はじめまして。
7月8日の蜜会で、Nさんから、ご自宅で採れた蜂蜜をいただきました。
何巣箱かある内、ある巣箱からとれたこの蜂蜜だけ、味が違うということだったので、また、それがとても美味しかったので、花粉分析をしてみました。
結果は下のようになりました。
一言でいうと…“大磯の春の百花蜜”!です。
総花粉数が、1g中2570個というのは百花蜜にしては少ないらしいのですが、これは、ミカン蜜の特徴が強く出ているためだと思われます。
蜜会でも中村先生が説明していたように、
ミカン蜜は高純度でも花粉が全体の20%しか含まれないのが特徴です。
ミツバチが花粉の少ないミカンの花へ沢山花蜜を採りにいったので、結果的に全体の花粉数が減ったのだと思われました。

花粉分析は、次のようにして行います。
数グラムの蜂蜜を水に溶き、それをフィルターに通して花粉を濾し取ります(花粉だけでなく蜂の毛や酵母菌、採蜜の際のゴミなども見られる場合があります)。そして、フィルター上の花粉を染色してから乾燥させ、ガラス板(スライドガラスとカバーガラス)で挟み、グリセリンで固定します。
こうして顕微鏡下で、花粉をみます。
どの植物由来のものか見分け(同定)、数を数えることによって、それがどのくらいの割合で含まれているのかを、換算して求めます。
花粉を同定する際には、花粉の2点を見ます。
2点とは、赤道観と極観です。
赤道観とは花粉の断面、極観とは花粉の表面構造です。

写真はツバキとチャです。
ツバキ、チャは同じツバキ属です。
写真ではチャの花粉がつぶれて、内容物が二股になって飛び出ているので、違うもののように見えますが、実際のこの二つの形態的な差は大きさくらいで、非常によく似ているので、見分けがつきませんでした。
花粉は見る角度や、潰れているか、いないかなどで、同じものでも随分違うものに見えたりします。
ツバキなどに関しては属で類似した特長がありますが、
同属でも、違った特徴を持つものも少なくありません。
見分けるのが難しいのはこれらのためです。
ここで大きな手がかりとなるのは、採蜜地周辺に生えている植物種や、採蜜期間です。
Nさんから自宅周辺に生えている植物を教えていただき、想像を膨らませました。
色々な植物に訪花するミツバチを思い描きながら・・・

ところで、今回みられたチャは、花粉にタンニンが多く含まれているために、蜂にとっては有毒なのだそうです。蜂がチャから多くの花粉を採ると、蜂児が死ぬという害があるらしいです。(通常、問題ないです)
さて、今回の考察・・・
あのス〜っとする特徴的な味は、ミカンのシトラールで、あの美味しさは、沢山の植物が蜜源として複雑な味を作り出しているからなのかもしれない・・・と思いました。
あと、ミツバチたちとNさんたちの汗と努力の結晶の味っかな?
