2010年04月20日

人口密集地でミツバチを飼うことの是非

九州地方の某市市役所の環境関係の部処から,人口密集地(住宅街)でミツバチを飼っている家があり,そのお隣から蜂が騒いでいるとの通報がありましたとの問い合わせ.時期柄,分蜂だったようですが,実はこのお隣,以前に住んでいた方は,ミツバチに刺されて転居されたのだとか.ミツバチが隣に行かないような工夫はありませんかとは,市の担当者.でも,問題はそれで解決するのかな? 辛口ミツバチに聞いてみました.

minilogo.png住宅街だったら,隣がダメなら,反対側の隣に行くし,そっちがダメなら裏にも行けるよ.5メートル程度の壁でも建てたら,とりあえずそっちには行きたくない.

いや,問題はそういうことではないだろうね.周囲の方は飼っていること知っていたのかな.
minilogo.png刺された方が転居するというのは何だか大ごとだね.申し訳ない感じはするけれど,刺したミツバチも死んでいるんで許して欲しい.ミツバチは飼われた場所から花を探しに行くし,戻ってきて力尽きてたら,明かりがついている,お隣の家にも入り込んじゃうことはあると思う.秘密に大切に飼ってもらっていたかどうかはわからないけれど,みんなが知っていて飼われている方が,ミツバチとしては堂々としていられるけれどね.

カナダのバンクーバーでは趣味養蜂に関する条例が出ていて,飼ってもよい場所や理由,飼育の規模などが決められている.住宅事情も異なるから単純には比較できないけれど,許可されるのは,1〜2世代住宅地帯,農地,公共の庭園がある場所,教育目的で飼育する場合となっている.約900平方メートル以下なら2群まで,それより広い場合も4群までと飼育群数の上限設定もある.設置場所も裏庭で,通りに面した場所には置けない.巣箱の設置は日本ではちょっと実現不可能な基準があって,設置の高さは,ミツバチの飛行経路の高さを確保するために約2.5メートル以上,隣家の境界には高さ1.8メートルの塀か生け垣を設置し,巣門は隣家方向に向けず,さらに隣家との境界から8メートルほど離して置くこととなっている.ここまで来ると普通の日本の住宅事情では飼育はかなわないことになっちゃうな.
minilogo.pngそんな高いところにミツバチを置いて,飼う人の安全は確保されているのかな?

1970年代に全面禁止となったのを,解禁することにしたのは,ヨーロッパや北米の都市では養蜂が容認されていることというのが大きいのかな.こうしたガイドラインを作って,ミツバチと住民との不測の接触を最小限にとどめて,趣味養蜂を安全な都市活動と位置づけ,なおかつ都市における生物多様性に,花粉交配を通じて貢献させようという狙いがあるんだと.
minilogo.pngそこに花があるなら,都市でも農地でもどこでも行くけどね.生物多様性に貢献かあ,こんなに小さなミツバチばっかり頼りにされてもねえ.人間の影響力の方がはるかに大きいと思うよ,現状では,貢献よりは,たぶんマイナスの影響だけど.

この条例の「ミツバチについての追加情報」に「ミツバチはベジタリアン」って書いてあって,そうなんだけど,そう言われると,あえてそうはいわないのではと思うけれど....
minilogo.png「ベジタリアン」というのは,能力的には動物食もできるのに,訳あって植物食を選択する人でしょう.ミツバチは,「訳」があるのかなあ.昆虫の世界じゃどちらかというと広食性の部類だと思うよ.花粉はかなり多種類食べるから.それに実はミルク食いだから,本当の意味での「ベジタリアン」ではないね.

ちょっと脱線した.本題に戻そう.今回の問い合わせのようなものは,それなりに多いけれど,何と答えようか? 何か提案できるかな?
minilogo.png壁を建てたり,忌避剤を使って,お隣に行かないようにしても,問題は別の側で発生し続けると思う.そこにミツバチがいる限りはね.行政がそういう指導をしても,効果がなかったり,結果として新たな被害が発生したら,それはミツバチのせいではなくて,提案した側の責任として負わされるのでは?
確かに.行政がどう関与するかは難しいところだと思う.以前,ミツバチの糞害などでも,周辺の苦情を打診して,飼育状況の改善を要求するという程度だった.ここであまり具体的なものを出すと,そのことでの責任がついてくるから,一般論に終始しちゃう.当時は養蜂家からのアドバイスなどは機能してたけれど.

minilogo.png人口密集地でも,古い町だと,庭木がそれなりにあって,ニホンミツバチさんなんかは,自己調節的に,適当な密度を保って暮らしている.そういう場所は環境が悪いというわけではないんだ(人間にいたずらされたり,駆除されたりはするけどね).でも,セイヨウミツバチの場合は,やっぱり飼うということになるから,人間の置いたとおりの分布になって,それが適正かどうかは評価できていないと思う.多すぎるミツバチは,やはり周囲にとっては迷惑な存在かも知れない.いたずらに怖がっては欲しくない(私たちも一応女の子なんだから面と向かって怖がられるのは抵抗あるなあ)けれど,接点が増えれば刺害の確率も高くなるからね.

その点で,やはり周辺の方々が,そこでミツバチが飼われていることを知っていたかどうかは問題になるかな.バンクーバーの条例にもあるように,こうしたミツバチを教材化して,子供たちと共有できれば,そこにミツバチを置くことにも一定の意味は持たせられるだろうね.休日ごとに近所の子供を集めてのミツバチ観察会や採蜜体験もできるし,そのことで子供たちが自分の住んでいる町の花や環境に,そして町そのものにも興味を持ってくれるなら効果があるといえそうだけれど.
minilogo.pngミツバチとしては周りの人が,そこにミツバチがいることを理解してくれて,子供たちがミツバチのことを学んでくれるのは嬉しい.ミツバチがどんな生き物かわかれば,一緒にいるのを苦痛だと思う人は少なくなるだろうから.

状況によるだろうから全面的な容認は難しいだろうけれど,人間が飼うことができて,周辺の花を資源として利用している生き物を通じて,周辺の自然環境(人工的な環境の中の自然ではあるけれど)を知ることもできる.生物多様性の理解にもつながる.無制限に増えることは歓迎できないけれど,目的の明確なケースは認められてもよいだろうね.
minilogo.pngただ,そのためには,誰でもOKってことではダメかも.ある程度ミツバチを理解している人じゃないと.あとは周囲の人との関係を健全に保っている人っていうのは大切な要件だと思う.地域の教材として,学内にミツバチを置くことが難しいという場面でも,だれかのミツバチを利用してもらえればいいかもね.

飼うのが下手だったり,周辺の理解を得るのが下手だったりすると,結果として,ミツバチのイメージが損なわれてしまう.これはすべてのミツバチだけではなく,適正にミツバチを飼っている多くの人にとっても不幸なことだね.そんな場所で,そんな人に飼われるミツバチは不幸だし,飼っている生き物を不幸にするのでは,飼う資格もないといわれそうだ.
minilogo.pngあたりまえ.人間なんだから大きな頭でちゃんと想像しようよ.ミツバチは誰かの家の庭だけでは生活できない.ミツバチが飛んでいく範囲に,実はたくさんの人が住んでいる.そのくらいは普通にわかることだよ.ミツバチからすれば,ミツバチと仲良くしたがる前に,人間同士がちゃんと関係を築いていて欲しい.ミツバチが社会性昆虫というのは知っていると思う.でもって,人間も社会性を持った生き物なんでしょう? それを発揮させて,ちゃんと周囲と折り合いを付けてから,ミツバチに向き合って欲しいな.



posted by みつばち at 14:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ミツバチの気持ち by Junbee | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする