2014年04月24日

「ムダ巣」って,なんて失礼な!

春たけなわで,いよいよ本格的なミツバチのシーズンを迎えています.ミツバチとしては,繁殖の季節として,養蜂家としては,ハチミツの生産期として,実は両者のせめぎ合いが始まります.

この時期,たくさんの花が咲き,蜜や花粉が大量に運び込まれ,来たるべき分蜂に備えて働き蜂の数は増えています.養蜂家としては,その勢いを維持して,よい蜜源の開花時期にたくさんの蜂を花に通わせたいのですが,ミツバチは,巣を増やしたり蜜を貯えるスペースが不足すると,採餌活動を不活性化して,分蜂への歩みを進めます.
分蜂すれば群れのサイズが半分になってしまいますから,養蜂家は,何としても分蜂を食い止めるべく,巣板を足してスペースを与えます.でも,タイミングを逃すと,ミツバチが巣箱内の空いた場所に勝手に巣を作ることも.その巣は,近代的な養蜂においては養蜂家の尺度に合わない非合理的な存在で,切り取って捨てるしかなく(精製して蜜ろうにすることはできますが),これを養蜂用語では「ムダ巣」といい表しています.

でもその呼び方はあまりに不適切じゃないかとは辛口ミツバチ.
「私たちにはムダ巣なんて存在しない,ミツバチの生き方にムダなんかない!」というのが信条のようですよ....


minilogo.pngスペースが足りないから,見合うだけの巣を作っているのに,「ムダ」って切って捨てるなんて許せない.飼ってる人間が下手くそで,いいタイミングで枠に入った巣板を足してくれないから,仕方なく作ってやってるのに.その巣のことをムダだっていうなんて.
もちろん,ミツバチがしたムダという意味ではなくて,飼っている人間がムダにしちゃうという,どちからというと自戒を込めた表現だろうね.
ただ,ミツバチには結果的にはムダをさせて申し訳ないけれど,ミツバチの芸術品と感激してもらってくれる人もいるし,よい教材にもなるので,まったくのムダともいいきれないけどね.

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minilogo.pngムダって,その巣だけがムダなんじゃないよ.この画像にある巣だったら,蜂ろうで100gにもなる.
100gの蜂ろうは,1kgくらいのハチミツを私たちが食べて分泌する.
1kgのハチミツは,原料として2.5kgほどの花蜜を集めて作るんだ.
蜜胃いっぱいに花蜜を集めてきたとして,2.5kgはのべ50000匹分にもなる.
頑張れば一日で集めることはできるけどね.で,分泌した100gの蜂ろうをかみ砕いたり削ったりしながら,この巣にするのに,動員できる働き蜂を集めるだけ集めても,まるまる一晩はかかっちゃうんだよ.

なるほどね.ただ,その気になったら一日で作っちゃうっていうところで,ミツバチの潜在能力を知らない人だったら,そんなに大したことじゃないのかなと誤解しちゃうかも知れないね.
でも,原料集めから,それを蜂ろうにして,巣に形づくるところまでだと,原料の絶対量もかなりなものだし,けっこうな数の働き蜂を動員してる.それを「ムダ」とはいわれたくないよね.


minilogo.pngそれだけじゃないよ.この巣は,もう幼虫が育っている.ここにいる数百の幼虫は,女王蜂さんが数百の卵を産んだ結果だから,大事な女王蜂さんにもムダをさせたことになっちゃう.
その時間(一時間には50個程度産める)で,働き蜂になる卵だって産めたんだよ.それに孵った幼虫に与えられたミルクは,花粉を原料に作られているから,それも計算に入れておいて.ものだけじゃなくて,時間や,私たちのやる気もムダになっているんだから.

そうか,この時期は不足する雄蜂用の巣を作ることになるから,ムダは卵だけで済んでいるけど,もし働き蜂用の巣が作られていたら,卵だけではなくて,受精させるために精子もムダ遣いになっちゃうところだったんだね.

minilogo.pngその精子の話はけっこう気にされてないけどね.蜂が増えた方がいいから養蜂家さんも,たくさん卵を産む女王蜂さんがいいという.確かにそういう一面はあるよ.
でも,たくさん卵を産めばその分,交尾の時に雄蜂から受け取った精子を早く使い果たしちゃう.つまり,その女王蜂さんを利用できる時間は相対的に短くなっちゃう.
女王蜂さんの寿命は,精子を使える時間で決まっているんだ.交尾が上手くいって,充分な精子を受け取ったか,どれだけムダなく産めたかが,重要なんだよ.繁殖期にうまく寿命を迎えてくれないと,ミツバチは群れごと全滅しちゃうことになるから,私たちは女王蜂さんには決して無理をさせないんだ.覚えておいてね,

ミツバチにはミツバチの時間があるの.人間の都合に合わせたければ好きにすればいいけど,私たちはそれをストレスだと思っているんだよ.
まあ,何にしても,そろそろ採蜜シーズンだし,こんなムダしてられない!



養蜂上は,ミツバチは養蜂家の大切なパートナーです.気持ちよくハチミツを生産してもらうなら,ちゃんと労働環境を見直しておきましょう.

なんとなく忙しく飛び回っている印象のミツバチですが,私たちが「働き蜂」の言葉で抱くイメージとは大きく異なり,まったく闇雲に働いているわけではありません.過剰な労働や大きな不足が起きないように,労働調節はシステムとして見事に機能しています.養蜂家の作業はそれをサポートするものであって,邪魔するものではいけません.

ミツバチは普段から余剰の人員を確保して,必要に応じて一日にkg単位で花蜜を集めたり,こんな巣なら、ほんの一晩で作ったりもできますが,それはあくまでも「最高値」であって,それを「通常」として「勢いづく」ということはありません.人間の社会では,最高値を常に出すことをよいこととする風潮がありますが,よいと思うのは自由だけど,それ,現実には無理ですから.


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posted by みつばち at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月21日

ガーデンのハーブでハーブティ!

昨日、国立市谷保にあるまちかどホールで、KFさんと共催でまちかど教室「ハーブに親しむ ミツバチとハーブの素敵な関係」を開催しました。
Lazybeeの担当は、「ミツバチと花物語」と題したミツバチと花の関係についてのお話でした。

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開催前にくにたち蜜源ガーデンで、ハーブの講師をお願いしたNPO法人グリーンワークスさんたちがハーブの収穫をしてくれました。
ようやく花がちらほら咲き始めたガーデンだったので、活ける花なんてある?と思っていたけれど、ほらね、こんなにありました!

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いつも花を訪れているミツバチは、観察するために追っかけているけれど、こんなふうに花を活けてみようという余裕がなかったので、ステキ〜っ!とため息。
会場の参加者のテーブルにも、こんなふうに飾ってみました。

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会場は定員30名が満席でした。

ガーデンのハーブでハーブティをみなさんに飲んでいただきましょう、とグリーンワークスさん。
えっ?そんなことできるの?と私たち。
なにしろ栽培すること、雑草を取り除くことで精いっぱいで、この2年間そんな楽しみ方をする余裕がなかった私たち…。
3年目にして、ガーデンのハーブでハーブティ! おまけに参加者の方たちにそれを飲んでいただけるなんて!
涙・・・でございます

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採れたてだから、こんなにきれいな色が出ました。

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2部では、グリーンワークスの三浦香澄さんにハーブの基本的なお話をしてもらいました。

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ローズマリーは「海のしずく」という意味、学名にofficinalisとついているのは薬草という意味であること、原産地を知ることが栽培上手になる秘訣、ハーブの香りを楽しむ方法、料理に使うときのコツなどなど、これから栽培するにあたって、やる気が出るようなお話がたくさん聞けました。

終わってから、メンバーと、植物とミツバチの関係に気づかされ、楽しませてもらえるガーデンがあることは最高の贅沢だと感謝、感謝でした。

ミツバチと花の話も、興味深く聞いてもらえたようで、質問がたくさん出ました。
たとえば、どうして花粉がミツバチにとってそんなに大切なの?とか、新しい女王蜂は、どのようなきっかけで誕生するのかとか。

花が好きな人は多いですから、少しでも小さな生きものたちにも関心を持ってもらえて、命の循環を感じることでいろいろな気づきや、豊かさを感じてもらえるといいなあ。

ガーデンでは、タイムがまもなく満開。
すでにミツバチたちが群がっていました。

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りんごのこずえでは、ミツバチたちが忙しそうに飛び回っていました。

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キャットミントでも。

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矢車草も、咲き始めました。

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そんな活気を取り戻しつつあるガーデンですが、とっても悲しいことも。
植えていたバーバスカムを盗まれてしまいました。
ものすごいショック!
お花屋さんで苗を売っているのですから、ちゃんと買ってください!
盗んだ花を庭で咲かせて、心から楽しめるのですか?
どれだけ私たちが天塩にかけて育てているか。
花が好きな人なら、わかるはず。
本当に悲しいです。

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2014年04月09日

タイムとチャイブがスタンバイ中

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毎年、ガーデンで一番最初に花盛りになってくれるのがタイムとチャイブ。
来週末には満開になりそうです。
ミツバチがとっても喜んでくれるんですよね〜!

今日は追加でポピーを植えました。

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こんな花も。

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花屋さんの店先にこんなポップが置いてあって、思わず吸い寄せられたのだけれど・・・

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写真の虫は、ミツバチじゃない!
花はミツバチ好みじゃない!

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んー、でも、ミツバチが来ることをこの花の魅力として伝えているということは…

ついにミツバチが来る花はステキだ!と、世の中は思い始めたのかしら?

なーんて思って、つい買っちゃいました。
で、植えてみました。
さて、来るかしら?

今日は、群馬県片品村から、Lazybeeの古い友人の瀬戸山夫妻が訪ねてくれました。
自然農のプロなので、いろいろ教えてもらいました。

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これは、テントウムシの幼虫。

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これがうろうろしているなら、アブラムシ程度は大丈夫とのこと。
無農薬、無肥料のガーデン。けっこうバランスのよい生態系になっているのかな?

水飲み場は、シャッターチャンス!
今日も、ばっちり西日に映える横顔をいただきました。

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羽がかなり傷んでいます。
一番多忙な時期だもんね〜。

2014年04月08日

我が道をゆく、のもいいよね!

先週の土曜日は、1日のうちに初夏と冬が一緒に来たような日でした。

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朝のうちはとってもよいお天気だったのに、お昼ごろに一転にわかにかき曇り〜・・・
ついに霰が降って、北風が吹き、気温は一気に冬モードに突入。
作業日だったので、納屋の軒先で寒さに震えあがっちゃいました。

3時ぐらいからは、また太陽が顔を出し、ようやく早春の陽気に。
いやはや忙しい一日でした。
おかげで作業はイマイチはかどらず、雑草取りとルッコラの種蒔き程度でした。

ミツバチたちは、近くの桜や菜の花にお仕事で出払っていて、ガーデンはシーン…

と、思いきや、どこの世界にも我が道をゆく〜という人、いや、ミツバチもいるようで、菜の花で1匹、ホトケノザで1匹、オオイヌノフグリで1匹、見かけました。
今日は、この花でいこう!と決めたわけね(笑

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今は、仲間を増やす時期だから、花粉採りに邁進しているみたい。
体だけでなく、顔まで花粉だらけにして、花から花へ飛び回っていました。

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片手でぶら下がって、花粉ダンゴを作っているところ。
6本足は便利だなあ。
Junbeeによると、6本足に死角なし、なんだとか。

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オオイヌノフグリでも、顔中を花粉だらけにし、足に大きな花粉ダンゴを付けていました。

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ビービーツリーが若芽を出していました。まだ、道のりは長いなあ…。

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昨年の年末に剪定したラベンダーを挿し芽してみたら、若芽を出してきたので定植してみました。
さて、根付いてくれるかな?

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ベルガモットが、すごい勢いで復活中。今年は、かなり増えたし、増やしたので6月はにぎやかになるはず。

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3年目についにアスパラガスを収穫!
花粉源だけど、とりあえず食べます!(笑

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みなさんが元気になってくれるのはうれしいけれど、雑草のみなさんもとっても元気になっていて、今年も早速、雑草取りに追われています。

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