2010年08月31日

みつばちの庭を秋から冬へと改変中

明日から9月だというのに夏はどかーんと居座っていますね。
そろそろ腰をあげてくれないかなあ。
秋風が吹き始めたら、あっという間に秋になるかも…と期待しつつ、みつばちの庭を秋冬仕様に変更中です。
1年間花を咲かせ続けるというのは、なかなか難しいです。
ミツバチが特に大好き!というわけではないのですが、ニラが頑張ってくれていて、ほぼ夏中ずーっと白い花を満開にしてくれています。いつまでこんなふうに花を咲かせ続けてくれるのかしら?

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(私の影が…)

今朝も手入れをしていたら、
「これは何の花?」と年配の男性に聞かれました。
ずっと気になっていたそうです。
ニラだと伝えると、「田舎にいるときに育てていたけれど、こんなに大きくしたことはなかった。こんな花が咲くんだねぇ」と。
ふつうは20センチぐらいで刈り取って食べてしまいますもんね。

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野菜は花が咲く前に収穫することが多いから、花にはなかなか出合えません。
ミツバチと人の利害は、マッチしそうでなかなかしないです。

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秋用として、プランターに高嶺ルビーを蒔きました。
もうすぐキバナコスモスをもう少し増やします。
ヒメイワダレソウの後には、クロッカスかヒヤシンスがいいかな。
ヒメは面白いことに乾燥した庭の後方に向かってばかり伸びていきます。
田んぼの畦にいいと聞くけれど、なるほど、いいかも。
この様子なら、水のある田んぼの方には入っていかないでしょう。
カラミンサは、花をずっとつけてくれて、おまけに手のかからないとってもいい子″です。お勧めです。

今のところ、とにかく花を切らさない!ということだけを念頭に置いて選定しているので、色の具合までたどり着けないです。
こんなに「みつばちの庭」と思ってお手入れしているのに、相変わらず当のミツバチには出会えません。
ミツバチやーい!!!


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2010年08月27日

ミツバチのグレートジャーニー その3 船に乗って世界制覇目前

どうやらミツバチは私たちが考えている以上にたくましい生き物で世界制覇も間近かも。

連れていかれたオセアニアやアメリカ大陸では野生化していないんですか?

北米ではヨーロッパから持ち込まれたものが野生化してよく定着している。生態系の維持にも役立っているといわれて、どちらかというと受け入れられている感じで、さすがは移民の国という感じだね.

オセアニアは?

養蜂業者でさえ希少な固有種の多い国立公園からは閉め出されていて,必ずしも歓迎されているわけではないけれど、野生化しているものはいるんじゃないかな。

話はちょっと戻りますが、17、8世紀ごろにオセアニアやアメリカ大陸には、どうやって船に乗せて運んでいったんでしょ。
甲板の上には花は咲いていないわけで・・・


hansen.jpgたとえば、こんな感じの帆船に乗せられた?

ヨーロッパからアメリカまで移民を運んでいた頃の船旅は6〜8週間だったとか。積み荷にミツバチが含まれていた船の名前とかも記録にはあるようだね.船の上でどんなふうにミツバチが過ごしていたかまでは記述がないけれど。でも、飛ばしてたら着くまでには数が減って弱ってしまうかも。よく連れて行ったものだねぇ。

苦労してでも連れていきたいというぐらいヨーロッパの人の暮らしに根ざしていたということなのかなあ。どこかに上陸するたびに巣箱も一緒に上陸させて、飛ばしていたのかも。

ところで最近はトウヨウ系もオーストラリア大陸にいるとか?
それも船をヒッチハイクしていくって本当ですか?


そうそう、オーストラリアでは、ヒッチハイクして来るトウヨウミツバチに手を焼いています。これが結構大問題になっている。

ヒッチハイク!船を渡り歩く?昔と違って1週間ぐらいの船旅なら、どこかに潜んでいられる?
どんな問題が起きるのですか?


最近のミツバチの病気は、もともとトウヨウミツバチに感染する病原菌やダニが、セイヨウミツバチに感染することで重症化する事例が多い。トウヨウミツバチが入ってくるということは、こうした病気の発生リスクが高まることでもある。渡り鳥が鳥インフルエンザを運んでくるのと同じと思えばいいけれど、そんな距離はミツバチは飛べないはず。ところが船に乗ってやってきちゃう。

やるなあ・・・

以前,日本でも川崎の中学校にオオミツバチの巣ができたことがあった。
さすがに太平洋を渡ってアメリカまでは遠いかなあ。南太平洋やグリーンランドも含めて、人為的移動でずいぶん広がったミツバチが,まだ地球上で到達していないのは南極大陸だけじゃないかな。


減ったと騒がれている半面、たくましく生存圏を拡大している一面もあるわけですね。
やはり500万年以上生き抜いてきたミツバチパワーはタダものではない。
22世紀になったら、宇宙船に密航して、月の植物工場に進出、なんてこともあるかも。


人類が絶滅してなきゃ行けそうだね。


posted by みつばち at 07:30| Comment(4) | TrackBack(0) | みつばちたちの秘密 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月26日

ミツバチのグレートジャーニー その2 移動が引き起こすもの

さて、前回は北海道以北、南西諸島、小笠原諸島にはニホンミツバチは生息していないという「衝撃の事実」が明らかになりました。

Lazy bee
かつてまったく生息していたことはなかったんですか?


Junbee
日本で見つかっている化石ミツバチにはオオミツバチ系のものも含まれる。温暖な時期にはトウヨウミツバチだけではなくいろいろなミツバチが生息していた可能性はあるよね。その後、最終的には暑いところでも寒いところでもうまくやっていけるような折り合いの付いた生活を選択しているトウヨウミツバチ(ニホンミツバチ)だけが、寒冷な気候を耐え抜いてきた。


現在も北海道にはニホンは持ち込まれていないんですか?

かつて北大の坂上昭一先生(本田睨の「 蜂の群れに人間を見た男―坂上昭一の世界」で紹介されている偉大な蜂の研究者)が研究用に持ち込んだことはある。

今やちょっとした養蜂ブームで、ミツバチがあちこちに移動 させられていますよね。

最近も趣味の方が飼育を試みられるなど、人為的には持ち込まれています。

見晴らしの丘7.jpg

北海道美瑛町見晴らしの丘

坂上先生の頃は時代が時代といえばそれまでだけど、現状での、自然分布を越えた移動をどう見るべきか...

ハナバチが1種類増えるだけ、というほど軽いものではない?

花をめぐってのハナバチ同士の競争は必ず起きる。ミツバチは群れも大きいし、行動半径も広いので,在来のハナバチからすればそれなりの強敵になる。それに,現地に固有な植物には、特定のハナバチをパートナーとして交配を手伝ってもらうものもある。そのハナバチが競争に負けたら、この植物も危ない。ミツバチがこの植物の受粉はしないくせに花蜜はいただいちゃう(盗蜜という)ことが起これば、花は魅力を失って、パートナーのハナバチに見捨てられてしまう。

あるいはミツバチと親和性の高い外来性の植物が繁殖して、植物同士の競争によって固有の植物が影響を受けかねない。一部の事例を除けば、まだまだリスク論ではあるけれど、生態系が大きく移り変わる可能性もあるよ。


自然は常に生き物同士が激しくせめぎ合っていますからねぇ。ほかにもリスクがありそうですね。

そうだね。自然分布域内でも長距離の移動は病気の蔓延や、地域の個体群の遺伝的な特性を薄めちゃうなどの問題につながったり、いろいろリスクがあることは理解して欲しい。
ブラジルでは、50年ほど前に、それまでのヨーロッパ産のセイヨウミツバチを改良して、熱帯への適応性を持たせる目的で、アフリカから人為的にミツバチを持ち込んだ。これが管理下から逃げ出して、やがてキラービーと呼ばれる 凶暴なミツバチへ変身を遂げた(アフリカにいたときから気性は荒かったんだけど)・・・


よほど生存競争が激しかったんでしょうか?気が荒くなっちゃったんですね。

野生の生き物って繁殖力が強いか、攻撃性が強いか、そんなイメージだなあ.アフリカミツバチの繁殖性の高さと気性の荒さが,ヨーロッパ産のミツバチとの混血になっても維持されて、急速に中米を越えて、北米にまで達してしまった。

わずか50年というのがすごいですね。

動物の人為的移動を甘く見ちゃいけない事例のひとつだね。

まあ、人間も戦後65年たって、まったく生活スタイルも変わってしまいましたもんねぇ。
草食系、なんていうのも出てきたし・・・一方で女性パワーがアップしている。ん?ミツバチに近づいてきたのかな?


posted by みつばち at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちたちの秘密 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月25日

ミツバチのグレートジャーニー その1 発祥の地は東南アジア

かつてオセアニア大陸や南北アメリカ大陸ににミツバチはいなかった!

ミツバチのグレートジャーニーを追跡するぞ!なんて大それたことを考えたのは、この衝撃の事実を知ったから。
でも、いざ、足跡をたどってみるとこれがなかなか難しい。。。なんたって500万年以上にもおよぶのだから。

Lazy bee
オーストラリアにはユーカリのハチミツがあるし、ニュージーランドにはマヌカのハチミツがあるでしょ。
ずっと昔から、アボリジニやマオリの人たちがミツバチと仲良くしていたイメージがあるじゃないですか!


Junbee
と、いわれてもねぇ。それは勝手なイメージで・・・


ミツバチのルーツは人間と同じくアフリカでしょ?

これまた、期待に添えず悪いけれど、ミツバチは種の多様性から、東南アジアに発祥地があるとされているんだよね。
大陸の海水面変化や地形変化と、大陸上のミツバチの移動と気候変動が絡んでくるから、ミツバチの分布拡大経路(世界制覇)は実は単純ではないです。


そ、そうなんだ・・・

worldatlas_500.jpg

↑500万年前の地図がないので、一応、現代の世界地図を参考に。

では、まずはセイヨウミツバチの経路を教えてください。

発祥地からひたすら西に進んだものがペルシャ以西でセイヨウミツバチの先祖となり、ヨーロッパとアフリカとに分かれて入っていった。
ヨーロッパに行ったもののごく一部が人間の手によって家畜化され、やがてオセアニアと南北アメリカに運ばれた。もちろんアジアやヨーロッパ中にも広がっていった。


ということは、ミツバチのアメリカ大陸への上陸は17世紀ごろのこと?

そうだね。北米には17世紀、南米やオセアニアは19世紀。日本には19世紀には来たけれど、他のアジアには20世紀になってから。だから、500万年以上というミツバチの歴史からすればついさっきの話だけどね。

人間がミツバチの世界制覇を大きく後押ししているというわけですね。アフリカに渡ったミツバチのその後は?

アフリカミツバチと呼ばれていて、セイヨウミツバチの亜種群で基本状態は野生。

では、ご本家のトウヨウミツバチは?

現在、北はアムール川流域、東は日本、南はインドネシア、西はアフガニスタンまで到達している。先にペルシャまで行ってセイヨウミツバチの先祖になった連中よりはずっと後になってから追いかけていったので、その時間差が大きいこ ともあって、境界付近での交雑種はないという見解になっている。

セイヨウとトウヨウは犬と猫ほど違うから、交雑しないと聞いたことがあります。

分類学的差異としてはそれほどで離れてはいないよね。実際交尾はできるし、受精卵もできる。発生できないので死んじゃうけど。性格的には犬猫以上の差は感 じるけど、どっちかっていうと、イヌ(室内犬種)とオオカミの差でしょうかね。

なるほど、わかりやすいです。
トウヨウミツバチは、どのように日本に渡ってきたのですか?


アジアにとどまったものの中で多様な種分化が起こり、オオミツバチやコミツバチのようなサイズの極端な連中や、 中サイズのものでも数種のミツバ チに分かれていった。

滅んだものもいるけれど、その中でとりわけ勢力を保ったのがトウヨウミツバチで(他の中型ミツバチはトウヨウミツバチの辺縁 で種分化したもの)、間氷期(氷河期のなかの温暖な時期)にはかなり北側に進出したし、黄海の水面が低く、日本が大陸と陸続きだった頃に朝鮮半島経由で日本に入ったのだろうね。さらに、標高の高いヒマラヤ山脈地帯にも登ったよ。


それはミツバチが巣内の温度を調節する「技術」を持つように進化していったから可能になったことで すか?
たとえば、熱を発生させて温めたり、打ち水をして冷やしたり。


そうだねぇ。彼らが寒冷気候に適応しているということ=寒いところが好き(得意)ということではない可能性 は高い。つまり暑いところも好き(得意)。

オンナって適応能力が高いですから。

このトウヨウミツバチ(=ニホンミツバチ)の 寒冷地適応は「足るを知る」的生き方の副産物かも知れないなあ。

足るを知るかあ・・・人間も学ばないとね。だからニホンミツバチは性格が温和なのかな。
ニホンミツバチは日本に広く分布しているんですよね!


いや、青森が北限だし、南西諸島や小笠原諸島にはいないよ。

ということは北海道にはいない!
またしても衝撃の事実。


いや、衝撃じゃないって・・・前にブログにも書いたし・・・物忘れが激しいんじゃないの?

重要なことは何度でも繰り返せばよいのです!


posted by みつばち at 10:12| Comment(6) | TrackBack(0) | みつばちたちの秘密 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月22日

スズメバチは指パッチンで!

昨日開催された「ミツバチがつなぐ夢」、おまけレポートです。
地元の方の蜂場を訪問したときに・・・

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優雅に捕虫網をふ〜わふわと泳がせてキイロスズメバチを捕獲。
↑は、網の上から指パッチン中。
気絶させ、そのまま焼酎瓶へ。
その間の無駄のない動きはまるで茶道のごとく。
その鮮やかさに百花メンバーは「すごーい」と尊敬のまなざし。
さすが、みつばち百花理事の直子さんです。
別名「蜂の言葉がわかる」オンナです。

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その直後、ブーンと別のスズメバチが目の前に飛んできた。
百花メンバーは「あー、スズメバチ!」と叫んで固まるだけ。
ところが、すごい勢いで手ではたこうとしたのがJunbeeさん。
スズメバチはかろうじてかわして上空へ。

あせあせ(飛び散る汗)状態のメンバー。
かたわらですずしーい顔して立っているクロちゃん。

むむむ・・・さすがぴかぴか(新しい)

ラベル:スズメバチ

辛口ミツバチもお気に入り?ミツバチがつなぐ夢@国立

昨日は、国立のまちかど教室で「ミツバチがつなぐ夢 ファシリテーター養成講座」が開催されました。
第2回目は、Junbeeこと中村純教授による「みつばちの生態」について。

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「できれば辛口ミツバチのコスプレでやりたかった」とJunbeeさん。
この次の機会にはご用意いたしましょう。
せめてミツバチ柄のTシャツなどを?

「ミツバチが赤が見えないというのはよく知られていることですが…」

し、しらなかった・・・(というか、忘れていた)

ほかにも、またしても「?」や「!」がいろいろ。
何度聞いても、新しい発見があるよねぇ…とTAMIさんと私。
まあ、また、質問攻めして、ここにアップします。

国立では8群しかやっていけないかどうかという注目の数字ですが、これはあくまでも面積の10%を野生のミツバチが資源として利用できるならば…という仮定の数字です。
国立がすべてジャングルのような自然のままの場所なら、80群は営巣できるはず。
自然営巣と養蜂として巣箱を置く場合は、人の手が入る=ケアができるという点で数字は大きく違ってきます。
ただ、その場合も利用できる資源量で、群数が大きく左右されることは事実ですが。

ということで、また、講座終了後には地元で養蜂にチャレンジしているIさん、Hさんの蜂場や、高速道路のすぐ脇に600坪の広さで今年、初めてひまわりを植えてみたというNPO法人国立市観光まちづくり協会のフィールドを訪問しました。

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います、います。どの花にも1匹が抱きついているというぐらい。
蜂場が1kmほど先にあるIさんは、
「うちの子たちよ〜!」

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Iさんの蜂場へ。
その後、百花のメンバー、Iさん、Hさんなど女性群とJunbeeさんでミツバチ談義が延々と続きました。
女性と男性の割合がほぼ巣箱と同じという、東京はちみつクラブ時代からの伝統的な光景です。
今回は講義のなかで、「メスはどう生きるか、オスはどう死ぬか」というのがミツバチのメスとオスのあり方というお話がありました。無芸大食と思っていたオス蜂の本当の姿を知り、一同、すっかりオス蜂を見直したのであります。
ミツバチのオスの行く末についてお話しすると、男性陣は「はあ。身につまされる」とため息をつく方が多かったのですが、この話を聞けば、「おお、これこそダンディズム!」と気分よくなるかも。
これもまたいつか詳しくやりますね。

というわけで、とっても楽しい国立のミツバチデーでした。
次回9月18日はハニーウォークです。矢川駅から南養寺周辺を歩きます。
時間は朝10時から。講師は佐々木正己先生(玉川大学ミツバチ科学研究センター教授)です。
花と虫の関係、またしても新しい発見がたくさんありそうでとっても楽しみです。

お申込みは直接、NPO法人くにたち富士見台人間環境キーステーションまでどうぞ。

ラベル:国立

2010年08月19日

あえて過酷な道を選んだミツバチ

ミツバチを研究している人にとっては「当たり前の知識」が、私たちメンバーにとっては「!」なことが多々あります。
そんな「!」や「?」をミツバチにとっても詳しい(当たり前か)Junbeeさんに聞く「みつばちたちの秘密」です。
********


Lazy bee
事務局長のクロちゃんが、ミツバチとほかのハナバチの形状的な違いを3回にわたって書いてくれました。
私も、最初はヒゲナガとニホンミツバチを間違えちゃった。今はもう大丈夫!

最近はあまり見かけなくなったけれど、初夏のころ、クマバチが道の真ん中でホバリングしていて、歩いていると追いかけてくる。
体が大きいものだから、ちょっと怖かった。
でも、刺さないんでしょ?


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Junbee
あれはメスを待っているオス。ホバリングしながら、メスを探していて、仲良くしようと待ち構えている。道を歩いてくるやつはすべて「ヒトの恋路を邪魔するヤツ」なわけ。クマバチは刺すことはほとんどないでしょ。平和なヤツですよ。


あらーっ!そうだったの。悪いことしちゃったな。
そういえば、初夏のころ、ずいぶんたくさんハナバチは来ているのに、ミツバチには会えない、ということがよくあったんですよ。特に都会の緑の少ない場所で。
クマバチやハキリバチはいるのに、どうしてミツバチはいないんですか?


ミツバチ以外の連中は、年間の1〜数ヶ月だけ活動していて、あとは眠っているからねぇ…。

眠っている?

ミツバチ以外のハナバチは、起きている時間を基本的に花が豊かな時期に同調させている。だから、まわりが園芸植物となっても利用できる種類も多いから、ある程度食料が確保される。
おまけに大きな群れは作らないから、自分の子育て用の花があればOK。ミツバチの働き蜂10匹分の稼ぎで充分というくらいのやつもいるほどだよ。


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なんと驚きの事実です!年間数か月しか働かないなんて、なんちゅーやつらでしょ。急にヒゲナガとかクマバチの見かたが変わっちゃいました。

だから、都心でも、ある程度緑地があれば、細々とその狭い土地でやっていける。その点でミツバチの方が明らかにシビアだよね。
冬は蓄えで過ごすにしても年間花が必要でしょ。
大きな群れだから半端な花の量じゃあやっていけないから、採餌に飛ぶ距離も長くなる。ミツバチは、時空間を最大限利用することにしちゃったので周辺環境の影響を実はもろに食らう。

 
私たち人間が周辺環境を激減させていますからねぇ。

年サイクルを持つ=つまり時間方向に拡大された生き方というところも、他のハナバチとはちがう部分なんだよね。1年の大半はなかったことにできるハナバチに較べて、12か月それぞれ何かしらなければならない。
その生活史を持ったことを後悔させないように人間は人間でできることをしてあげたいものだね。


1年間、ずっと食料=花を確保するというのは大変なことですよねぇ。

人間をやっていると見えにくいけど、一般的に生き物は時空間の生息しやすいところで生息しようとする。
寿命の長い連中は時間的なことはどうにもできないけれど、冬眠するほ乳類は結構いるでしょ。
生きていくためのコストが少しでも繁殖性を上回れば絶滅するしかないので、常にコストをどう節約するかが命題。
ミツバチは自分で生息可能な環境を時間的に延長=餌がない冬のために巣に食料を貯えた、
空間的に拡大=群れを巨大化して広範な植物を利用できる採餌戦略をとったということ。
その能力を人間に見込まれたのが今は悔やまれるけれどね。


巣箱をどこに置こうと、とにかく巣を維持するために最大限の努力をする。それが本能なんですね。そこを人間が利用する。
最近は、その本能がゆえにコンクリートジャングルで人間様のためにハチミツを採る過酷な労働を強いられているという群れもいたりして・・・


彼らの生存戦略が想定していた環境が失われれば、どんな生き物でも滅びる。ぎりぎりまではミツバチは耐えるでしょうけれどね。
ミツバチの異変で人間が自分の身に降りかかる危険を察知して自分たちのために行動するのではなく、純粋にミツバチに何かする気持ちを持てないと、実は人間の方が先に逝くことになるかも知れない。
人間は繁殖性をコストが上回っているのに生きている変な動物。それだけ地球を食いつぶしているってことだから。


ミツバチから見えてくる本当の危機のポイントはここなんですよねー。

そうだね。
まあ、人間のおかげで自力ではたどり着けなかった大陸に進出したという面もあるけれどね…


あ、例のアメリカ大陸、オーストラリア大陸にはミツバチは生息していなかったっていう衝撃の事実ですね!

衝撃かなあ・・・

十分衝撃です! おまけに船をヒッチハイクしていくって…
では、これについては次回に。
ミツバチのグレートジャーニーですよ!世界制覇への道っ!


のってるなあ…




posted by みつばち at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちたちの秘密 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月15日

ハナバチのいろいろ part3 ミツバチとハナバチ

大変大変,長らくお待たせしてしまい(?)
申し訳ありません.
前回のpart2でいただいたコメントにもようやく返信いたしましたので,
お時間があるときにご覧ださい.


見分け方シリーズ最終回です.

part1では,セイヨウミツバチとニホンミツバチの見分け方
part2では,ミツバチとハナアブの見分け方について触れてきました.

最終回では,ミツバチとハナバチについて
私目線でお話しようと思います.

日々ミツバチを探し回っている私ですが
何度ミツバチと見間違えたことか…

ミツバチのように花の蜜や花粉を集めるハナバチ

お仲間なだけあって似ています.
英語でbeeと言えば,ミツバチもハナバチも含まれるようです.


では,見た目を比較してみましょう.

_IGP2240.JPG

これは,皆様ご存じ,セイヨウミツバチですね.


ではこちらは?
ハキリバチ.JPG

一見ニホンミツバチのような???
でもちょっと黒すぎるかも???
よく見たら顔が丸いかな???

と,いろいろ違いが見えてきます.
種までは特定できませんでしたが(わかる方,ぜひ教えてください),
ハキリバチの仲間です.
何が一番特徴的かというと,
多くのハキリバチは,お腹に花粉を貯めるのです.
たとえばこんな感じ
IMGP0419.JPG

巣は筒状のところに作ります.
そこに葉などを敷き詰め,子育てをする.
ミツバチとはだいぶ生活が違うようですね.

お次の方は?
コハナバチ(モモブト).JPG

なんだかフサフサしていて
足が太いような…
少し小さいし,なんだろう?

こちらはコハナバチの仲間で
モモブトハナバチ属に分類される蜂です.
私としては,飛び方もミツバチに近いと思いました.
小さいくせに,ちょっと度胸があるような,とでも言いましょうか
あまり逃げない蜂でした.
私が出会ったやつが,偶然そうだったのかもしれないけれど.

最後は一気に2種類!
シロスジヒゲナガハナバチ.JPG
ニッポンヒゲナガハナバチ.JPG

素早い低空飛行で
花の周りをウロウロ.
よ〜く見ると,触覚が長い!

ヒゲナガハナバチの仲間です.
1枚目のは恐らく,シロスジヒゲナガハナバチ.
2枚目はニッポンヒゲナガハナバチだと思います.

どちらも止まっている姿は触覚以外,ミツバチそっくりに見えます.
でも,飛び方に落ち着きがない(主観です).
花の前で左右にユラユラ.
花畑でも花の周りをウロウロ.

早く止まってくれと言いたいほど.
そのような点から,ミツバチとは違うな,と判断するのです.


と,3回に渡り,私の蜂の見方をご紹介させていただきました.
これで皆様の蜂を見る目が少しでも変わったら,嬉しいです!

外出された際に,
「ミツバチだ!」
と思われたら,じっくりと見てあげてください.

いろんな仲間が見えてきますよ.


ラベル:ハナバチ
posted by みつばち at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 花蜂の秘密 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月14日

さて、国立の自然は何群ミツバチを養えるでしょう?

秋の気配がかすかに感じられるようになってきましたね。
ほんのかすかな気配ですが。
その一つがセミの鳴き声。行く夏を惜しむようにいのちのかぎりを尽くして啼いているように聞こえます。
ミツバチは、オスがそろそろ巣から追い出される季節です。

国立で先月から始まった「ミツバチがつなぐ夢 ファシリテーター養成講座」の第2回目が8月21日1時半から開催されます。
今回は、みつばち百花の理事で、玉川大学ミツバチ科学研究センターの中村純教授による「ミツバチの生態」です。
第1回目で国立の自然が養えるミツバチは8群程度かもしれない、と予想したところ、参加したみなさんにかなり衝撃を与えたようです。

前回のレポートを主催のNPO法人くにたち富士見台人間環境キーステーションの担当牧野さんがこちらにアップしてくれています。

さて、本当に果たして8群、なのでしょうか。
すでにお世話している巣箱の数は、8群より多いのも事実。

その地域で扶養できるミツバチの数を考えることは、地域の自然を見つめなおすことでもあります。
まだ、参加者募集中です。

ラベル:国立

2010年08月09日

蜜会スペシャル 夏のはちみつ美食会終了!おいしく和みました

久しぶりに開催した蜜会。それもスペシャル!
南麻布の分けとく山総料理長野崎洋光さんによる「夏のはちみつ美食会」を8月7日、ハチでハナの日、みつばち百花の日に開催しました。

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1階も2階も、分けとく山を貸し切り!
野崎さんを独り占め!
というまさに蜜会スペシャルなひとときを過ごしました。

お料理には、もちろんすべてにハチミツが使われています。
実物みたいにおいしそうに撮れなかったけれど、とりあえずアップします。

先附 玉蜀黍豆腐 べっ甲あん掛 生うに

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替  南京南蛮煮

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造り 鰈 あおり烏賊 いしる醤油掛
   若布 湯葉 江部胡瓜

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煮物 鮑風味煮

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焼物 鱸生姜焼き

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強肴 牛肉 胡麻ポン酢掛 刻み野菜

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食事 辛味雑魚飯

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菓子 酪豆腐 茶葛切り はちみつシロップ掛 フルーツ


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お料理の詳細については、みつばち百花のサイトの「みつばち百科」のはちみつを使ったレシピとフードにメンバーのTAMIさんがアップしてくれましたので、そちらをご覧ください。

「ハチミツの甘味は、旨味です」と野崎さん。
ハチミツが調味料として大活躍してくれました。

ラベル:かぼちゃ

2010年08月08日

午前中は頭脳明晰なミツバチ!

ドイツのコンスタンツ大学の研究者が,ミツバチの学習能力は,午後よりも午前中の方が高いことを発見しました(原文はこちら).体内時計を持つ生き物として,いろいろな行動で日周リズム(その行動のピークが決まった時間に見られる)があることは知られていましたが,学習能力にもリズムがあるということです.多数の花が午前中に花蜜を分泌したり花粉を生産するので,それらの中から自分が行く花の匂いを嗅ぎ分けることには意味があるわけです.午後はそれに較べて少ない花しかないので,その能力を発揮しなくてもいいということでしょう.では当事者の辛口ミツバチにも登場してもらいます.


午前中の方が学習能力が高い(有り体に言えば頭がいい)らしいよ.

minilogo.png「早起きは三文の得」とはよくいったもので,この時間頭脳明晰であればいい花も見つかるしね.ミツバチがよく行く花は,午前中に花蜜を分泌するものが多いから,これは確か.カボチャ(こちらを参照)もそう.この時間帯に頭脳が活性化しているってことでしょ.あたりまえといえばあたりまえだけど,ただ,タイトルにこう書かれちゃうと午後はミツバチってぼーっとして馬鹿みたいに思われそうで,なんかやだな.

そうだね,ごめんごめん.もちろん午後はダメということではない.午後だってちゃんと覚えられる.でも午後から夜の前半にかけては学習能力が低下し,夜明け前から午前中が高くなるということだ.状況に合わせた能力発揮というか,花との関係で頭の準備をするようになっているっていうことなんだろう.
minilogo.png真っ暗な中で匂いをよく識別できるというのも書いてあったけど,視覚を使わない分,脳が匂いにだけ集中できるから.ミツバチは「ながら勉強」は不得意なんだ.

なるほど.この論文はいろいろ示唆に富んでいるな.
minilogo.pngでしょう.生き物のひとつの事例でしかないと思うかも知れないけれど,ミツバチはミツバチだけでできた生き物ではないからね.花があってこそのミツバチだから,花との長〜い相互関係がこうしたミツバチの能力を作っているんだよ.人間はどうなのさ?

いや,たぶん,もちろん,何か,人間と他の生き物との相互関係もきっとあると思うけれど.でも,示唆に富むというのは,ながら勉強もそうだし,この論文の著者が最後に言っていることでもあるんだけど...
minilogo.pngミツバチの学習実験をいつやるかが問題ってところでしょう.今時の学生さんが午前中に実験するなんて考えられないものね.ミツバチの学習実験をいつも午後や夜になってからやっていたんじゃ,何もかも過小評価ってこと.

これまでに多数の研究が行われている分野だけど,学習率(匂いを覚えることができる率)には研究者によってバラツキがある.実験条件が悪いんじゃないのかとか,ミツバチがダメなんじゃないかとかいろいろ想像するけれど,もちろん判断の決め手はなかった.なので,これまでに出た論文の著者たちに,いつ実験をやったか聞いてみたいね.その結果,どうも他の人よりも自分の結果が悪かった(ミツバチの学習能力が低かった)のは午後に実験してたからだとか,夕方やったせいだったってことになれば,研究にもやるべき時間があるということになる.
minilogo.png研究者も,大学じゃあ授業があったり,実験の時間を自分の都合では選べないからね.でも人間が選んだ時間は,ミツバチの能力を測るのに向いていないってこともある.寝てる人を起こして実験するのと,起きてから時間が経った人,一日働いて疲れた人でもまた違うだろうし.

実験をする上でのミツバチの状態,あるいは被験者の状態をそろえるのは,それはもうあたりまえの前提だけど,こうした日周リズムがきちんとあるということがわからないままでは,実験を朝やっても夜やっても,差があるとは思いにくい.経験的にこうしたことを実感していた研究者っていただろうか.
minilogo.pngミツバチの学習能力に関していえば,できるだけ午前中に実験をやって,ちゃんと私たちの高い能力を報告して下さい.っていえばいいかな.あんまり「頭悪いんだなあ」と思われるような結果は出さないで....個人差はミツバチにだってあるけれど,ミツバチとしては頑張っている方なんだから.

時間的に自由度の高いはずの学生さんに,重要なメッセージとして伝えよう.
minilogo.pngよろしく,お願い.



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2010年08月05日

花火もいいけれど、キャンドルもね!

みつばち百花のメンバーで、蜜蝋キャンドルのアーティストakarizmのカトウチナツさんが、ただいま、日本橋三越本館5階のナチュラル&オーガニックコーナーで実演販売中です。

これは行かなくっちゃ!と、昨日、訪問してきました。

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食べたくなるようなかわいいケーキ。
蜜蝋キャンドルです。

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あまーいバラのクリームみたい。
もちろんこれも蜜蝋キャンドル。

連日、猛暑で、太陽の日差しが痛いほど。
その日差しが植物を育て、花が咲く。その花からミツバチが蜜と花粉をもらい、蜜蝋で巣をつくる。その蜜蝋が、ちなつさんの手を借りて、今度は暗闇を灯すかわいいキャンドルになる。

昼の光を暗闇の光にかえる蜜蝋キャンドルの灯りは、どこまでもやさしくゆらいで私たちを照らしてくれます。
夏の夜、花火もすてきだけれど、ビール片手にキャンドルの火を独り占め!あ、いや、二人占め!もいいですよ。

展示販売は、ハチハチデーの8月8日まで。
7日、8日は、チナツさんがミツバチと蜜蝋のことなど、お話ししながら、バラのキャンドルの作り方も教えてくれます。
ぜひ、お立ち寄りください。

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チナツさん(実物はもっともっと素敵です)


ラベル:蜜蝋
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2010年08月04日

8月7日は、みつばち百花の日にしよう!

昨日は、8月3日でハチミツの日だったそうです。
昨年は、ミツバチからのメッセージの中間報告会を8月8日ハチハチデーに開催しましたが、今年は蜜会スペシャルを8月7日に開催します。

そう!ハチハナデー! みつばち百花デーです。

7日の分けとく山総料理長の野崎洋光さんによる和食とハチミツ料理は、定員に達しましたので締め切らせていただきます。
久しぶりにお会いする方もいらして、とっても楽しみです。

8月は1か月間ハチ月間ではありますが、花はとっても少ない時期です。そんな中、国分寺フィールドのカボチャ畑は、連日、早朝からミツバチたちで大盛況です。

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カボチャの花が満開です。
木にまきついているのも。けっこう図々しい。
カボチャ畑というよりも、カボチャの森みたい。
国分寺駅徒歩10数分とは思えない風景です。

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かぼちゃの花は朝、6時ごろから7時ぐらいまでが開花時間。
早起きして、なんとか7時前に到着。
来ているかなあ・・・とドキドキしながら、耳を澄ましてみたら…

ブーンという羽音があちらでも、こちらでも。
羽音がする方を探してみると、いたいた!いましたよん!

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必死でもぐりこんでいます。
めちゃくちゃ忙しそう。
接写しまくっていても、ぜんぜん気がつかない。気にしない、そんな感じです。

蜜でお腹がいっぱいのようで、とても重そう。時々、葉の片隅で休んでいたりします。

私たちが苗を植えて、育てて(勝手に育っているか・・・笑)、ミツバチが受粉して実がなる。いわばできたカボチャは私たちとミツバチのコラボレーション! 

しかし、このカボチャの森と化したこの畑で、いったいいくつ実がなるのか。ちゃんと育つのか。

ますます目が離せないカボチャ畑なのでした。

みつばちの庭のカラミンサにもめだたく初のお客様。
ちょっとピンぼけだけど。

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posted by みつばち at 07:17| Comment(2) | TrackBack(0) | みつばち百花PT@国分寺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月02日

「ミツバチ酷暑で『職場放棄』」! 職場って?

暑いですねえ.この酷暑にはミツバチもたまらない様子.加えて辛口ミツバチは暑さ以上に熱い? 原因はこの記事.さすがにこの記事を読んじゃったら,収まりがつかないでしょう.とはいえ,この時期,巣の中をいかに冷やすかが先決.興奮を静めるために話を聞いてみます.

minilogo.pngビルの上に連れて来られて,ハチミツ採らされて,環境が悪くなったので移動したら,職場放棄だといわれる.冗談じゃない.拉致して,奴隷のように働かせて,逃げたら,そこは神聖な職場だって.逃げた方が悪いといいたいの? どうしてこんなこと書くの? 酷くない?
まあ,言葉が不適切なのは暑さのせいもあると思うよ.職場放棄は,この暑さの中,仕事をしているみんなの願望でもあるかも知れないし.

minilogo.pngこれが「鈍感」なセイヨウミツバチならまだ頑張っていると思うけれど,ニホンミツバチさんだよ.野生の生き物を捕まえてきて,人間のやり方で囲う.で,働けと.その感覚,何か間違っていないかな.人間は職場を自由意思で選ぶんじゃないの?
職業選択の自由は保障されていることにはなっているけれど,まあそういう問題よりも,ここではまったく扱われなかったミツバチの生態について話を進めよう.そういう部分を他の人に参考にしてもらうことで,次の犠牲者が出ないようにできるかも知れないから.

minilogo.pngミツバチにとって「巣」(巣箱じゃなくて)は,生活空間でもあるし,育児や食糧貯蔵など多大な投資をして作るものだから,とても大切なもの.それを捨てるということは,非常に大きな損失になる.それに見合うだけの利益がなければ,巣を捨てない.
巣を捨てることを,「逃去」と呼ぶけれど,攪乱誘発型と,資源環境依存型の2種類が知られている.写真からではちょっとわかりにくいけれど,巣に残存物が少ない場合,特に蜂児の残存がなければ,資源環境依存である可能性が高い.

minilogo.png逃去は目的のある行動なんだよ.つまり自分が移動することで,自分を取り巻く環境を変えるということに意味を持たせてる.熱帯では,資源がパッチ状に分布しているから,移動距離は短くていい.だから逃去性が発達した.セイヨウミツバチでもトウヨウミツバチでも熱帯のものはよく逃去する.その分,巣を大きくはできないから群れは小さい.温帯に来ると,資源自体も一様分布になるから,右に逃げても左に逃げても資源状態が改善しない.だから逃去性は低下する,その分群れや貯蔵食糧の量は大きくなる.ただ,温帯の日本にいるニホンミツバチさんは思ったよりもよく逃去する.これが基本性質なのか,ニホンミツバチの観察が始まった頃にはもうストレス状態にあったのかはわからないけど.今度聞いとく.
今回の逃去の原因は,暑さのようだけれど,暑さは,置かれていた環境自体の問題でもあるし,蜂量の少ない方が残存しているらしいから,巣箱の設計そのものの問題かも知れない.ニホンミツバチで3万匹は大型の部類だから,巣箱が小さいのかもな.ただ,暑さ対策って書かれているけれど,いかにもミツバチのことわかってない書き方だな.

minilogo.pngミツバチが巣内の環境を行動的に調節維持することは知っていると思う.年間を通じて,巣の中心部は人間の体温と同じくらいの35℃に維持してる(冬,育児を中断している間は少し下げるけれど).気温−40℃から40℃くらいまでの範囲でこれを実現できる.もちろん巣がどこにあるかは問題だし,温度調節には必要な材料がある.上げる方は筋肉を使って発熱するのでエネルギー源であるハチミツが必要.下げる方は,外気温が高いと換気だけでは下げられないから,水を運んできて打ち水をして,気化熱で温度を下げている.この水は外から集めてくる.このとき,適度に蒸散しているような水源だと,気化熱で水温自体が低い.これを長距離運んだら,自分の体温で水温が高くなるから,できるだけ至近距離で水を探すようにはしている.
なるほど,冷たい水を気化させると気化熱が相当奪われるから,効率はいいわけだ.夏場は,お腹がはち切れんばかりの水を運んでいるよね.水の量が多ければ,それだけ自分の体温で温めすぎないですむからか.飛行中に,部分的に吐き戻して,体を水冷するという話もあるよね.そこまでやれるってことだ.

minilogo.pngミツバチ500万年の歴史をなめないで.風通しのことも書いてあるけれど,もともと巣箱の置き場所を考えなかったのならひどい話だと思う.虫けらだから,この程度でいいと思われているんだろうな.記事には直射日光と空調の排熱に晒されていたって書いてあったよ.そんなの信じられる?
さすがに巣箱の置き場所自体は考えたと思いたい.写真を見る限りでは囲ってあるようだから,ちょっと全体的な換気は悪かったかも知れないね.ただ,もしかしたら,改善策として巣箱に風穴を開ければいいと思っているのかも知れない.これはまずいだろう.

minilogo.pngこれは養蜂家もよくやることだけれどね.ミツバチにはちょっと迷惑.換気は,炭酸ガス濃度,湿度,温度の三つで決まる.暑いときは確かに換気量が多くなってもかまわないけれど,夏だって一日の中で気温が動く.気温が下がっているのに,換気量を増やすと,湿度や炭酸ガス濃度を下げると同時に温度が下がりすぎる.ミツバチ自体が巣の外に出て,熱源を減らし,呼吸で出る水と炭酸ガスの発生を減らして,さらに内部の空気の容量や通り道を増やすことで,換気の効率を上げることもできる.ミツバチが自分でできることは放っておいてくれていいから,ミツバチにはどうにもならない部分に気を使ってくれればいいのに.
自律的にやっていることに妙なお節介が入るのは嫌だよね.この場合は,そもそも屋上に置くという部分が問題だろうな.

minilogo.png面倒を見てもらうのがいやなのではないけれど,面倒を見てもらわなければやっていけない生き物ではない.本来の場所にいられれば,だれにも負けないくらい自律的に生きている生き物なんだから.人間が,生きるのに不都合な場所に連れてきて,だから面倒を見ようというのは,「欺瞞」なんじゃないの? どうして人間はそういうふうに思わないかなあ? 生き物を支配したり隷属させることでしか,人間らしさを感じられなくなっているの? 不都合な種族だよねえ.そんな種族が生物多様性を考えるっていうんだから,茶番もいいとこだよ.
そこまでいうか.確かに,現状は,不都合な状態を作っておいて,それを補ってあげているという意識だよね.だから,こういうのを「飼う」というなら,ミツバチにとっては不幸の始まりだし,人間にとっても,本当にこれでいいと思って済ましてしまうのなら人間性の点で問題がありそうだね.飼う以上は,ミツバチが生きていくのに何の不足もない,最善の環境にミツバチを置いてあげようという意識を持つことが前提だろう.それでどうしても不足な部分は補うというなら,まだ許されるかな.あるいは最善の環境がないから,まずはそれを作り出そうとかいうのが健康的な感じはする.

ところで「巣箱の中の温度が25℃前後まで下がれば,逃げた群れが戻ることもある」と書かれているけれど,そういうこともある?

minilogo.pngあのさあ,ミツバチが巣を離れれば,巣箱の中の温度は気温と同じになるよ.この時期では25℃まで下がるのは夜間だけ.どうやって戻るというの? 何か聞き間違ったか,情報として大事な部分を落としたかと思うけれど.でも環境が悪くて逃げたのなら,わたしなら前の巣には戻らないなあ.

「ミツバチがいなくなったことも含め,ユニオンの活動から見えてきた都市環境を市民に報告」するそうだ.どんな報告になるんだろう.市民の反応も知りたいね.
minilogo.pngそんなの,簡単,一言.都市からは逃げるしかないってことでしょ.都市なんてろくなもんじゃないと,ニホンミツバチさんに三行半を突きつけられたってことだもの.人間の傲慢さ,やっていることの欺瞞,そういう部分に気がついて欲しい.その上で,どうすれば都市環境を評価できるのか真摯に考え直して欲しい.そんな評価,どうせ適当でいいというなら,それにミツバチを駆り出さないで欲しいし,適切であるべきなら,もうちょっと科学性を持ってしっかりやってよといいたいな.

相変わらずミツバチが受難.しかも,あまりの暴言で打ちのめされるし.農薬で死ぬよりもひどいかも.結局,人間の行動に呆れかえるだけ.いつまでこんなこと繰り返すのかなあ.巣を冷やすために,今夜は巣の外でいろいろ考えてみるよ.


posted by みつばち at 10:55| Comment(1) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月01日

ミツバチがつなぐ夢 ファシリテーター養成講座開始!

昨日から、国立市KFまちかど教室で「ミツバチがつなぐ夢 ファシリテーター養成講座」が始まりました。これから月1回2月までの半年間開催されます。

第1回目は「身近な国分寺の事例から」ということで、Lazy beeこと代表理事の朝田と事務局長の黒澤が講師を務めさせていただきました。

参加者は20名で、みなさん、とても熱心に聞いてくださいました。
詳細なレポートは近々、主催のNPO法人くにたち富士見台人間環境キーステーションのブログにアップされる予定です。
一ツ橋大学の学生さんたちが運営しているNPOです。
今回の連続講座は、みつばち百花がコースのアレンジなどお手伝いしています。

次回は8月21日(土曜日)13:30〜。
当団体理事で玉川大学ミツバチ科学センター教授の中村純先生による「ミツバチの生態について」

そして9月18日(土曜日)13:30〜は顧問で、同センター教授の佐々木正己先生による「蜜源・花粉源植物調査 ハニーウォーク」です。

詳細は、KFまちかど教室のブログをご覧ください。

今回は初めての試みとして、花カレンダーづくりのワークショップをやってみました。「ミツバチが来る花って?」とみなさんに考えてもらいました。
ハナミズキやパンジーの名前もあがっていました。
パンジーはまったく行きませんし、ハナミズキやツツジは、よほどほかに行く花がないときしか訪花しません。ということは、そこで見かけたら、「花がなくて困っているのかな?」という可能性もあります。

ミツバチの視点で花を見ると、ちょっと風景が違って見えてくるのをわかってもらえたかな・・・。

講座終了後にすでに昨年から養蜂を始めたというIさんとHさん(お二人とも女性!)の巣箱を訪問させてもらいました。

DSCF2587.jpg


こんな場所だったり・・・

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こんな農地の片隅だったり。
最高の環境で丁寧にめんどうを見てもらっています。
Iさんは、畑を借りて、蜜源植物のゴマやスイカなどを植えています。ミツバチのためになるものなら、なんでも植えたい!そんな感じ。巣箱もすべて手作り。
写真にある花はゴマの花。足元にはクローバー。蜜源植物です。

巣箱を少し高くしているのは…
ある夕方、薄暗い中、巣箱の入り口付近になにやら石のようなものが。。。どかさなくっちゃと手に持ったところ、
「カエルだったのよぉ!」目
入口で帰ってくるミツバチを食べていたんですね。
これはいかん!と、カエルよけに一段高くしたそうです。

自然を激変させてしまった私たち。
残っている農地や緑地はできるだけ虫や鳥たちのためにとっておきたい。そんな思いを語り合いました。
これが尽きないんですよねぇ。

お二人と別れたとたん、事務局長が、

「愛されていますね」

いや、まったく。よい環境で暮らす幸せなミツバチたちにたくさんあえて、私たちはとってもうれしかったです。

さて、国立の自然環境には、どのくらいのミツバチを扶養する力があるのでしょう?これから、みんなでいろいろ考えていければと思います。
どんどんお付き合いが深まりそうな国立、なのでした。
あー、楽しかった!




ラベル:国分寺 国立
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