ミツバチを保護したり生態系を回復させたと証明するには時間も必要です。EUも、2か年の禁止期間では明確な変化が見えず、効果評価のために1年間使用禁止期間を延長しました。ただ、一方で、農作物を作る立場からは、害虫発生による減収があったり、それを防ぐために他の薬剤(ネオニコチノイド系農薬以前に使用されていた有機リン剤や合成ピレスロイド系農薬)の散布が増えるという実態があり、結局それを回避するためにネオニコチノイド系農薬の使用を暫定的に認めた(禁止撤回)地域もあります。
農薬禁止の効果は実験的に評価できるはずですが、結果は多様(禁止効果が高いというものから、禁止効果はないというものまで)になることが予想されます。禁止自体が、科学的根拠に基づいたものではなく政治的に始まったものであり、今後の撤回にしても延長にしても、判断は科学的根拠よりは地域や各国の諸事情に鑑みた政治的判断に基づいたものになるでしょう。

農薬の環境への影響は?

生態系への影響もミツバチへの影響も殺虫剤ですから、当然あることでしょう。農地とその周辺の環境を人がどこまでコントロールできるのか。人以外の生物は勝手に入って影響を受ける、それをどう考えるかでしょう。
農地には、我々の食糧を常に確保し続けなければならないという至上命題があります。
自然環境と生き物への影響と、その命題をどうマッチさせていくかは、人類の永遠の課題だと言えます。
ミツバチと農薬の接点をできるだけ減らすためには、ミツバチにとっての資源を農地とは別のところに確保するということも、課題解決の一つの方法だと考え、みつばち百花は、蜜源・花粉源植物の検証や増殖に取り組んでいます。

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2016年08月02日

くにたち蜜源ガーデンの移転先が決まりました!

今年の12月末で閉鎖の予定のくにたち蜜源ガーデンの移転先が決まりました!
同じ国立市、それも同じ谷保地区にある社会福祉法人滝乃川学園内の敷地に移転させていただくことになりました。

閉鎖については、多くの方に残念だと言っていただき、また、ご心配をいただき、本当にありがとうございます。
せっかく5年間育ててきた植物たちを生かす場所はないものかと思案しておりましたところ、同学園にご縁を得ることができました。学園内の建物の移設により、ちょうど1000坪ほど空いたスペースが、今年、できたのです。
なんというタイミング!!!

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空いたスペースには新たな宿舎の建設が予定されるなど、すべてがガーデンになるわけではありませんが、園内でくにたち蜜源ガーデンの植物たちが生かされるスペースは十分あります。

同学園は、日本最古の知的障害者施設で、設立は1891年(明治24年)です。
創設者は石井亮一・筆子夫妻で、筆子さんの生涯は、2007年に常盤貴子主演で『筆子・その愛 -天使のピアノ-』として映画化されています。
また、ドキュメンタリー映画「無名の人 石井筆子の生涯」(朗読:吉永小百合)も、2007年に製作され、愛知国際女性映画祭観客賞、映文連アワード2007ソーシャルコミュニケーション部門優秀賞などを受賞しています。

園内の中心部にあるチャペルには筆子さん愛用の「天使のピアノ」があります。1885(明治18)年頃製造された日本に現存する最古のアップライトピアノで、鹿鳴館時代の音色を体験できる貴重なピアノです。

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7000坪におよぶ敷地内には、欅やシラカシ、クヌギ、コナラといった高木も多く、森の中に施設が点在しているような印象を受けます。
樹木が多く、矢川が敷地内を流れているためか、真夏でも、ひんやりした風が吹き抜けていきます。

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この素晴らしい自然環境を生かしつつ、利用者さんと地域のみなさんが交流できる場づくりをめざす「滝乃川学園ガーデンプロジェクト」が、学園のスタッフのみなさんとくにたち蜜源ガーデン関係者により、このたび、立ち上がりました。
まずは蜜源ガーデンの移転と学園内のガーデンづくりを優先します。
ミツバチの巣箱の設置は、その後に再検討することになります。
実は、国立市での養蜂のきっかけをつくられた養蜂家さんが、すぐ近くに巣箱を数箱置いておられることから、学園に蜜源ガーデンが出現すれば、きっとミツバチが訪問してくれるはず。

学園は、すでにクワガタやカブトムシなど、たくさんの昆虫の楽園ともなっていて、多様な生物が生きる貴重な空間でもあります。できるだけ早くミツバチの巣箱が仲間入りできる日が来ますように。そして、多様な人々を受け入れ、支え合っていける人間社会をめざすガーデンのシンボルになれますようにと、みつばち百花は願っています。

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現在、同プロジェクト委員会では、利用者さんにとってよりよいガーデンとなれるよう内容を検討中です。

超高齢化社会に向かう中で、より一層支え合う社会づくりが必要です。植物や生き物と過ごすことは、季節の巡りに敏感になり、命の大切さやつながりを身近に感じられることでもあります。それは生きる喜びでもあります。
私たちは、まさに支え合う心を125年以上つないで来た歴史ある素晴らしい場所で、多くの人が心を寄せる本格的なガーデンづくりをめざします。同時に都内でも稀有な豊かな自然環境をできるだけ生かし、10年後、20年後にますます心和むような場所にしていきたいと、スタッフのみなさんと夢を語りつつあります。

くにたち蜜源ガーデンは、2010年に始まったKFまちかど講座企画の連続講座「ミツバチがつなぐ夢」からスタートしました。みつばち百花は、この講座のアレンジでNPO法人くにたち富士見台人間環境キーステーション(KF)のみなさんと出会い、その講座から、二人の養蜂家が誕生しました。翌年、現在のガーデンの地主さんと出会い、KFさんと二人の養蜂家さんと共にくにたち蜜源ガーデンで蜜源植物を育て、検証し、ミツバチと共に過ごしてきました。
そして、今、「ミツバチがつなぐ新たな夢」が始まったのです。

この蜜源植物を中心にしたガーデンづくりに参加していただける方を募集します。
9月中旬ごろに詳細を発表させていただきます。

「ミツバチがつなぐ新たな夢」に、ぜひ、参加してください。

posted by みつばち at 18:41| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばち百花プロジェクト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする