2011年05月31日

みつばちの庭製ハーブコーディアル

3年目に突入したみつばちの庭。
最近、イングリッシュガーデン風になってきました。ふふふ・・・。

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宿根草を中心に植えているので、年々、お手入れが楽になります。
水やりをしていると、道行く人に必ずといっていいほど声をかけられます。

この花は何?
誰がやっているのかと思っていた…
少しもらっていい?

とか、ね(笑
そのたびにミツバチのために植えているんですよ、と伝えています。

今日は、ミントが話題に。
このミントは、群馬県片品村の友人宅の庭に自生していたものをちょこっと引っこ抜いてきたものです。この庭には、その手のものが多いです。
ラベンダーのりっぱな株はSさんにもらったもの。
ヒメイワダレソウは、某施設の庭で繁殖しすぎていた切れはし。
ヘアリーベッチも、ヒメツルソバも、友人の庭から移植したもの。
食用ほおずきは、昨年、長野県富士見町を訪問したときにもらったほおずきを食べたときの種を蒔いたもの。

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今日は、レモンバームとミントがすごい勢いで茂ってきたので、Mさんに教わったばかりのハーブコーディアルなるものをつくってみました。
証券会社みたいな名前でしょ。イギリス生まれのハーブドリンクのことです。
早い話がハーブシロップのこと。

2011-05-31 16.34.03.jpg好みのハーブを摘んで、煮出して、砂糖をどっちゃり入れて、レモン汁を加え、出来上がり!
これを水や炭酸水で薄めて飲んだり、カクテル風にお酒に入れたりして飲みます。
私は、ハチミツを入れて、緑茶の新茶に混ぜてみました。
両方とも採れたてなんて、贅沢だわー。
和と洋のマッチングで、さわやかなお味になりました。

庭では、数匹のヒゲナガがボリジの花にぶらさがって忙しそうにしていて、今日のところは、「みつばちの庭」ではなく、「ヒゲナガ」の庭になっていました。
どなたでも、もちろん歓迎です。

ビルの谷間のボリジです。

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2011年05月24日

花いっぱいハニーウォーク@国立 その2 

梅雨の季節になりつつありますねぇ。
アカシアの花の季節でもあるから、どうかお天気のよい日に満開になりますようにと祈らずにはおれません。

さて、国立でのハニーウォークの続きです。
その1で言い忘れましたが、エゴノキのハチミツは、アイスクリームの甘味料としてよいそうです。ぜひ、トライしてみてください。

国立は湧き水が流れる水路があり、そこで見つけたのはユキノシタ。

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どうしてこんなに可憐なの?

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蜜源植物です。葉は、やけどなどに貼りつけたり、天ぷらにして食べたりできるそうです。
花弁は5枚。上の小さな3枚に赤い斑点があります。これって、蜜のあるところを示しているのかな。

ツツジのこの斑点は、「ここですよ」という意味だそうなんで。

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そうかと思えば、思わせぶりに「ここですよ」と咲いているのがシラン。

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筒の中に誘われて入っても、蜜はなく、「どこ?どこ?」と探しているうちに頭にペトっと花粉がつく仕掛け。

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それでもって、この丸い舌みたいな雌しべに花粉をつけることになる。
要するにミツバチは、ただ働きさせられるのだそうです。
虫たちは、次の世代に「あの花はウソツキよ」と申し送りをすることはないのかしら(笑
一度きりの春だから、そうもいかないのかな。この駆け引きはシランの勝ち!

花とミツバチの関係は興味が尽きないです。

佐々木先生によると、砂糖水だけでハチミツをつくらせると香りがないハチミツができるそうです。ということは、やはり花の蜜には香りもあり、それも一緒にミツバチはお腹に貯めこんで巣に持ち帰るのですね。

花とミツバチの関係を知れば知るほど、ますますミツバチのことが愛おしくなります。

こちらはハクチョウゲ。

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コーヒーと同じアカネ科で、蜜源だけれど、なぜか実がならない。
面白いですね。公園などによく植えられています。

今回の主催団体のNPO法人くにたち富士見台人間環境キーステーションのスタッフのみなさんとは10月ごろにまた開催してみたいと話しています。
何度やっても、新しい発見がある、それがハニーウォークです。
みつばち百花としては、ハニーウォークのプログラムを今後、もっと進化させたいとも考えています。

ラベル:国立

2011年05月23日

花いっぱいのハニーウォーク@国立が終了しました その1

昨年の9月に引き続き、2回目となる国立のハニーウォークが終了しました。
曇りのち雨という予報で心配しましたが、午前中は日射しが強い晴天となり、ミツバチにもたくさん会うことができました。
晴れ女、健在です。

南武線谷保駅に集合。南側にある公園を起点に早速、ハニーウォークを開始。
参加者25名、関係者を入れると30人以上の大所帯の移動となりました。

出会った花(現在、花は咲いていないものもあり)。
駅前の公園で:ツユクサ、シラン、ナガミヒナゲシ、バラ、アスパラガス、
(まだまだあったけれど、ここで終わっちゃいそうだったので先へ進みました)
谷保天満宮から城山公園へ:ミカン、ナシ、ハクチョウゲ、ユキノシタ、モモ、ムラサキカタバミ、ナツミカン、ザクロ、マキバブラシ、シャリンバイ、カキ、イヌツゲ、トキワサンザシ、キウイ、コンフリー、ブラックチェリー、ゼニアオイ、マテバシイ、ミゾソバ、クローバー、クサギ、マユミ、モチノキ、ゴンズイ、ヤブガラシ、スイカズラ、ハコネウコギ、エゴ…(ほかにもメモが追いつかず漏れている)

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谷保天満宮にて。

私が今回、初めてじっくり見ることができた花は、キウイの花。

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こちらは雌花。

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こちらは雄花。雌雄異株ってやつです。
雄花は、早朝5時ごろに花粉をたっぷり出してくれますが、雄花、雌花両方とも蜜は出してくれません。雄花の花粉を持って、雌花に行き、そこでも花粉をもらいます。というわけで、かなりミツバチが貢献している花です。
花粉の色は真っ白だとか。

柿も、今が満開。こちらは雌雄同株。

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こちらが雌花。蜜をくれます。

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雌花の断面。ここにガラスの吸い取り棒を入れてみると…

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蜜がこんなにありました。先っぽの1pほどの部分です。

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こちらが雄花。花粉をくれます。

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ゼニアオイでも、花粉にまみれてお仕事中。
ただ、花粉が大きすぎて団子にできません。
でも、蜜をたっぷりくれます。

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エゴの花が満開で、花の下に立つと甘い香りが漂い、ミツバチならずとも思わずうっとりです。

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もちろん忙しくお仕事中。
この時期は、スズメバチの女王蜂が巣づくりする時期。女王蜂は、巣をつくり、卵を産み、一族を増やさなければいけない大切な時期なので、ミツバチが群れるようにやってくるエゴは絶好の狩り場でもあります。きれいな花の中は、ミツバチにとって危険がいっぱいでもあるのです。

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佐々木先生には、今回も、ミツバチと花の面白い関係をたくさん教えていただきました。
先生の捕虫網が宙を舞えば、めざすミツバチや蝶はもう逃げられない。
虫嫌いの私が、虫の話しでこんなにわくわくするなんて。
佐々木先生とミツバチに感謝、感謝の楽しい1日でした。

ご参加のみなさん、お疲れさまでした〜。

次回も、出会った花をいくつかご紹介します。

2011年05月18日

3年目についにご入居!

長い道のりでした。
ただ、ひたすらお待ちするのみ。
1年目、待ち人、いや、待ちハチ、来たらず。
2年目、植えた花にはご訪問いただくのに…
そして、ついに3年目!
ご入居いただけました。
ついに、ついに、です。

うれしい…手(チョキ)

4月30日に設置し、5月5日に入居確認しました。
入るときには入るのねぇ…。

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場所は横浜市瀬谷区です。
みつばち百花のメンバーさんのKIKIさんが花づくりの畑をやっているところ。
ここは、産業廃棄物の埋め立て地なのです。

↓巣箱からの眺めです。

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花畑には、蜜源植物も植えてもらっているけれど・・・見当たらず。
周囲にはブタナが満開!アブやほかのハナバチの姿は見えるけれど、やはり訪花なし。

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ヒメジョオンにもなし。

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花畑のボリジや、

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矢車草にも見当たらない。

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忙しそうにしていたんだけど、いずこにお仕事に…。

桐が満開だったから、そっちかなあ。
日本みつばちは樹木の花がお好き、なので。

でも、まあ、ご入居いただいたので満足でございます。
ときどきここでランチしているので、これからはミツバチと一緒にランチ!です。

ん?蜜はいただかないのかって?
まあ、私たちの巣箱は鳥の巣箱みたいなものとお考えください。
最近は、こんな木の洞はとんと見かけなくなりましたから、ここで健やかにお過ごしいただければ、と思います。

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↑みつばち百花の焼き印付き巣箱(の土台)

ラベル:日本みつばち
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2011年05月13日

ボディーガードの報酬を横取り

毎日、空模様をみてはミツバチたちの今日のお仕事は…なんてつい考えてしまう。
花が次々に咲くこの時期は、仲間を増やすとても大切に時期。だけど、雨が降れば、せっかく花が咲いていても蜜が採れない、流れてしまう。
ハチミツだって、花の咲く時期、蜜を出す時期、ミツバチが動ける天候がすべてマッチしてこそいただけるもの。
だからといって、ずっと晴れだけでも植物は育たないし、自然というのはままならないものです。

さて、今頃、どこでも見かけるのがカラスノエンドウです。

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訪花するミツバチ……でも、よく見たら、花ではないですねぇ。
ふふふ、決定的な写真が撮れました(と自己満足)
ズームアップ!

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茎の根元の黒い斑点のところに口をつけているでしょ。
これは複葉の付け根にある花外蜜腺。

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この花外蜜腺は本来はアリのために用意されているもの。

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アリに若い芽や実を食べる虫を追い払ってもらえるようにしているんですって!
カラスノエンドウからアリへの、ボディーガードの報酬というわけ。

ミツバチはそれを横取りして、いただいている。
少しはボディガードのお手伝いをしているかな、、、でも、ないか(笑

ほんの少しの蜜だから、すごくせわしなく飛び回っています。
ふつうの野原の中で、いろいろなことが起きているんですよねぇ。
カラスノエンドウのアリ使い。なんの変哲もないカラスノエンドウだと思っていたけれど、ちょっと見直しました。

カラスノエンドウは、若い芽の部分は天ぷらや炒め物などで食べることができるそうです。なので、では、若いやわらかそうなところを!と取ってみたら…
アリさんボディーガードに追い払われる前に、手間がかかってあきらめましたわーい(嬉しい顔)

2011年05月11日

トルコ映画「蜂蜜」を見てきました

ベルリン国際映画祭で金熊賞を受けたトルコ映画「蜂蜜(原題:Bal)」の試写会に行って来ました.セミフ・カプランオール監督のユスフ三部作の第3部として,主人公ユスフの壮年期を描いた「卵(原題:Yumurta)」(2007),青年期を描いた「ミルク(原題:Sut)」(2008)に続く,幼年期の「蜂蜜」(2010)です.監督インタビューでは,この3作は,主人公の成長(年代別の様相)を年を重ねるという方向ではなく,内面に向かう順序で作ったとのこと.その意味では3作見終わらないうちに論評を書くのは気が引けますが,トルコの養蜂事情を中心にして紹介したいと思います.では,進行を辛口ミツバチに手伝ってもらって始めましょう.

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コピーライトマーク 2010 Kaplan Film Production & Heimatfilm GmbH + Co KG



minilogo.pngトルコといえば,世界で一番美味しいハチミツの産地といわれてるね(ご本人たちがいうようだけど).
そうだね.もっとも隣のギリシャでも同じことを言うんだけどね(仲のいいことで).実際,トルコの養蜂は盛んで,2002年には,巣箱の数では世界の実に8%あまりを保有している(Guler and Demir, 2005).一方でハチミツの生産量は世界の5%程度にとどまり,輸出も全生産量の1/7ほど.国内消費が多いので,日本ではまずお目にかかれないかな.国内の移動養蜂が盛んで,それは地域ごとの気候や地勢を活かした多様なハチミツが生産されることによるらしい.ギリシャに近い,エーゲ海を臨むような地域のハチミツにはハーブ系のもの,地中海側では柑橘類などを蜜源とするもの,いわゆる小アジアとも呼ばれるアナトリアでは甘露蜜も採蜜できる.映画が撮影されたチャムルヘムシンは,トルコでも最も養蜂が盛んで,全ミツバチの1/4がいる黒海沿岸地方に位置している.ただ,伝統養蜂は,この地域でもたった2%程度ということだから,映画で見るものは実は少数派ということだね.自然条件では,野生の色黒のコーカサスミツバチ(コーカシアン,セイヨウミツバチの一亜種)が生息している.映画に登場したのも黒い蜂だった.

minilogo.pngタイトルが「蜂蜜」ということで,主人公ユスフの父親は,そのコーカサスミツバチのハチミツを伝統的に採る養蜂家という設定だね.
どの程度,専業的なのかはわからないけれど,母親は茶園を手伝っているくらいで,家計はハチミツ頼りのようにも見える.トルコは世界でもハチミツの価格が高い方で,1kg当たり15ドル(近代的に生産されたもの)で取り引きされている.その価格でもよく消費されていて,一人当たりの年間消費量は800gを上回っている(Guler and Demir, 2005).ただ,ハチミツの生産量に較べて蜜ろうの生産量が少ないのは巣蜜を食べる習慣があるからだといわれるくらい,巣蜜好きな国民だとか.近代養蜂で生産された巣蜜は,普通のハチミツ(巣から分離してろ過したもの)の倍以上,30〜35ドル/kgにもなる.それがさらに伝統的な丸太巣箱のものだと100ドル/kgにもなる(Kandemir, 2010).黒海沿岸地方で薬用にもなるハチミツだとさらに高価(200ドル超)なものになるらしいから,これがユスフの父親が伝統的な方法にこだわる理由だろう.映画の中でも,母親が「ユスフの吃音が治らないわね」と問いかけるのに対して,父親が「黒崖に巣箱を置いてみたい」と切り返し,それっきりミツバチの話題になる.そんなことが許されるほど,この家ではハチミツによる(ばくち的な)収入への期待が高い.そうした金脈を追うような父親の生き方が,子どもであるユフスにとっては男らしく魅力的に映るのだろう.

minilogo.png実際に,木の上で採蜜をするシーンがあったね.
ここは背後からの撮影で,おそらく俳優さん自身ではなかったからだろうか,手の動きとかに迷いがなかった.丸太巣箱の中の巣はすべてを切り取るのではなく,基本的にハチミツが入っている部分を狙って採っているようには見えた.ユスフもお手伝いで,木の下にいて,父親の指示通り,火をつけた燻煙器や,切り取った巣を入れるバケツをロープに結びつけてた.父親はそれをロープでたぐり寄せるという方法.ハチミツがたっぷり入った巣を入れたバケツが降ろされると,最初に味見をするのは自分とばかりに,でも,ほんのちょっぴりだけなめてたね.ハチミツの価値がわかっているって感じだ.

minilogo.pngそれにしても丸太巣箱をずいぶん高いところに置くんだね.
それはミツバチがもともと高いところに巣を作るからなのでは? この地域は年間の降水量が3000mmを超えるようなところだし,映画の中でも霧がかかったり,雨がちで,地面はいつも湿っている.セイヨウミツバチは湿っぽいのがきらいだろう? 養蜂家は,高い木の上に作業可能な場所(立てる程度だけど)を作って,その上に巣箱を置く.伝統的に行われてきたとはいえ,それなりに工夫が入った丸太巣箱は,木材も新しく,雨がちなこの地域からは想像しにくいほど内部はよく乾いていた.それも高さがあるからこそかなと思うけど.

minilogo.png養蜂の場面はそれほどなかったけれど,ミツバチ的に印象的なシーンは,テーブルの上に置かれた女王蜂の入ったカゴ.
確かに,しっとりした緑が印象の谷の風景や,実際の丸太巣箱から想像できる年代と,この女王蜂のカゴには時代感覚的なギャップがあるよね.でも,そもそもハチミツで儲かっているという背景があることも考えるべきだし(家の中にはガスコンロや冷蔵庫もあった),ストーリーの年代は,ユフスが日めくり(宗教標語とかが書いてある)を読み上げているときに2009年といっているので,まさに今.購入した女王蜂を丸太巣箱に入れに行くというのがこの養蜂の日常的なスタイルであるということなんだろう.実は,トルコでは養蜂の生産性の低さについて,古い女王蜂を使い続けることが原因だという指摘もある.そこで,政府公認のミツバチブリーダー(2002年には43業者)が年間12〜13万匹の女王蜂を生産している(Guler and Demir, 2005).そんな背景事情があるから,あんな山の中で伝統的な養蜂を営んでいるかのような一家のテーブルにも,女王蜂が届くということなんだろう.

minilogo.png親子での森の散策場面もあった.毒のある蜜までユスフが知っていて驚いたよ.
父親が息子に「この花は何?」と尋ねるときちんと答が返ってくる.ユスフはまだ小学校に入りたてで,普段は吃音ということもあって上手にはしゃべれない.授業でうまく音読や計算ができると「よくできました」バッジをもらうんだけど,それをクラスで最後に(少々先生の恩情もあって)もらえるくらいだし,母親とも言葉での会話ができていない.それなのに,父親と小声で話すときはちゃんと話せる.花の名前,蜜の色,味.やがては自分も養蜂家になりたいという職業的あこがれから,こうした知識は身についている(燻煙器も自分でつけてたし).それも印象深いね.

minilogo.png父親が深い山に入り,帰らぬ人となってしまう原因になったミツバチの異変.巣箱の中でたくさん死んでいたよ.父親ヤクプは泣いていたね.
トルコでは2006〜2007年に大量の蜂群損失が報告されていて,撮影地となった黒海沿岸東部地方では57%近いミツバチが失われた(Giray et al, 2009).雨がちなのが特徴のこの地域で,特に2006年秋は気象観測データからもうかがえるほどよく降ったようで,それが大きな要因であった可能性もある.けれど,はっきりしたことはわからないままで原因は特定されていない.ミツバチの病気やダニに関しては,この時期は思ったよりは大きな被害報告はないらしいし.ヤクプにすれば収入の道が断たれたという意味ではショックだったろう.原因がわからないので,怒りの向けどころがあるわけでもなく,死んでいるミツバチに対して気持ちが動いて,泣けたという感じかなあ.

minilogo.png最後に映画の評価もしておいてよ.
この映画を語ろうとすれば,1973年のスペインのビクトル・エリセ監督の「ミツバチのささやき(原題:El espiritu de la colmena=巣箱の精神)」を,どうしても比較に出さなきゃとは思う.主人公アナの父親は,ミツバチを飼っているけれど,それで生計を立てているという感じではない.父親のモチーフは,あの「青い鳥」を書いたメーテルリンクで,書斎で書いている文章は彼の著作「蜜蜂の生活」の各章の主要部分だった.ここでは,アナはミツバチへではなく,映画のフランケンシュタイン(姉に「あれは精霊だ」と吹き込まれる)に惹きつけられていく.少女らしい幻想を一つの通過儀礼としながら,父親が書き綴る,ミツバチの働き蜂の分業の話などを織り込んで,成長を描く.ミツバチ好きにはたまらない映画だった.共通点は親子の関係と学校というところか.風景はスペインらしい赤く乾いた土地で,今回の山間の雨がちな緑とは対照的だし.

minilogo.png前置きが長いよ.比較じゃなくてストレートに「蜂蜜」について.
もうそれは見てのお楽しみというしかないけど.どうしても三部作として見てみたいとは思う映画かも知れない.日本での公開は「蜂蜜」から始まるという事情はあるけれど,監督の制作意図とは別に,成長を追う見方をしたいと思った.この子(ユスフ)が大きくなったらどうなるのか,一家を支えるものが失われた家庭には何が起こるのか,それがユスフにどう影響するのか.もちろん,すべての年代のユスフが同じ時代を生きていることには無理がある.だからそれぞれの主人公3人を同一人物と見るかどうかは,見る側に委ねられている.秘密好きなのか監督自身はそれについてはコメントしていない.
映画の中でも,ユスフが夢の話をすると,父親が「夢の話は人に聞かれてはいけない」と耳元で話させ,さらに「その話は誰にもしてはいけない」と約束させるので,見ている側にもこの内容は永遠に封印された秘密になってしまう.後半で母親が夢を話すシーンがあり,ユスフがどぎまぎした表情で母親を見る.余談だけど,子どもは父親と母親の差をそういう部分で感じ取るんだなあと,子育て中の我が身では感じるね.
どの映画でも,子役はいつもずるいなあとは思うけれど,学校の生徒たちもそれぞれみんないい味出している.監督が撮影地で発掘したという,主人公ユスフを映画初出演で演じた8歳のボラ・アルタシュは,演じているという感じがなくて好印象.詩を朗読する少女に初恋を感じるシーンや,父親の不在を克服するために嫌いなミルクを飲むシーンなど,表情豊かで見応えもある.
映画全体を通じて,音楽の挿入がなく(家から漏れ聞こえるラジオの音やお祭りの音楽などだけ),少ない台詞と生活音だけ,それと時々ミツバチの羽音の静かな映画.雨がちで白いもやがかかる緑の豊かな森,舗装もされていないぬかるんだ茶色の地面.今と同じ時代なのにどこか懐かしい風景は美しいけれど変化は乏しい.繊細で,つい手をさしのべたくなるほどの子どもの心の動きも,感情任せの大きな起伏とは別次元.平穏な一家から父親の存在が失われるというストーリーなのに,淡々と描かれていく全体構成.それなのに1時間43分はあっという間に過ぎた.正直,もっと見ていたかった,そんな映画だった.

minilogo.png公開は,6月から.銀座テアトルシネマ他全国順次ロードショー(配給:アルシネテラン)だそうです.お楽しみに.
作品オフィシャルサイトはこちらです.


引用文献
Giray, T., M. Kence, D. Oskay, M. A. Doke and A. Kence. 2010. Colony losses survey in Turkey and causes of bee deaths. Apidologie 41(4): 451-453.
Guler,A. and M. Demir. 2005. Beekeeping potential in Turkey. Bee World 86(4): 114-119.
Kandemir, I. Harvesting honey from a log hive. Bees for Development Journal 94: 3-5.




ラベル:トルコ 映画
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2011年05月09日

小さな小さなお店“花さきはひ”を開催しました

5月7,8日の土日にみつばち百花のメンバーで花咲人のKIKIさんと一緒に小さなお店「花さきはひ」を開催しました。
風土倶楽部とKIKIさんのコラボ企画で、もちろんみつばち百花のオリジナル蜜蝋キャンドルやニューズレター「Letter from Honeybees」を持参しました。

会場は国分寺の住宅街の中のステキなギャラリー「BON CHIC」
オープンしたてのほやほやギャラリーです。
このギャラリーの駐車場スペースでの小さなお店です。
初めての試みでドキドキでした。
7日は雨だったけれど、8日は五月晴れ。
のんびりお花を愛でながら、いらしたお客さまたちとの会話を楽しみました。

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ほら、ステキでしょ?

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蜜蝋キャンドルと花との相性は抜群です。
「きれいねぇ」「すてきねぇ」「ミツバチさんに感謝しなくっちゃ」と。ニューズレターが大好評でした。

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こちらは蜜源植物コーナー。ストロベリートーチ(クリムゾンクローバー)、ボリジ、ヘアリーベッチ、ナデシコ(これは補助蜜源)など。

この花は、すべて横浜市にあるKIKIさんの畑からのもの。
2週間前にその畑の一隅に巣箱を設置してきました。

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入ってくれるかなあ。たまーに畑の花には訪問しているようだけど…。

来月6月11、12日の土日に再び同じ会場で開催します。
次回はヒマワリが登場の予定です。風土倶楽部はいつもの定番商品に加え、なにかいいものを探し中です。ハチミツがうまく間に合えばいいんだけど…。
ぜひ、遊びに来てください。
今回、とっても好評だったオリジナルキャンドル。ならば、ノリのいいLazy beeとしてはキャンドルづくりのワークショップも、やっちゃおうかな。

みつばちの庭では、ボリジがすごい勢いでお育ち中。
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小松菜とのらぼうの種を採ったら、そのあとにはクリムゾンクローバーなどを植える予定です。

ラベル:蜜蝋 国分寺 蜜源
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2011年05月07日

蜂源郷長野ツアー その1 ハッチ&クロちゃん

GWに長野県富士見町の富士見高校のみなさんと一緒に1泊2日で長野みつばち天国を堪能してきました。私たちにとっては、桃源郷ならぬ蜂源郷でした。

昨年から連携して百花プロジェクトを実施している富士見高校養蜂部ハッチ・Bee・8にも、新入部員がなんと10名も増えました。
みつばち百花と同じく、こちらも女子が優勢。
OBの3人も参加してくれました。

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みんなでミツバチさん〜。
前列の4名が新入生です。

相変わらずハッチたちは、進化の速度がすごい。

キンリョウヘンを培養していたり、スイーツの開発をしていたり、イチゴハウスをつくっていたり、ビーガーデンを整備していたり、プレゼンにコマ落としを取り入れていたり、部員紹介がおしゃれな動画になっていたり…

ひたすら高校生パワーに心地よく圧倒される百花メンバー一堂でした。
今回は、やはり連携先のNPO法人くにたち富士見台人間環境キーステーションのスタッフで一ツ橋大学の方2名も同行しました。ほぼ同年代の新たな出会いから、なにか生まれそうな気配です。まさに「ミツバチがつなぐ夢」です。

初日の午後は、まず、クロスズメバチの研究家であるVespaさんのところへ。
冬眠中のクロちゃんたち。

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丸くなって眠っている風情がかわいいです。
しばらくするとごそごそし始めて…

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なんとなくまだ寝ぼけた感じでスローだけれど、肌寒いくもり空めがけて飛び立っていきました。女王蜂たちは、これから1匹で巣をつくり、子孫を増やしていきます。
途中には危険がいっぱい。飛び立つ様子は感動的でした。

クロスズメバチは地蜂と言われるもので、蜂の子は本来はこのハチの幼虫やさなぎのこと。子どものころに印を付けて、飛んでいく跡を追い、巣を見つけて遊んだ人も多いようです。
クロちゃん(といかにも親しげでしょ。以前なら、ハ、ハチ…とこんなのがうようよそばにいたら落ち着かなかったのに、今ではじっくり観察してしまいます)は、ほかの虫を捕獲し、肉団子にして、そのエキスを吸います。だから、食べ終わった肉団子はカラカラなんだとか。
あの細い腰回りだとエキスしか通らないもんね。

これはクロちゃんたちの巣。

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スターウォーズにナントか星人の要塞とかで出てきそうです。
唾液や尿で木の皮や土をくっつけてつくるのだそうです。
蜂たちの丁寧なお仕事ぶりには、いつもながら感心させられます。
黒と白のシマシマの入り方も実におしゃれです。

Vespaさんによると、ちょうどほかの虫の幼虫たちがどっと出てくるころに合わせてクロちゃんたちも動き出す。スズメバチの生態はミツバチとはかなり異なるので、一度聞いただけでは疑問だらけ。また、いろいろ教えていただきたいです。

というように蜂三昧のツアーは始まったのでした。

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2011年05月04日

Honeybee trip in Cambodia - Preah Vihear

カンボジアに来て12日くらい経ちました.
やっとレポートします.

先週は5日間,Preah VihearのPeakという村に
調査に行ってきました.
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ガスもトイレもない
ましてやネットなんかない
普段の私たちの生活とはかけ離れた村です.

この村でのハニーハンティングついてお伝えします.


ヨーロッパや日本の養蜂では,
巣箱があって
巣枠があって
ハイブツールがあって
面布があって
手袋があって
燻煙機があって
いろんな道具を使ってキープするけれど

ハニーハンティングという名だけあって(?)
とても原始的な印象を受けました

道具のほとんどは現地の植物の葉や竹などを使います.
必要な道具は
巣を切り取るナイフ(竹を削って作る)
燻煙のための葉(大量の木の葉と枝を束ねて作る)
ハチミツを入れるコンテナ(竹で取っ手をつける)
はしご(竹を1本切ってきて,その節をステップにして登る)
頭を守るのにはクロマーというストールみたいな布を使います
だいたい大きいナイフ1本で器用になんでも作っていました.

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燻煙材ができてニコリ

いざオオミツバチの巣へ!!
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おぉ!
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準備が整うとさっさとはしごをかけてハンティング開始
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煙をかけると蜂がブァっと飛んで
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私以外のみんなが10m以上離れていきました
去り際めっちゃ早い笑

慌てることなくテキパキとハンティングするハンター
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そしてするすると降りてきた蜂の巣
_IGP7924 - コピー.JPG



今回ハンターは1ヶ所しか刺されなかったようです
オオミツバチは攻撃的なハチだと聞いていたけど
今回見た限りでは,全くもって恐怖感はなかったです.
以前よりは穏やかになったとのことですが
どういうことなのかは不明ですし,
他の場所でもそうなのかは不明です.

しかしおもしろかった!!!


採ったハチミツの使い道については
次のトリップの後にご紹介したいと思います.

簿時あ
posted by みつばち at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界のミツバチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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