2011年04月28日

Letter from Honeybees第1号が完成しました

ついに完成しました!
みつばち百花のニューズレター「Letter from Honeybees」です。

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ミツバチと仲良くなりたい人のための「ミツバチと花のファンタスティックな関係を科学の視点から見つめていく」冊子です。
今回の記事は、
みつばち百花顧問で玉川大学ミツバチ科学研究センター教授の佐々木正己先生へのインタビュー「花から知るミツバチの秘密」
みつばちのための花暦 春から初夏へ
みつばち百科「蜜蝋」
はちみつレシピ:カヌレ
などです。

とってもうれしくて、まずはミツバチたちに報告しました。
蜂影が!羽音がブンブンしています。

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ついこんなところにも置いてみました。
邪魔、邪魔!
ちょっと迷惑をかけてしまったかも。

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春から夏にかけての花のページを広げてみたら、ちゃんととまってくれました!

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ほらね!タマネギの花にとまっています。

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B5判 12ページ、オールカラーです。
ただいま、置いていただけるところを大募集中です。
また、置き場所が決まりましたら、随時、お知らせします。

ご希望の方は、1部につき120円切手を同封して事務局までお送りください。
蜜源植物であるキバナコスモスなどの種を同封してお送りします。

2011年04月25日

ハニーウォーク@国立のお知らせ

春爛漫ですね。

5月22日(日)午前10時〜 国立でハニーウォークを開催します。
国立では、昨年9月に実施して以来、2回目です。
前回は秋だったので、花がちょっとさみしかったですが、今回はどうでしょう?

一緒に歩いていただくのは、前回同様にみつばち百花の顧問で玉川大学ミツバチ科学研究センターの佐々木正己教授です。
先生と一緒に歩くと、発見だらけでぜんぜん前に進めないのがうれしい悩みです(笑

ミツバチがつなぐ夢2011
第1回「くにたちで発見!ミツバチと春の蜜源植物」

春の蜜源植物とミツバチを探してまわる「ハニーウォーク」を行います。
きれいな花とかわいいミツバチを見つけて、一緒に春を感じましょう!

日時:5月22日(日) 10:00-12:00 (雨天の場合は29日(日)に延期)

講師:佐々木 正己 先生(NPOみつばち百花顧問・玉川大学ミツバチ科学研究センター教授)

集合:JR南武線谷保駅改札口 
解散:くにたち郷土文化館

受講料:1,000円(小学生以下無料)

定員:20名(要予約・先着順)

持ち物:帽子・水・お弁当(希望者のみ…講座終了後、先生を囲んでお弁当を食べます)

主催:NPO法人くにたち富士見台人間環境キーステーション
協力:みつばち百花

お申込みは、info*bee-happy.jp (*の部分を@に換えてください)まで、お名前、ご連絡先、参加人数を明記の上、お送りください。

posted by みつばち at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 蜜会のお知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月22日

世界のミツバチシリーズ開幕?

ご無沙汰しております.くろさわです.

あくせくしている間に
すっかりミツバチも仕事に本腰を入れていますね.
かわいらしいです.
と同時に,こちらも頑張らねばと思います.
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あくせくって一体なにをしているのか?と言いますと…


本年度より2年間,カンボジアにてオオミツバチの調査を行うことになりました!


とは言え2年間ずっとカンボジアにいる訳ではありませんが,
現地ミツバチであるオオミツバチの調査をして参ります.

この調査は,
カンボジア事業に取り組んでいらっしゃる合同会社ARUN様の
「社会的投資によるBOPビジネスの成長促進の可能性に関する調査研究」
の中の1つなわけです.

要するに,収入が低い人たちの仕事を豊かにするために調査をして
そこに投資しましょう
ってことなのですが(私の単純な理解では)

ここで促進させたいビジネスというのがカンボジアハチミツに関するものです.

しかしながら,カンボジアにおけるハチミツ生産事情というのは
まだまだあまり調べられておらず,未知数です.

何もわからないのでは,いいも悪いも判断できないでしょ
ということで,今回私がミツバチ自体に関連した調査を担当することになりました.
私の学生時代の経験が活かせれば良いのですが…とにかく頑張ってきます!!


生活したことのない土地
接したことのないミツバチ


バタバタみつばちディズをブログでお伝えしていこうと思っております.

カンボジアでの日常はこちらにてご紹介しますので,ぜひご覧になってください!
http://beefriendly.seesaa.net/


世界のミツバチシリーズ カンボジア編の開幕です〜
posted by みつばち at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界のミツバチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月19日

ネオニコチノイドと蜂群崩壊症候群〜結論はまだ先?

アメリカ合衆国農務省で特にミツバチのCCD(蜂群崩壊症候群)問題に取り組んできた研究者のリーダーである,Pettis博士の発言として最新ニュースとして流れてきた情報があります.Pettis博士は,当初は殺虫剤の関与を疑ってきたのですが,今回,イギリス議会の超党派の議員グループに対して,次のように語りました.
「低濃度のネオニコチノイド系殺虫剤は実験室内では明らかにミツバチの健康状態への影響が示されたが,野外調査では,これと同じ影響を見ることはできなかった」
では,何らかのCCDの解決の糸口が見えてきたのでしょうか? アメリカの養蜂雑誌Bee Culture誌の編集長発のメールマガジンの記事に基づいて,辛口ミツバチと見ていきましょう.

ここでいう影響というのは,実験室内では,低濃度のネオニコチノイド系殺虫剤をミツバチに与えると,腸管内で寄生虫(ノゼマ原虫)が増加するというものだったんだけれど,野外で,蜂群に低濃度の殺虫剤を与えても同じ現象が見られなかったということのようだ.
minilogo.pngイギリス議会の人々は,ネオニコチノイド系殺虫剤の特徴である「浸透性」に関して,作物に散布された殺虫剤が,花粉や花蜜にまで行き渡っちゃうということがあるかどうかに関心があったみたいだね.そこに出てくれば,いくら濃度が低くたってミツバチとしては農薬の影響を受けざるを得ないしね.

Pettis博士は,ごく微量のネオニコチノイド系殺虫剤(使用したのはイミダクロプリド製剤)をミツバチに投与したら,ノゼマ原虫への感染が増加したという実験結果を出している.ただ,博士は,殺虫剤pesticideは重要な問題ではあるけれど,同じように栄養不良poor nutritionや病原pathogenも大きな問題として,それぞれの頭文字から3-P要素と呼んでいる.
minilogo.pngそりゃあ,栄養は健康の基本だし,農薬はミツバチが働く現場のそこいら中で使われる.病原は博士が言うように通常は二次的要因だけど,今回はこの三つどもえの影響がミツバチを蝕んでいる.このうちの二つの組み合わせだって充分に大問題なのに,三つもあったら健康ではいられないよ.

博士は,殺虫剤は花粉媒介をする昆虫に立ちはだかる主要な問題としながらも,ミツバチの健康がこれだけで決まるとは考えられないとしている.
minilogo.pngその根拠は,花粉や花蜜を介しての影響は確認できなかったってことだよね.ここは聞いておいて欲しいところだけど,花粉に殺虫剤成分が出てくることはすでに確認されていたの.でも,ミツバチは巣房に貯えられた花粉に,プロポリスで蓋をして,それを食べないようにしてた.それで薬害を免れていたんだって,すごいでしょう.

確かに,普通,花粉には蓋はしないからね.この発見には,博士も驚いたようだね.ミツバチが巣の中の殺虫剤を感知して,汚染された花粉を使わないように実際に蓋をしていた.周辺の巣房の花粉は安全でそのまま利用されていたというのだから,ミツバチの感覚には確かに驚かされる.
minilogo.pngでも,実際には,蜂群が崩壊しちゃった巣箱の中で,蓋された花粉が見つかっているから,汚染された花粉を食べないようにしただけでは,ミツバチは生き延びれなかったんだって.

博士は,集約的な農地では,腸管のノゼマ原虫の感染率が,多様な植物を資源にできた地域に較べて高かったことも示して,殺虫剤だけではミツバチの異常を説明できないといいたかったのだろう.もうちょっと殺虫剤よりでは,作物保護協会のDyer代表が,現状ではミツバチに対して多様なストレスがあるのに,そうした研究成果を見ないで,環境活動家に追従するかのように,まるで殺虫剤が悪魔とでもいいたいような報道が散見されるのは残念だと発言している.
minilogo.pngミツバチ的には,そこは悩ましいなあ.農業の成立なしには,ミツバチも活躍の場がないし.殺虫剤の中には,養蜂家が巣箱の中で使うダニ駆除剤も含まれているので,けっこう複雑なんだよね,気持ち的には.

もちろんPettis博士も,近々,学術雑誌に成果発表することにはなっている研究結果が,実験室内では見られた影響が野外では見られないという結論ではあっても,殺虫剤を全面的によしとすることなく,殺虫剤との接点がどのくらいあり,どの程度の影響を受けるのかを今後も監視していかなければと言っているね.
minilogo.pngネオニコチノイド系殺虫剤は種子消毒目的で使われることが多いけれど,日本では散布されることが多いから,今回の研究結果がそのまま日本で応用できる訳でもないしね.それぞれの地域で,ミツバチの重要度に合わせて,それと殺虫剤の使われ方,必要性に応じて,どうすればミツバチが殺虫剤の影響を受けないで済むのか,一生懸命考えて下さい.それと,農薬と絡んでミツバチの健康に影響する栄養問題に関しても考えて下さい.今は春で花もたくさんあるけれど,このあたりはやっぱり作物の花が多いんだよね.栄養的に偏らないか,殺虫剤は撒かれていないか,悩みの種が尽きません.





posted by みつばち at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月17日

それ、ミツバチじゃないですからっ!

minilogo.png菜の花、サクラと大好きな花がそろそろ終わり。
でも、これから、いろいろな花がたくさん咲き始めるから、楽しみな季節なのよねぇ。

花の上で夢中になって蜜や花粉を採っていると、レンズに追いかけまわされることがあるの。ちょっとしたスターになった気分だけど、私たちじゃないのに「ミツバチがいる〜」なんていいながら、撮っている人も多い。
たいていハナアブさんたちと間違えているのよね。
そんなに似ているかしら。
事務局長のKさんは、「ハナアブは後ろ足が品がない」って言う。
さすがわかっているわよね〜。
触角がかわいくないし、羽は2枚しかないし、体のシマシマだって縦に入っていてデザインがよくないと思う。
だから、間違われるのはちょっと心外なのよね。


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さて、どれが私たち、ミツバチでしょうか。

えーっ!わかなんないのぉ?
失礼しちゃう。

1がハナアブ
2が西洋ミツバチ
3が日本ミツバチ
4がふたたびハナアブ

わかった〜?
ぜーんぜん違うでしょ。
ハナバチの仲間と間違えられるのは、まだ許せるけれど、ハナアブと間違えられるっていうのはあんまりだと思う。

そんなに違わないって?
目が悪いんじゃないのっ!!!

わかんない人は、こちらも見てね。
1年前にKさんが書いてくれた記事です。
ハナバチのいろいろ Part1 西洋ミツバチと日本ミツバチ
ハナバチのいろいろ Part2 ミツバチとハナアブ
ハナバチのいろいろ Part3 ミツバチとハナバチ

posted by みつばち at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 花蜂の秘密 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月14日

ミードを味わってみませんか?

ハチミツのお酒ミードを味わったことがありますか?
ハチミツと聞けば、すごく甘いお酒のように思うけれど、甘いものから、ほとんど甘さのないものまでいろいろあります。

そのミードの試飲販売が4月19日まで新宿伊勢丹本店地下のワインコーナーで行われています。
今回は、ポーランドの、昔から王侯貴族だけに振舞われる秘伝の酒として受け継がれる蜂蜜酒「ミュウト・ピトヌィ」が新しく登場します。

販売会社のミール・ミィの番頭さんで、ミードアドバイザーの宇野さんいわく「一度飲んだら忘れられない」といわれているお酒だそうです。

このほかにも、1リットルの水に対し、710グラムのハチミツが使われている贅沢なもっとも濃厚な「プウトラク ヤドヴィガ」や、オーストラリアの「バーソロミュー・フォレストミード」なども試飲できます。

ぜひ、お試しください。


posted by みつばち at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | そのほかのお知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月13日

森に棲むミツバチに巣箱をプレゼント

みつばち百花は、この春から、とてもステキな取組に関わることになりました。
豊かな森づくりをめざす三井物産株式会社の依頼により、同社が保有する亀山山林(千葉県君津市)にニホンミツバチのための巣箱を設置し、その管理をします。

亀山山林はスギ・ヒノキが中心の人工林ですが、これから天然生林に誘導する過程で、生物多様性も育んでいこうという試みです。
人工林には、本来の住処である樹洞などが少なく、ミツバチの住宅難を解消するために巣箱を設置する一方、蜜源植物も増やして食料確保にも取り組みます。

先月末に植生調査を行い、先週、巣箱を設置してきました。

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とても手入れの行き届いたスギとヒノキの森です。
蜜源・花粉源植物としては、ヒサカキ、タラノキ、エゴ、イヌエンジュ、ウツギ、ヌルデなどがあります。
プレゼントとして用意したのは2種類。
一つは重箱式の百花オリジナル巣箱です。

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もうひとつは、樹洞タイプ。

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ニホンミツバチが好きそうなお住まいでしょ。
こんなふうに中が空洞になっている木は、なかなか手に入れることができません。

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後ろは、中を見ることができるようにしてあります。

さて、ご入居いただけますでしょうか。
国分寺で2年間、ドキドキしたけれど、ご入居いただけず。
そして、ついに場所が変えての、3年目のドキドキ、ワクワクです。
山林の周囲は、雑木林だから、季節のめぐりに合わせて花が咲いてくれるかな。

まあ、気長に自然の速度に寄り添いながら、ミツバチの生息環境を整えていければと思います。

posted by みつばち at 08:58| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばち百花プロジェクト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月05日

小松菜とのらぼう菜

早く原発が収束しませんかねぇ…。
収束したら、早速、ひまわりの種を蒔きに行きたいです。ダメもとで。
といっても、今年のシーズンには間に合いそうにないけれど。

みつばちの庭@三鷹は、ただいま、春の代表的な蜜源花粉源有力植物であるアブラナ科の小松菜とのらぼう菜の花が満開です。どちらも野菜だから、花を見ることはあまりないはず。
道行く人は、みんな「菜の花だ!」と言います。

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手前はこぼれ種の伝統小松菜。奥がのらぼう菜。
アブラナ科に占拠されたみたい。

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こちらが小松菜。

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こちらがのらぼう菜。
毎日、見比べているけれど、違いは微妙〜。
葉はまったく異なるんだけど。

こんなに近くで小松菜が咲いていても、不思議なことにのらぼう菜は交雑しません。
だから、自家採種向きです。
早速、種を付けているから、来年も、また、蒔けそうです。
種、採るぞ〜!

もう少し庭が広かったら、食用にも育てたい。クセがなくて、やわらかくて、とってもおいしいから。

こんなにたくさん咲いているのに、まだ、ミツバチの訪花確認はできていません。
いないのかなあ…。
アブは来ていたけれど。

小松菜はこぼれ種から我が物顔に占拠しているし、のらぼう菜は一度は青虫に白骨化されたのに蘇った。春の伊吹を体現したような花の前を通るたびに「しっかりしてよね!」とエールを送られているような気がします。



posted by みつばち at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちの庭@三鷹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月01日

放射性物質除去にヒマワリ?

福島の原子力発電所事故では多数の方々が避難を余儀なくされ,また現場では廃炉に向けて懸命の対策が実施されています.この原発からの放射性物質の放出は,みつばち百花の提携先のひとつである飯舘村にも深刻な影響を及ぼしています.問題は福島県全体,あるいは日本全体の問題として,農作物の出荷停止や日本製品の輸出困難にも発展してきています.
そんな中,ヒマワリが放射性物質による土壌の汚染除去に役立つという情報がインターネット上に流れています(私は番組を直接見てはいないのですが,テレビ番組がきっかけのようです).ヒマワリは,花が少ない夏に咲く蜜源・花粉源植物でもあり,みつばち百花としても注目していますが,そうした記事を見ると「放射能で,人が住めない状態なら,まずはヒマワリで放射性物質を除去…」と反応する方も多いでしょう.一方で,どの程度本当のことなのという書き込みも.基本にしたがって,原著論文にあたってみることにしました.いつものように辛口ミツバチにアシスタントをお願いします.

ちょっと長くて恐縮だけど,比較的ちゃんと引用している印象がもてるサイトでの表現を先に確認しておこう.
「植物には根っこから土壌の放射性物質を吸収するものもあるそうで、その中でもヒマワリが最も吸収の効率が良いのだという。土壌の放射性物質の除去までに30年以上はかかると言われる場所でも、わずか20日で95%以上を除去したという記録が残っている。
 1995年に米ラトガーズ大学のスラビック・デュシェンコフ博士ら旧ソ連出身の植物学者達が、チェルノブイリ原発から1キロ離れた池で20種類の植物を栽培し、ヒマワリがセシウム137を根に、ストロンチウム90を花に蓄積することをつきとめた、という研究報告がある(日本テレビ系(特命リサーチ 200Xより)」〜
出典:ゆかしメディア
多くの人がこの記述を参照しながら,多少なりとも温度差のあることを書いて,情報拡大が起きている.さて,該当する原著論文はあるのかな?
minilogo.png入手できた中に,この実験を詳細に解説しているものはあった.
Slavik Dushenkov, Yoram Kapulnik, Michael Blaylock, Boris Sorochisky, Ilya Raskin, Burt Ensley. 1997. Phytoremediation: a novel approach to an old problem(ファイトレメディエーション:ある古い問題への新たな取り組み). Studies in Environmental Science, 66: 563-572(この特集号は,Wiseという人が編集者になって,Global Environmetal Biothecnologyというタイトルでハードカバー書籍としても出版されている)
本人が解説しているとはいえ,原著ではないので,いくつか情報が落ちているのかも知れないね.ただ,論文自体は本人サイトで確認したので,相当する原著がないのも確かなんだけど.

情報源に関しては,最大限入手したということで,進めていこう.サイトの記述からは,研究者たちは,チェルノブイリ原発跡から1km離れた池で20種類の植物を栽培して,放射性物質の吸収効率を較べてみたという感じだね.ヒマワリを池で栽培? 本当かな?
minilogo.pngこの論文では2つの実験が紹介されている.第一の実験は,その池からセシウム137とストロンチウム90を含んだ汚染水600Lをキエフの実験施設に運んで,温室の中で,発芽8週目のヒマワリ4株につき50Lの汚染水で水耕栽培して,汚染水の浄化を計測したもの.第二の実験は,その直径10mほどの池で,1m四方の発泡スチロール製の浮島を作って,数種の植物を栽培し,4〜8週後に植物を回収して乾燥し,地上部と根部でセシウム137とストロンチウム90がどのくらい含有されているかを計測したというもの.

第二の実験の方がちまたに流れている情報源のようだね.
minilogo.pngそちらの結果は,セシウム137については,ヒマワリの根で,イネ科のチモシー(オオアワガエリ,牧草)やオオスズメノテッポウの根の8倍の生物濃縮が見られた.ストロンチウム90は地上部の方に高濃度に濃縮された.ちまたの情報で「花」とされているのは地上部のことだよね.他の研究(Wen et al. 2009. Bull. Bot. Res. 29: 592-596)では地上部でも特に葉に濃縮されるらしい.花に行くとなるとミツバチ的には警戒しなきゃ.いずれにしてもヒマワリは,汚染物質の根圏ろ過システム(根を通じて水系の汚染物質を除去するシステム)として優れていると結論している.生物濃縮の効率からは,この池のすべての放射性物質(セシウムとストロンチウム)は乾燥重にして55kgのヒマワリがあれば完全に除去可能だって推論してるよ.最終的に,このヒマワリを灰化して,ガラス化してしまえば,放射性廃棄物として保管可能,という筋書きで,期待が持てそう.

「30年はかかるところを20日で95%除去」の根拠はこの論文には示されていないようだね.
minilogo.png30年という数字は,放射性物質のセシウム137,あるいはストロンチウム90の半減期の近似値みたいだね.だからそもそも汚染がそのままなら30年でなくなるということではないんじゃないの.95%は,Dushenkovさんの別の論文(Dushenkov. 2003. Plant & Soil 249: 167-175)でヒマワリの根圏ろ過システムで汚染水中のウランを24時間で除去できる最大効率として述べている数字かなあ.20日はわかんない.元の論文の第一の実験では12日間で(ヒマワリは2日ごとに取り替えているけれど)セシウム137は90%,ストロンチウム90は80%除去できたとしているけれど,これでもないし.

原著がわからないのでその辺は不問としておこう.ただ,いずれにしてもヒマワリに放射性物質汚染を浄化できる能力があるということは間違いないようだね.植物を栽培するには太陽のエネルギーだけでよいわけだし,時間はかかるけれど,低コストでいい方法だと思える.じゃあ,やっぱりヒマワリを植えましょうということになるね.
minilogo.png待ってよ,結論を急がないで.この実験は水耕栽培だから,汚染水の浄化の話だよ.水に溶解してる放射性物質をヒマワリが取り込むということであって,土壌の汚染とは話が違う.汚染土壌にヒマワリを植えて同じ効果が期待できるとは誰もいってない.Dushenkovさんも土壌中での放射性物質の動態は水の中とはちがうと別の論文(Dushenkov et al. 1999. Environ. Sci. Technol. 33: 469-475)で述べている.

なるほど,その論文では,実際にどんなことをやっているのかな?
minilogo.pngチェルノブイリの事故(1986年)後,やっぱり重要な問題は汚染土壌をどうするかということだったんだって.いろいろな方法があるけれど,彼らはやはり植物による浄化をやりたかった.植物を使う場合,まずは,植物が利用(吸収)しやすい形にしなきゃならない.そこで土壌中のセシウム137をどうすれば溶解性の形に変えられるかという問題に取り組んでいる.

水圏汚染の場合は放射性物質が水に溶けた形で存在するけれど,土壌の場合はそうではないということか.汚染土壌を水の中に放り込んだら,汚染物質が水に移っていくだろうから,その水を使ったヒマワリの水耕栽培をすればよさそうだけれど,どう?.
minilogo.png土壌を水で洗ってもセシウム137は溶け出さない.土壌中で他の土壌成分に吸着したり,他のミネラル分と結合して結晶体になったりしていて,水に溶けにくいんだって.強い硝酸なんかを使っても20%くらいしか溶け出さない.実験では133gの土に,1Lのアンモニウム塩溶液を加えて24時間振盪させると4%くらい溶解させることができるので,それが実用的だという感じで述べている.実際には土壌に多量のアンモニウム塩を土壌改良材として撒かなければならない感じだよ.

フィールドで実際にやるのは難しそうだね.
minilogo.pngもちろん試験的にはやってるよ.15cmの深さで耕して種を蒔いて,育てた植物の地上部を取り除く.植物にどのくらい取り込まれたかと,地表面のセシウム137による放射線量を測定して,土壌からの放射性物質の減少をモニタしている.

結果からはかなり減少しているように見えるけれど,実用性はどうなんだろう?
minilogo.pngいくつか問題がある.セシウム137は急速に土壌中の他のミネラルと結合していくので,汚染後すぐなら効果が高いらしい.この実験はチェルノブイリの事故から10年以上経っているので,除去できるセシウム137は全体の10〜25%程度ではないかと推論している.セシウムの溶解を促進するために土壌改良材を利用するとしても,早ければ早いほどいいみたい.

実行するとすればやはり急いだ方がいいようだね.ではやっぱりヒマワリの出番か?
minilogo.pngヒマワリ? セシウムはヒマワリの根に蓄積するというのは先の実験の通り.土壌浄化の場合は,地上部を除去するやり方になるから,地上部への生物濃縮が可能な植物が必要.この実験でもヒマワリではなくてナタネの一種を使っている.だからヒマワリで土壌の放射性物質除去は現実的ではないことになるねえ.

え,だとするとサイトで紹介されていたものは? テレビ番組は何を根拠に?
minilogo.png水と土壌ではちがうことという意識がなかったのかもね.あるいはヒマワリを植えて,根こそぎ回収するなら意味があるとでも思ったのかな.Dushenkovさんも,2003年の論文で「ファイトレメディエーションによる放射性物質の浄化は環境管理やリスク低減化プロセスにおいて不可欠になるだろう」っていってる.まだまだ発展途上の技術だけど,将来に備えていこうっていう気持ちは読み取れるよ.ただ,この2003年の論文以降,Dushenkovさんはいっさいファイトレメディエーションの論文を書いていないのが気にはなるね.もちろんこの分野は今でも研究は盛んなようだけど.

事故は技術の完成を待ってはくれない.少しでも実用性があるなら,低コストだということも含めてやってみる価値はあると思う.植物が利用できるセシウム137の濃度が下がれば,その後そこで栽培される作物への放射性物質の土壌からの取り込みは限定的になるだろう.ただ,もちろんその後も土壌中に残るものをどうするか,難問は続くけれどね.
minilogo.png今は,みんなができることを一生懸命考えたり,調べたり,実行に移す準備をしたり,それから知恵を集めるときなんじゃないのかな.そのためには思い込みや短絡的な判断は避けて欲しいよね.きちんとプロジェクトとして動いてくれて,情報や予算や知恵が集まるのが望ましいんじゃないの.
今,福島の原発の周囲には,ミツバチもたくさん取り残されている.20km以内に取り残されたミツバチは避難もできない.その意味ではミツバチもまた被災者なの.「これから」にミツバチの力が必要なら提供したいです.


posted by みつばち at 14:51| Comment(4) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする