2010年08月02日

「ミツバチ酷暑で『職場放棄』」! 職場って?

暑いですねえ.この酷暑にはミツバチもたまらない様子.加えて辛口ミツバチは暑さ以上に熱い? 原因はこの記事.さすがにこの記事を読んじゃったら,収まりがつかないでしょう.とはいえ,この時期,巣の中をいかに冷やすかが先決.興奮を静めるために話を聞いてみます.

minilogo.pngビルの上に連れて来られて,ハチミツ採らされて,環境が悪くなったので移動したら,職場放棄だといわれる.冗談じゃない.拉致して,奴隷のように働かせて,逃げたら,そこは神聖な職場だって.逃げた方が悪いといいたいの? どうしてこんなこと書くの? 酷くない?
まあ,言葉が不適切なのは暑さのせいもあると思うよ.職場放棄は,この暑さの中,仕事をしているみんなの願望でもあるかも知れないし.

minilogo.pngこれが「鈍感」なセイヨウミツバチならまだ頑張っていると思うけれど,ニホンミツバチさんだよ.野生の生き物を捕まえてきて,人間のやり方で囲う.で,働けと.その感覚,何か間違っていないかな.人間は職場を自由意思で選ぶんじゃないの?
職業選択の自由は保障されていることにはなっているけれど,まあそういう問題よりも,ここではまったく扱われなかったミツバチの生態について話を進めよう.そういう部分を他の人に参考にしてもらうことで,次の犠牲者が出ないようにできるかも知れないから.

minilogo.pngミツバチにとって「巣」(巣箱じゃなくて)は,生活空間でもあるし,育児や食糧貯蔵など多大な投資をして作るものだから,とても大切なもの.それを捨てるということは,非常に大きな損失になる.それに見合うだけの利益がなければ,巣を捨てない.
巣を捨てることを,「逃去」と呼ぶけれど,攪乱誘発型と,資源環境依存型の2種類が知られている.写真からではちょっとわかりにくいけれど,巣に残存物が少ない場合,特に蜂児の残存がなければ,資源環境依存である可能性が高い.

minilogo.png逃去は目的のある行動なんだよ.つまり自分が移動することで,自分を取り巻く環境を変えるということに意味を持たせてる.熱帯では,資源がパッチ状に分布しているから,移動距離は短くていい.だから逃去性が発達した.セイヨウミツバチでもトウヨウミツバチでも熱帯のものはよく逃去する.その分,巣を大きくはできないから群れは小さい.温帯に来ると,資源自体も一様分布になるから,右に逃げても左に逃げても資源状態が改善しない.だから逃去性は低下する,その分群れや貯蔵食糧の量は大きくなる.ただ,温帯の日本にいるニホンミツバチさんは思ったよりもよく逃去する.これが基本性質なのか,ニホンミツバチの観察が始まった頃にはもうストレス状態にあったのかはわからないけど.今度聞いとく.
今回の逃去の原因は,暑さのようだけれど,暑さは,置かれていた環境自体の問題でもあるし,蜂量の少ない方が残存しているらしいから,巣箱の設計そのものの問題かも知れない.ニホンミツバチで3万匹は大型の部類だから,巣箱が小さいのかもな.ただ,暑さ対策って書かれているけれど,いかにもミツバチのことわかってない書き方だな.

minilogo.pngミツバチが巣内の環境を行動的に調節維持することは知っていると思う.年間を通じて,巣の中心部は人間の体温と同じくらいの35℃に維持してる(冬,育児を中断している間は少し下げるけれど).気温−40℃から40℃くらいまでの範囲でこれを実現できる.もちろん巣がどこにあるかは問題だし,温度調節には必要な材料がある.上げる方は筋肉を使って発熱するのでエネルギー源であるハチミツが必要.下げる方は,外気温が高いと換気だけでは下げられないから,水を運んできて打ち水をして,気化熱で温度を下げている.この水は外から集めてくる.このとき,適度に蒸散しているような水源だと,気化熱で水温自体が低い.これを長距離運んだら,自分の体温で水温が高くなるから,できるだけ至近距離で水を探すようにはしている.
なるほど,冷たい水を気化させると気化熱が相当奪われるから,効率はいいわけだ.夏場は,お腹がはち切れんばかりの水を運んでいるよね.水の量が多ければ,それだけ自分の体温で温めすぎないですむからか.飛行中に,部分的に吐き戻して,体を水冷するという話もあるよね.そこまでやれるってことだ.

minilogo.pngミツバチ500万年の歴史をなめないで.風通しのことも書いてあるけれど,もともと巣箱の置き場所を考えなかったのならひどい話だと思う.虫けらだから,この程度でいいと思われているんだろうな.記事には直射日光と空調の排熱に晒されていたって書いてあったよ.そんなの信じられる?
さすがに巣箱の置き場所自体は考えたと思いたい.写真を見る限りでは囲ってあるようだから,ちょっと全体的な換気は悪かったかも知れないね.ただ,もしかしたら,改善策として巣箱に風穴を開ければいいと思っているのかも知れない.これはまずいだろう.

minilogo.pngこれは養蜂家もよくやることだけれどね.ミツバチにはちょっと迷惑.換気は,炭酸ガス濃度,湿度,温度の三つで決まる.暑いときは確かに換気量が多くなってもかまわないけれど,夏だって一日の中で気温が動く.気温が下がっているのに,換気量を増やすと,湿度や炭酸ガス濃度を下げると同時に温度が下がりすぎる.ミツバチ自体が巣の外に出て,熱源を減らし,呼吸で出る水と炭酸ガスの発生を減らして,さらに内部の空気の容量や通り道を増やすことで,換気の効率を上げることもできる.ミツバチが自分でできることは放っておいてくれていいから,ミツバチにはどうにもならない部分に気を使ってくれればいいのに.
自律的にやっていることに妙なお節介が入るのは嫌だよね.この場合は,そもそも屋上に置くという部分が問題だろうな.

minilogo.png面倒を見てもらうのがいやなのではないけれど,面倒を見てもらわなければやっていけない生き物ではない.本来の場所にいられれば,だれにも負けないくらい自律的に生きている生き物なんだから.人間が,生きるのに不都合な場所に連れてきて,だから面倒を見ようというのは,「欺瞞」なんじゃないの? どうして人間はそういうふうに思わないかなあ? 生き物を支配したり隷属させることでしか,人間らしさを感じられなくなっているの? 不都合な種族だよねえ.そんな種族が生物多様性を考えるっていうんだから,茶番もいいとこだよ.
そこまでいうか.確かに,現状は,不都合な状態を作っておいて,それを補ってあげているという意識だよね.だから,こういうのを「飼う」というなら,ミツバチにとっては不幸の始まりだし,人間にとっても,本当にこれでいいと思って済ましてしまうのなら人間性の点で問題がありそうだね.飼う以上は,ミツバチが生きていくのに何の不足もない,最善の環境にミツバチを置いてあげようという意識を持つことが前提だろう.それでどうしても不足な部分は補うというなら,まだ許されるかな.あるいは最善の環境がないから,まずはそれを作り出そうとかいうのが健康的な感じはする.

ところで「巣箱の中の温度が25℃前後まで下がれば,逃げた群れが戻ることもある」と書かれているけれど,そういうこともある?

minilogo.pngあのさあ,ミツバチが巣を離れれば,巣箱の中の温度は気温と同じになるよ.この時期では25℃まで下がるのは夜間だけ.どうやって戻るというの? 何か聞き間違ったか,情報として大事な部分を落としたかと思うけれど.でも環境が悪くて逃げたのなら,わたしなら前の巣には戻らないなあ.

「ミツバチがいなくなったことも含め,ユニオンの活動から見えてきた都市環境を市民に報告」するそうだ.どんな報告になるんだろう.市民の反応も知りたいね.
minilogo.pngそんなの,簡単,一言.都市からは逃げるしかないってことでしょ.都市なんてろくなもんじゃないと,ニホンミツバチさんに三行半を突きつけられたってことだもの.人間の傲慢さ,やっていることの欺瞞,そういう部分に気がついて欲しい.その上で,どうすれば都市環境を評価できるのか真摯に考え直して欲しい.そんな評価,どうせ適当でいいというなら,それにミツバチを駆り出さないで欲しいし,適切であるべきなら,もうちょっと科学性を持ってしっかりやってよといいたいな.

相変わらずミツバチが受難.しかも,あまりの暴言で打ちのめされるし.農薬で死ぬよりもひどいかも.結局,人間の行動に呆れかえるだけ.いつまでこんなこと繰り返すのかなあ.巣を冷やすために,今夜は巣の外でいろいろ考えてみるよ.


posted by みつばち at 10:55| Comment(1) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする