
えっと,もちろん,そういうことだと思うよ.

あんたたちはお金使えないでしょ.代わりに,ミツバチが利用できる蜜源や花粉源を保全してもらおうという取り組みのようだよ.例えば,放牧地や牧草地の牧草類を,土壌流出を防いで,かつ地力も高まり,侵略的な植物を寄せ付けないようなものにしていくと,結果的にはミツバチにとっての良質な資源となるし,あるいは野生のハナバチたち,さらには野生動物たちの生息地にもなっていくという流れを描いているらしい.

いや,越冬のための体力をここでつけてもらいましょうという狙いらしいよ.だから,さまざまな景観の中で,多様かつ大量の資源をミツバチに提供できるような取り組みを,農家や牧場主を支援しながら進めていくようだね.

もちろん資金額に応じたことはできるだろう.ただ,北海道だけでいいかどうかは難しい.先般見てきた沖縄県なんかは,交配用ミツバチの生産基地として,養蜂産業が急速に伸びているけれど,従事者はまだ経験の浅い人が多いし,島で土地の面積が多いわけではないのに,急激に蜂群数が増えたから,採蜜成績は急激に下がっている.沖縄県でミツバチを飼っていて,かつてない,いろいろな問題を突然抱え込んでるのが現状なんだ.そういうところへの手厚い支援は不可欠だと思う.この支援策に見習うなら,支援対象の地域が,ミツバチや養蜂にとってどういう位置づけにあるかに基づいて,何をすべきか考えるという点かな.あと,もう一つは,単純にミツバチだけを支援する方向性ではないことが大きく評価できるね.

土壌の流出防止とか地力回復とか,土地を提供する農家や牧場主にとってメリットがある部分が,本当はもっと理解されるべきだよ.確かに,ハチミツ生産だけじゃなく,交配を通じた食糧生産の上でも養蜂産業は重要だけれど,農業の一セクターだけに焦点を当てて支援するより,できるだけ多くの人を巻き込んだ方が,よりミツバチのありがたみが普及するだろうからね.何でミツバチだけ特別待遇なのと思われるよりも,関係するみんながいい思いをすることには意味があるんじゃないかな.

越冬前のミツバチに,栄養価の高い資源を利用させようというのは,まだ少し短直的な感じはしますが,蜂群崩壊症候群の原因探求が結論を見ないままという状況で,具体的に損失を防ぐ施策へと動き始めたことは評価に値すると思います.また,支援される農家や牧場主たちは,土壌流出の防止や地力回復という,本来の自分たちの利益につながる部分で,あるいは国家的には環境という場面での問題解決策という意味も持たせて,こうした事業を実施できることになります.その結果として,ミツバチと養蜂産業が,その生活基板として利用できる資源を得られるというのはよい方向性でしょう.ミツバチが利用する資源環境を,私たちにとっての生活や生産の環境だととらえ直す試みとしても,今後の動きを注目していきたいです.