2013年11月01日

食の安全安心の検査をミツバチに頼る?

ミツバチ認証」という一風変わった認証制度があるということで,どんなものかと,そちらのサイトを覗いてみました.食の安全安心の検査をミツバチに頼るんだそうです.

この認証制度は,ミツバチに対する農薬の危険性のない農産物に「みつばちマーク」を貼って,危険な農薬使用を抑制しようというもののようですが,条件は,500m以内にミツバチが生きているかどうかだそうです.遊び心でと,あえて厳しい条件設定のない認証制度になっているようです.サイトの本文を少し引用すると,「ミツバチが死んだら駄目なので,文字通り,ミツバチが命をかけて食の安心安全を検査するもの」で,「みつばちマークとは言い換えると環境指標生物といわれるミツバチが生きられる環境で作った農産物を食べることで,そういった環境を応援しようというマーク」なんだそうです.ミツバチの環境指標性については,すでにこのブログの「都市とミツバチ」の回に書いた通りで,その点は誤解だと思いますが,今日はこの認証制度がミツバチ的にはどうかを辛口ミツバチに聞いてみましょう.あれ,なんだか,すでに怒り心頭っぽいなあ...
minilogo.pngなんでさ,ミツバチが人間の食べるものの安全まで担保しなきゃなんないの? なんで,そんなくだらないことのためにミツバチが命かけんの?

確かに農作物の「安全」に関しては,人間の責任で科学的に担保しているし,その過程で,文字通りミツバチの命をいただいての検証も行ってる(ミツバチを含む有用生物への影響評価も農薬登録には必要です).おかげで,適正な農薬使用の範囲なら,安全な農産物が生産でき,だから安心して,日々,野菜や果物,穀物を食べているわけだ.しかも,ミツバチへの影響も可能な限り低減できるようには,実態は別として(ごめん!),目指されてはいるよ.
その意味でも,この認証制度を弁護するわけじゃないけど,どちらかというと「安心」の担保を手伝ってもらおうっていう感じじゃないのかな.まあ,言葉尻を捉えちゃ悪いけど,「安心」は検査できないけどね.

minilogo.png待ってよ,待ってよ,ミツバチは「人間の安心」だってなんだって,知ったこっちゃないよ.人間は地球上で一番優れた生き物だと思っているんでしょ(そんなのただの思い上がりだとは思ってるけどね).だったら,自分で「安心」くらい何とかしなよ,だって,そもそも自分たちの作ったシステムで安全を担保しているのに,勝手に不安がってるだけじゃん.それを,ミツバチをダシにしてまで,安心を手に入れたいわけ?

なるほど,ダシにしている感じは否めないよね.でも,まあ,本気というよりはお遊びみたいだから,受け流したら.ところで,この認証条件の「ミツバチが半径500m以内に生きているか」の500mってどう思う?
minilogo.pngそれも科学とは無縁の話で,ただの語呂合わせでしょ.ミツバチは,だいたい2kmくらいが行動半径だけど,花がなければもっと遠くにも行くよ.それよりここでいう「生きている」ってどういう意味? ミツバチが通える畑ならOKじゃなくて,この範囲に巣があって,私たちの家族が暮らしているっていう前提なの? セイヨウミツバチは人が自由に巣箱を置けるから,意味ないでしょ? あ,そっか,ニホンミツバチさんのことかな.でも,そんなにどこにでも住んでいるわけではないし,それに農薬がまかれていない場所でミツバチが住んでいないところもいっぱいあるのに.

ミツバチがいないところでは,「ネオニコチノイド系の農薬を使っていないこと」が認証条件らしいね.
minilogo.pngそれなら,素直に「ネオニコチノイド系農薬をまいてません認証」にすればいいじゃん.なんでわざわざミツバチ持ち出すの? 第一,私たちが住んでいないところの農作物の認証って,自分でやってもいない検査の責任なんてミツバチはとらないよ.やってもいないのにやったことにするなんて,人間の世界でも詐欺っていって悪いことなんじゃないの? 最近はメニューに使ってもいない食材書いてて問題になっているみたいだけど,それと同じだよ.そんなの絶対イヤだよ.正しくないことするのが平気なのは人間くらいって,生き物の間じゃよく知られているけどさ,ミツバチも正しく生きたいんだから,こんなことに巻き込まないで!

確かに,ミツバチ不在の「ミツバチ認証」はまずいだろうね.しかもどうしてネオニコチノイドだけで,しかも一括りなんだろうね.この制度だと,認証を得るためには,安全性の点では問題がなくても,ネオニコチノイド系農薬だというだけで使用を中止させて,代わりに人間にも影響がある他の薬剤の使用を増長しちゃう可能性もあるのにねえ.そこには考え至らないんだろうなあ.
minilogo.pngしょせん遊びなんだよ.だから科学なんか知ったこっちゃないといいたいんだろうけど,生き物はさあ,実は科学そのものなんだよ.ネオニコチノイド系の農薬だって,成分や形態でミツバチへの影響はそれぞれちがうよ.で,ミツバチは身をもってそれを理解してる(それこそ命がけでね).作った人間の方がその理解なしに,バカみたいに「ネオニコ,ネオニコ」と叫んでるだけ.叫んでミツバチが助かるとでも思ってんの?

まあ,こういう人たちも,根本には今の環境が悪くなっていて,それをどうにかしたいって気持ちはあると信じたい.ただ,問題がどこにあるのかは見ようとしていないから,具体的な対策にはつながっていない.環境が悪いという認識がある反面,悪くしたのが誰かはあえて意識するのを避けて,いつも原因と対応を自分の外に求めているようだね(って人ごとっぽいけど).
minilogo.png気持ちで,死ぬミツバチが減るなら,楽でいいよ.畑には農薬もミツバチも必要なんでしょ.ミツバチは意地悪女じゃないから,私と農薬のどっちをとるのとか迫ったりはしないけど,そこで起きていることが何かはちゃんとわかって欲しい.
あのね,ミツバチはさ,人間にハチミツもあげたし,農作物の花粉も媒介してあげている.それなのに私たちの大好きなお花畑はなくなっていく一方.こんな一方的な存在を,もうパートナーとは呼べないよ.「ミツバチ認証」だなんて,私たちの「ミツバチ」って名前,自分たちの安心のためだけに勝手に使うのやめてよ.


またまた怒らせてしまいました.農業の現場における,農薬の使用と花粉媒介者としてのミツバチへの依存.この二つをどう共存させるかは重要なテーマです.しかも実際の農薬被害の大半は,ミツバチに花粉交配をお願いしていない現場で起きています.つまり行かなくてもいい花に,ミツバチが行ってしまうことが問題につながっています.問題の本質がもっと明確にわかれば,解決策も見つかるはずです.私たちの食の安心をミツバチに頼るのではなく,ミツバチの食の安全を私たちが守るにはどうするべきかを考えてみましょう.そのくらいできないと,人間としての沽券にもかかわりそうですね.
posted by みつばち at 17:07| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする