2005年05月11日

女王蜂と働き蜂、そしてオス蜂のヒ・ミ・ツ

第一回のみつばちスクールは「ミツバチってどんな虫?」というテーマ。昨日も少し記述しましたが、本当に興味深い生態です。最大の謎は、やはりなぜ女王蜂だけが出産をするのか、という疑問です。個体は皆自らの遺伝子を最大限に残そうとするのが自然の理です(だからオスは浮気をするのはしょうがない、とかいうネタを扱ったドラマが放映されていましたが)。では、なぜ働き蜂は出産しないのでしょうか?

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みつばちプロジェクトの本題から外れるかもしれませんが、ちょっとミツバチの生態と遺伝子についてお勉強しちゃいましょう。(といっても専門家ではないので、表現に不適切なところがあるかもしれません。その際は、コメントをお願いします)

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スクールでも説明がありましたが、女王蜂は一回の交尾で精子を受精嚢という袋に蓄え、六角形の巣室の出入り口で「お、この室は広いな」、「お、小さいな」と思って(思うのではなく本能ですね、きっと。)、前者の場合受精嚢の出入り口を括約筋でぐっと閉めて「未受精卵」を生み、後者は括約筋を緩め卵を受精させてから産むのです。つまり、オス蜂は未受精卵から産まれているのです!

通常の動物は、両親が二つずつ持っている染色体をひとつずつ受け取ることで、一般的には、親子の血縁度(生物間においてまったく同じ遺伝子が発見される確率。つまり、わかりやすく「血の濃さ」と考えてください)は、1/2。兄弟間も1/2になります。

しかし、ミツバチは未受精卵から生まれたオスが入ってくるから少々ややこしくなります。女王の娘は、通常の受精卵から生まれるので、父、母の遺伝子の半分ずつ受け取り、普通に血縁度は1/2です。女王の息子の場合、未受精卵から生まれ、遺伝子はすべて母から来ていますので、息子から見ると母は血縁度1ですが、量が半分になるので、女王から見ると血縁度は1/2。さて、では姉妹はどうでしょう。

女王のもっている2つの染色体のうちの半分と、オスの1つの染色体の半分の遺伝子をもって、メス蜂(ワーカー)は誕生します。ワーカーたちは遺伝子の半分についてはどの個体も父親からまったく同じものを受け継いでいるので、血縁度は1/2×1=1/2。ワーカーたちの遺伝子の残り半分は、女王から来た遺伝子を半分の確率で受け継ぐので、1/2×1/2=1/4になります。つまり、兄弟間の血縁度はこの二つの数字の合計、3/4になります。(図にしてみましたが分かりますでしょうか?クリックして拡大してみてください)

ということは、なんと、ワーカーが自らオスと交尾して娘を生む場合の血縁度1/2を上回るのです。つまり、自分が娘を産むより、女王蜂が自分の姉、妹を産んでくれたほうが、自分の遺伝子をより効率よく残してくれるというわけです。娘より、姉妹のほうが近親関係にあるということ。計算すると、確かにそうなんだけど、頭で考えるとなんだか不思議。

こういう訳があって、ワーカーは一生懸命働き、女王蜂にたくさんのこどもを産んでもらい、自分たちの遺伝子をせっせと残しているというわけです。これは蟻も同じ性質をもち、社会性昆虫と言われるそうですが、しかしなんとも奥深い生態です。



ラベル:女王蜂
posted by みつばち at 19:05| Comment(0) | TrackBack(0) | みつばちたちの秘密 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする