2012年11月28日

ミツバチは冬モードに

11月最後の今週,朝のあいさつも「寒くなりましたね」の毎日です.東京でも,いよいよ最高気温が10℃を下回るようになって冬の到来というところですが,ミツバチたちはどんなふうに過ごしているのでしょう.ミツバチは10℃以下では飛ばないと書かれたものもありますが,おや,辛口ミツバチの巣からは働き蜂が盛んに飛び出しています.

現在,気温は7℃.この温度では飛ばないはずなのに,けっこう出入りがあるね.花粉を持って帰って来る蜂もいるし.
minilogo.png本当はもう休みたいんだけどね,まだ,育児中.女王蜂が産卵をやめるまでは,花粉もいるし,まだまだ働かなくては.サザンカやヤツデとか,このあたりはまだ花もけっこうあるし,冬を越す前に働き蜂が若いのに入れ替わってくれるのなら最後のかき入れ時でもあるんだ.でも無理は禁物だから,これもあと数日だと思う.

ミツバチは11〜12℃で寒冷麻痺(仮死状態)になるので,それとの混同だとは思うけれど,この温度で飛んでいるはずがないと思う人のために,少し説明を.
minilogo.pngミツバチは変温動物(冷血動物っていうとなんか意地悪みたい?)だから,体温は気温に左右されちゃう.ほら,巣箱の前に落ちてるその子は,地面に体温を奪われて,もう動けなくなってる(手で暖めてあげたら動き出すから,あとで入口から入れてあげておいて).だけど,飛んでいるときは筋肉を動かしていて発熱している.人間も運動中は体温上がるでしょう? このとき,必要な糖分は血液を使って筋肉に送り込んでいるから,血液も筋肉の熱で温まって,全身くまなくけっこう熱くなる.だから気温が5℃くらいまで下がってもまだ飛べるよ.ま,本当は飛びたくはないけど.

いつまで外での活動を続けるの?
minilogo.pngうちの巣は女王蜂がもうすぐ産卵をやめる予定.卵を産むのが終わってから9日で餌が必要な幼虫がいなくなる(卵が3日間,幼虫期間は6日間だから).花粉を食べる幼虫がいなくなれば,花粉は採ってこなくて済むし,巣にはもう充分な蜜が貯えてあるから,それ以降はあまり外に出る必要はないの.外出しなければムダなエネルギーは節約できるし,どうせ出ても花も終わりで稼ぎは少ないしね.

冬の間,巣に貯えた蜜を毎日80gくらい消費するともいわれている.事情にもよると思うけど,これもできるだけ節約したいよね?
minilogo.pngもちろん.冬以外は巣の中心部で35℃という温度を保っているけど,これはあくまで育児モードの話.蛹が全部成虫になったら,育児モードはおしまいで,エネルギーの節約のために暖房の設定を下げて中心部でも最高30℃程度にしてるよ.子育ても,ほかの仕事もなくなるから,みんな密集してあまり動かなくなる.この塊の一番外側にいると,寒冷麻痺を起こす温度になっちゃうので,時々,塊の中に入り込んだりして,麻痺をギリギリ回避できる温度は保つけど,自分でムダな発熱はほとんどしない.中の方で寒がりな子たちが,貯えた蜜を飲んでは発熱するので,周りのみんなはその熱を逃がさないように固まっているというわけ.

都下を標準とすると,12月に入ってしばらくして女王蜂の産卵が停まって,そのまま1か月くらい産卵停止が継続する冬モードになる.で,1月に入って少しすると産卵が再開されるんだけど,このきっかけが何かは研究者的にはわかってない(まだ厳冬期なのに).そこも実はミツバチのすごい能力なんだけど,この1か月近い冬モード自体が長い冬を乗り切る上では重要なんだろうね.
minilogo.png冬の前半を冬モードで過ごすと,貯蜜も節約できるし,働き蜂も実質上年を取らないの,SFの宇宙旅行で人間も冷やしておくみたいなのと同じかな.育児したまま冬を越すと,貯蜜も働き蜂も消耗が激しくなる.冬の育児は,1匹育てるのに必要なエネルギーがほかの季節に較べて莫大なものになるし,花粉が不足すると,筋肉を壊してでもミルクを作ることになる.冬モードを加えたのは,寒い地域に進出した私たちの先祖の知恵だといえるんだけど,それなしでは長い冬を乗り切れなかったから,今受け継がれている血は乗り切れたミツバチのものってことでもあるんだ.

冬はいずれにしてもじっと我慢の時なんだろうけど,使うのを我慢すれば消費は抑えられるというのは節約の原則.それをはるか昔に獲得してたってことだね.
minilogo.pngだてに人間より長く生きているわけではないのでね.人に飼われてる状態ではいろいろ予期しない問題も起きちゃうけど.

巣箱からの出入りがないミツバチを見ると不安になって,何かしたがる人がいるってことかな.ちゃんと冬モードに入っているってことで心配無用といいたい?
minilogo.pngその通り.この時期でも出入りがあるということは,いつまでも育児が続いていて,だとするとミルクの原料や餌となる花粉が不足していくし,35℃という育児モードの熱を維持するために,貯蜜の消費も進んじゃう.それに,働く分,働き蜂も体力的に消耗するしね,ミツバチにとっていいことはひとつもないよ.
不安なのは本当は自分の技術なのに,こっちのせいにしてさ,寒い最中に,巣箱の蓋を開けたり,中を覗くのだけは勘弁して! 本当に風邪引いちゃうよ.


渡辺ェ・渡辺考共著の「近代養蜂」という,この分野の,現状では事実上の最後のすぐれた養蜂指南書があります.古くてご時世的にどうかという部分は多々あるのですが,今一度,越冬のところを読み返してみると,けっこう重要なポイントを,ある意味,科学的にきちんと押さえています.書いた人がちゃんとミツバチと気持ちの通じていた人たちだったということでしょう.見かけ上は飼われている生き物ですが,実際には間借りはしてるけど自活しているのが巣箱のミツバチ.飼育管理と思ってやっていることが,ミツバチから見たらただの迷惑行為にならないようには気をつけたいものです.


posted by みつばち at 20:07| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちたちの秘密 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月10日

高嶺ルビーとミツバチ

今日は秋晴れの最高のお天気でした。

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9月初旬に種蒔きした高嶺ルビー。
花が咲いてからは、花の色が濃くなるにつれて、虫たちの集まる時間帯も変化するなど、高嶺ルビーから目が離せません。

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今日のベストショット。

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ピンクがお似合いです。

先日、胃の中を調べてみたら、かなり高い糖度の蜜を集めていました。
優良蜜源ですね。
ただし、花の香りがねぇ…。まさにソバの花の香りが辺り一面に満ちてしまうのですよ。
一番すごかったのは10月中旬から下旬にかけて。
今日は、香りはなかったです。その分、虫たちの訪問も少なくなっていました。
この花が多いとハチミツを採るタイミングが難しそうです。
ソバの蜜は、色が黒く、かなりクセがあります。料理には使いにくいし、うまく合うものがほとんどありません。
冬を越すための蜜源としてはとてもよいので、なんとかうまく花の盛りの時期と合わせたいですが…課題です。

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カラミンサも、まだ満開。なんとありがたい花でしょう!

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5月〜6月ごろに咲くボリジが今頃咲き始めました。
こぼれ種で発芽したものです。

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レンゲがまるで絨毯のように地面を覆っています。
春が楽しみです。

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ミカンが大豊作。そろそろ鳥さんたちが狙っていて、おいしそうなのはかなりつつかれています。
なので、私たちもせっせと収穫しているところです。
昔ながらのちょっと酸味のあるかわいいミカンたちです。



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