現在,気温は7℃.この温度では飛ばないはずなのに,けっこう出入りがあるね.花粉を持って帰って来る蜂もいるし.

ミツバチは11〜12℃で寒冷麻痺(仮死状態)になるので,それとの混同だとは思うけれど,この温度で飛んでいるはずがないと思う人のために,少し説明を.

いつまで外での活動を続けるの?

冬の間,巣に貯えた蜜を毎日80gくらい消費するともいわれている.事情にもよると思うけど,これもできるだけ節約したいよね?

都下を標準とすると,12月に入ってしばらくして女王蜂の産卵が停まって,そのまま1か月くらい産卵停止が継続する冬モードになる.で,1月に入って少しすると産卵が再開されるんだけど,このきっかけが何かは研究者的にはわかってない(まだ厳冬期なのに).そこも実はミツバチのすごい能力なんだけど,この1か月近い冬モード自体が長い冬を乗り切る上では重要なんだろうね.

冬はいずれにしてもじっと我慢の時なんだろうけど,使うのを我慢すれば消費は抑えられるというのは節約の原則.それをはるか昔に獲得してたってことだね.

巣箱からの出入りがないミツバチを見ると不安になって,何かしたがる人がいるってことかな.ちゃんと冬モードに入っているってことで心配無用といいたい?

不安なのは本当は自分の技術なのに,こっちのせいにしてさ,寒い最中に,巣箱の蓋を開けたり,中を覗くのだけは勘弁して! 本当に風邪引いちゃうよ.
渡辺ェ・渡辺考共著の「近代養蜂」という,この分野の,現状では事実上の最後のすぐれた養蜂指南書があります.古くてご時世的にどうかという部分は多々あるのですが,今一度,越冬のところを読み返してみると,けっこう重要なポイントを,ある意味,科学的にきちんと押さえています.書いた人がちゃんとミツバチと気持ちの通じていた人たちだったということでしょう.見かけ上は飼われている生き物ですが,実際には間借りはしてるけど自活しているのが巣箱のミツバチ.飼育管理と思ってやっていることが,ミツバチから見たらただの迷惑行為にならないようには気をつけたいものです.